特集

ギブソンの様々なギターのサウンドを視聴できるVintage Salon Vol.5

GIBSON
・1960年製 Les Paul Standard sn: 0 7451
・1958年製 Les Paul Special sn: 8 2453
・1965年製 SG Standard sn:265405
・1965年製 Firebird III sn:123801

 東京・渋谷にある“ESPミュージアム”で2016年9月11日(日)に「Vintage Salon vol.5 Gibson編」が開催された。これはESPミュージアム所蔵の貴重なヴィンテージ・ギターを、アンプで鳴らして、そのサウンドの素晴らしさを体験するという有料予約制の公開視聴会だ。今回は、ギブソン編としてLes Paul Standard 1960年製、Les Paul Special 1958年製、SG Standard 1965年製、Firebird III 1965年製の4本が登場。

■バースト期の最終モデル

[1960年製 GIBSON Les Paul Standard sn: 0 7451]

LP60-101▲1960年製 GIBSON Les Paul Standard sn: 0 7451

 サンバーストのレスポール・スタンダードは1958年に登場し、1960年まで生産された。1960年製の特徴は、60年代スタイルと呼ばれる薄くスリムなラウンド・タイプのネック・グリップの採用。また、フレットも1959年半ばより幅の広いタイプとなっている。同年途中からはクルーソン・チューナーのツマミがダブル・リング形状へと変更されるが、写真のギターはまだシングル・リング・タイプが使われている。

 ボディの構造は58年、59年と同様だが、それまでのサンバーストが製造からわずかの期間でも退色してしまったため、1960年頃には退色しにくい塗料へと変更された。写真のギターは、ボディ裏側のチェリーの退色が進んでいるものの、ボディ・トップには現在でも鮮やかなチェリー・サンバーストが残っている。

 この時期のボディ・トップには硬質で軽量なメイプルが使われており、写真のギターではトップのアーチ形状がやや強いのが特徴だ。ボディ/ネックのセット角度は4°程度のものが多い中で、このギターはやや強め。しかし、これは個体差の範囲といえる。なお、ボリュームやトーンのコントロール・ツマミが、ソーサー・タイプからパネル付きのものに変更されるのも同年である。

LP60-103▲トップはやや退色しつつも、チェリーの塗料が鮮やかに残っているのが1960年製の特徴だ。

LP60-104▲トップはやや強めのアーチ形状。写真では、ブリッジの奥の部分のグラマーな傾斜、そして、外周部が急激にそり上がっている点などでおわかりいただけるだろう。

LP60-109▲トップのチェリーは残っていても、製造から半世紀以上経過したバックのカラーは経年変化により退色している。

LP60-108▲ネックグリップはやや薄め。写真で、3フレット付近からジョイント付近までグリップの頂上部分が平らなことが確認できる。

LP60-105▲ピックアップはPAF。チューン・O・マティック・ブリッジ。

LP60-106▲"Volume"、"Tone"の文字がメタルプレートにプリントされた、メタル・プレート付きゴールド・トップ・ハット・ノブは1960年に採用された。

LP60-110▲写真のギターには、シングル・リング・ツマミのクルーソン・チューナーが使われている。

LP60-102▲バック

■イエローのTVモデル

[1958年製 GIBSON Les Paul Special sn: 8 2453]

LPJ-101▲1958年製 GIBSON Les Paul Special sn: 8 2453

 レスポール・ファミリーの一員として1955年に発売されたレスポール・スペシャルは、1-3/4インチ厚(約44.5ミリ)の1ピースのマホガニー材を使ったフラットなボディと2つのP-90ピックアップが特徴だ。レスポール・ジュニアの2ピックアップ・バージョンに相当するモデルとして、最終型までバー・ブリッジ・テイルピースが使用された。また、特別仕様のTVモデルに使われているライムド・イエロー、スペシャルではスタンダード・フィニシュとして採用されているのも大きな特徴である。

 1ピース・マホガニーから作られたネックは、同時期の他モデルと同様にファットなラウンド・グリップに仕上げられている。同時期のラインナップのジュニア、スペシャル、スタンダードのそれぞれで、デカール・ロゴの他、ドットマークの素材などで、僅かながら差がつけられている。ネック・ジョイント部はカッタウェイ内のボディ側が少し飛び出た形状をしている。これは本来、生産効率を上げるためであったが、ジョイント部分の強度は上級モデルに比べても上がっており、敢えてジュニアやスペシャルを愛用しているファンもいる。

 1958年製のこのギターには、オリジナルであるスモール・サイズのフレットがまだ残されている。翌1959年には、ジュニアに続いてラウンド・ホーンのダブル・カッタウェイ・シェイプへとモデルチェンジされ、モデル名もSGスペシャルへと改められた。

LPJ-104▲2つのP-90ピックアップとバー・ブリッジ・テイルピース。

LPJ-112▲フラットなボディ・トップ。TVと呼ばれるライムド・イエローのボディ・カラー。ピックアップ・カバー、コントロール・ノブ、ピックガード、ジャック・プレートなどはブラックのパーツが使われている。

