このコーナーではギターにハマった人達の素顔に迫ります


第1回は、渋谷区代官山でBlues、Soul、Jazz、Rockなどのライブ&バー【Hoochie Coochie】を開いている武田浩治さんを訪ねました。
1968年生まれ。大学で建築を学び卒業後上場企業に就職。
学生時代の夢がかない大規模な地域開発プロジェクトにも参加。しかし、1996年、26才で退職し一転して【Hoochie Coochie】を開業。
ココまでハマった武田さんとは???
Hoochie Coochieのカウンターに立つ武田さん


BLUESの世界は心地よかったんです、理屈抜きで・・・
Q 早速ですが武田さんの音楽との出会いを教えてください。
武田 最初は中学の頃ですね、80年代のはじめです。Beatlesを良く聞いてました。高校ではRolling StonesやBob Dylanなどもですね。そしてBuddy Guy 。だんだんBLUES系に行きました。
店内には武田さんの集めた小物が並んでいる。BLUSE好きにはたまらない空間。
Q そこのところをもう少し詳しくお願いします。
武田 Beatlesはその楽曲自体が優れていて、誰が演奏してもそれはそれでそのミュージシャンのものになっていると思うんです。だから僕にも素直に受け入れられたんですが、そんな中でBeatlesのバックでClaptonが弾いているじゃないですか。彼もBLUESに影響を受けてますしそういうミュージシャンは大勢いますよね。
ある時 「彼らが根ざしているものは何なんだろう?」 なんて考え始めたんですよね。
そして結局、BLUESの世界へたどり着いた訳なんです。
Q さかのぼっていったんですね。その時BLUESに対する印象はどうでした?
武田 BLUESは知らないわけじゃなかったんです。でも 「あんなメジャーでもない黒人のオジサン達のレコードを買っている人たちはいったい何やってんだ?」 なんて思ってたんですよ。
トイレの壁には一面ポスターが。一つ一つに見入っていると、つい長居してしまう!?
Q それがどうしてBLUESにハマッたんですか?
武田 例えばピカソの絵を見て【理解する前に感動する】なんてことがありますよね。それと同じかな。素直に好きとは言えないんだけど何かひきつけられるものがあったんです。そして彼らは【地に足がついている】って感じがしたんです。それとBLUESMAN、いわゆる黒人音楽のギタリストの奏でるギターは全く別物に感じたんすよ。
「この人たちは僕等を気持ちよくさせることを狙ってやってるんだろうか?」 なんてことも思いました。この辺のところは今でも疑問に思ってますが当時は何もかもが不思議で・・・
でもBLUESの世界は心地よかったんです、理屈抜きで・・・。


「予想できることの繰り返しから飛び出して、
                自分に時間を与えてあげよう。」
Q 話は変わりますが このお店を開いたきっかけは何ですか? 趣味でBLUESを聞いていることも出来たと思いますが・・・
武田 会社で設計の仕事をやっているうちに【予想できることの繰り返し】に思えてきたんです。
また、昔からアメリカが好きでサラリーマン時代も年に2〜3度アメリカに行っていました。3泊5日なんて強行スケジュールの時もありましたし、シカゴの街角でギターを弾いたりもしたんです。
そして、26才の時に 「とりあえず3年間、自分に時間を与えてあげよう。」 と思い退職しました。
道端から地階を覗くと、このサインボードが・・・
Q LIVE&BARに決めた理由は何ですか?他にも選択肢があるように思うんですが・・・
武田 自分の周りに気に入ったものを置いて共通の趣味の人たちと色々な話をしてみたかったんです。
中央に見えるのが、ライブスペース。この左側にカウンターがある。
Q 代官山を選んだ理由はありますか?
武田 同世代やもっと若い人たちが集まるところだったからです。でも、代官山近辺のお店のオーナーさん達にも気に入っていただいて上の世代の方々も集まるようになったんです。そのうちプロの方が集まってきたりしてセッションなんかも始まったり・・・。お客さんのほとんどの方がギターを弾くんですよ。
Q LIVEの内容やスケジュールはどうなってますか?
武田 水曜日と土曜日の夜ですね。BLUESだけではなくアメリカンルーツミュージックのLIVEです。最近クオリティーを重視していますからセミプロ以上、日本の代表的なBLUES BANDや来日する黒人のBLUESMANのLIVEもあります。


ひとつひとつの音を大切に拾ってゆくと
            BLUESの心に触れられるような気がして
お店に置いてあるギター。左がBlackieで、右がFender Stratocaster'72(トレモロレス)。
Q ところでGuitarを弾き始めたきっかけは何でしょうか?
武田 20歳のときRolling Stonesの初来日がきっかけで自分も弾いてみたいと思ったんですが歌も唄いたかったので弟に簡単なコード進行の曲を教えてもらいました。Stand by Me とかLet it be なんかです。
それから、サラリーマン時代にはアコースティックブルースのフィンガースタイルを3年間習ってたんです。
Q アコースティックブルースですか・・・シブイところですね。
武田 はじめは「何でこんな複雑なことをしなければいけないんだろう?」なんて思ったんですが(笑)それにはその美学があるんですね。ひとつひとつの音を大切に拾ってゆくとBLUESの心に触れられるような気がしてました。
Q お店にはギターがたくさんありますが武田さんの愛用のギターは何ですか。
武田 1991年のMartin 000-18です。シカゴで手に入れたんですが帰ってきてシリアルNo.が1番違いのギターを持っている人に会ったんですよ。その人は東京で買ったって言ってましたけど奇遇ですね。
Q 今でもよく弾きますか?
武田 私の誕生日なんかにプロの方がバックをやってくれたりはするんですがお店ではほとんど弾きません。でも 自宅ではいつでも弾けるようにしてあります。弾かなくても近くに置いておきたいんですよ。
新しい曲は全然やらないですね。昔覚えた曲なんかを楽しみながら弾いてます。
一番左は武田さん愛用のMartin000-18 。その他は、お店に置いてあるギター。左からChaki、Gretsch'72テネシアン、DOBRO DWWB90G 。
Q 話は戻りますが当初思ってた3年はもう過ぎてますよね。
武田 26歳のころは3年間ってすごく長い時間だと思っていたんですよ。でも実際にはあっという間ですね。将来については今は何も具体的な計画はないですが ここでもらったエネルギーを生かして出来ることが見つかったらやってみたいですね。
ありがとうございました。


インタビューを終えて

今や若者の街と化してしまった代官山のメインエリアにこんなにもしっとりとした店があるのには驚く。深夜12時を過ぎても馴染みの客やミュージシャン等がフラっと立ち寄りBLUESを肴にグラスを空ける。
音楽を語るもよし。人生を語るもよし。また、ひとり静かにBLUESに浸るも至福。

客に媚びる華美なしつらえは何もないが・・・しかし、理屈抜きで心地よい。
武田氏と客、酒と音楽。この空間にはそれだけで充分ではないか。

月並みに【都会の隠れ家】とは呼べない。
ここではただ大人の時間が流れてゆくだけである。
これが武田氏が迷い込んだBLUESの世界なのかもしれない。

インタビューと文 J-Guitar.com < H.M. >
武田さんのお店
LIVE & BAR Hoochie Coochie
ライブアンドバーフーチークーチー
住所     渋谷区猿楽町24-5 代官山プラザB1F
TEL 03-5489-3728   FAX 03-5489-3728
営業時間  19:00〜翌2:00
定休日    日・祝
ライブ    水曜日・土曜日
URL     http://www.netpassport.or.jp/~wkohji03/