LPJ-109▲ネック・ジョイントは独特の形状。

LPJ-108▲スモール・サイズのフレットが残っている。バウンド、ドットポジションを使用。

LPJ-103▲Gibsonのパール・ロゴとLes Paulの下にSPECIALと刻印されたデカール・ロゴ。

LPJ-110▲3連のチューナー。

LPJ-102▲バック

■薄型、演奏性を追求したギター

[1965年製 GIBSON SG Standard sn:265405]

SG-101▲1965年製 GIBSON SG Standard sn:265405

 レスポール・スタンダードのフル・モデルチェンジという形で1961年初頭に登場したのがSGスタンダードである。契約上の理由から1963年まではレスポールのモデルネームが使われ、その後、SGスタンダードに名称が変更された。写真のギターが作られた1965年までの初期型モデルは、ボディ周囲などを深く滑らかに手間をかけて研磨している。流れるようなストリーム・ラインを使ってデザインされたボディは、1-5/16インチ(約33.3ミリ)という薄めのマホガニー材を使用。外周に沿って幅広く施されたベベルド加工によって、フェンダーのコンター加工同様のフィット感が生み出される。

 ローズウッド・フィンガーボード全体がボディから突き出た深いダブル・カッタウェイもSGならではの特徴。ボディ/ネックは最終の22フレット位置でジョイントされている。
 ピックアップなどのハードウェア類の多くはレスポール・モデルから引き継がれているが、ジョイント部分の強度を考慮して、フロント・ピックアップが2フレット分ほどブリッジ側へと移動され、それがレスポールとは異なるSGの特徴にもなっている。また、SGスタンダードはヴィブラート・ユニットが標準搭載された初めてのギブソン・ギターでもある。1963年以降は、同年に発売されたファイアーバードと同じロング・ヴァイブローラが組み込まれている。1965年製の写真のギターには、この年が最後となるニッケル・ハードウェアが搭載されている。また、生地着色されたアリニン・ダイによるチェリー・カラーは、経年によって明るい色合いへと変化している。

SG-107
SG-112

▲1-5/16インチのマホガニー材を使用。ボディのベベルド加工により身体とのフィット感を高め、演奏性も高めている。

SG-103▲22フレット位置でジョイントされた構造。その影響でシングル・カットのレスポールよりもフロント・ピックアップをブリッジ側に移動した設計となっている。

SG-104▲トレモロはロング・ヴァイブローラーを採用。

SG-110▲一見、サンバーストのように見えるネック・グリップ部分の色は、写真のギター固有の経年変化による退色だ。

SG-102▲バック

■後にノン・リヴァースと呼ばれるファイアーバード [1965年製 GIBSON Firebird III sn:123801]

FV-101▲1965年製 GIBSON Firebird III sn:123801

 アメリカらしさを随所に表現しているギターとして人気の高いファイアーバードは1963年に発売された。カー・デザイナーのレイ・デートリッヒの手によって作られたシルエットは、大きな鳥が木にとまっている姿を連想させることからファイアーバードと名づけられた。ヘッドストックまでが専用の形状で、ネックからボディ・エンドまでを同じ9ピースのマホガニー材から作られたスルー・ネック構造であることが大きな特徴となる。また、左右のボディ・ウィング部分は中央のネックとV型に噛み合う形で接着されている。

 ファイアーバードにはIからVIIまで4種類のバリエーションがあるが、1965年製の写真のギターは2ピックアップにショート・ヴァイブローラが目印となるファイアーバード III。エピフォン・ハムバッカーを基にした高域特性に優れたPU-720(ミニ・ハムバッカー)が搭載されている。これはフェンダーのトレブリーなトーンを意識したものと言われている。また、特殊なヘッドストック・デザインに合わせるために、チューナーはツマミがヘッドの裏側にくるバンジョー・タイプのものが使われている。ファイアーバードの絵柄をピックガード上に施すなど、様々な部分でアメリカらしさを採り入れている。

 ファイアーバードは多彩なカスタム・カラーが用意されていたことでも知られている。レギュラーのサンバーストに加えて9種類のバリエーションが用意され、1965年製のこのギターはやや明るいカージナル・レッド。特徴的なリヴァース・シェイプのボディは1965年半ばに反転され、ノン・リヴァース・シェイプにモデルチェンジ。同時に象徴的なスルーネック構造も廃止された。ノン・リヴァース・シェイプへと変化する過渡期であるこのギターでは、リヴァース・ボディながらヘッドストック側はノン・リヴァース・シェイプに加工されている。

FV-112▲大きな鳥が木にとまっている姿をモチーフとしたボディ形状。

FV-103FV-111▲ネックからボディ・エンドまでを9ピースのマホガニーから作ったネックが通ったスルーネック構造。

FV-107FV-108▲ファイアーバード IIIの特徴となる2つのPU-720とショート・ヴァイブローラー。

FV-105FV-106▲ヘッドの立体的なデザインとバンジョー・ペグ。

FV-109▲ファイアーバードの絵柄がプリントされているピックガード。

FV-102▲バック

(本文 : Jun Sekino 写真: GAKKIソムリエ)


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製品情報

GIBSON
・1960年製 Les Paul Standard sn: 0 7451
・1958年製 Les Paul Special sn: 8 2453
・1965年製 SG Standard sn:265405
・1965年製 Firebird III sn:123801

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2019年7月号

定価890円(本体824円)A4判

2019年6月1日(土)発売

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