特集

マニアックなレスポールのバリエーション・モデルも登場!「Vintage Salon vol.6 Gibson Les Paul Collection」

GIBSON
・1957年 Les Paul Standard sn:7 6169
・1958年 Les Paul Standard sn:8 6802
・1959年 Les Paul Custom sn:9 1598
・1959年 Les Paul TV model sn:9 6269

 東京・渋谷にある“ESPミュージアム”で、2016年11月27日(日)に「Vintage Salon vol.6 Gibson Les Paul Collection」が開催された。これはESPミュージアム所蔵の貴重なヴィンテージ・ギターを、アンプで鳴らし、そのサウンドの素晴らしさを体験するという有料予約制の公開視聴会だ。今回は、大変豊富な所蔵品の中から1957年~60年の選りすぐりの様々なレスポールが6本登場予定。GAKKIソムリエでは、これらの中から3本の仕様や特徴を紹介しよう。

■マホガニー・トップ、ダーク・ブラウン・カラーのバックの希少なゴールド・トップ [1957年 GIBSON Les Paul sn:7 6169]

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 ▲1957年 GIBSON Les Paul sn:7 6169

 1952年にギブソン初のソリッド・ギターとして発売されたレス・ポール・モデルは、幾度かのモデルチェンジを経ており、1957年半ばに新開発のハムバッキング・ピックアップが搭載された。同社のセス・ラヴァー氏が開発したP490は、優れた性能と豊かな表情を備えたハムバッキング・ピックアップで、その後のギブソン・サウンドを決定づけた。特に'60年代初頭までに作られた初期型タイプは底面に貼られた"Patent. Applied. For."のデカールから後年には"PAF"と呼ばれ、特徴的なトーンと希少性から伝説的なピックアップとなっている。

 ゴールド・トップ・モデルの最終型となるこのギターは、PAFピックアップに加えて、チューン "O" マティック・ブリッジ/ストップ・バー・テイルピース、ソーサー型のコントロール・ノブ、シングル・リング/キーストーン型のプラスティック・ツマミ、そしてギヤ・カバーに一列の"KULUS●N DELUXE"と打刻されたクルーソン・デラックス・チューナーが使われている。ゴールド・トップに使われているゴールドの塗料の中にはブラス・パウダーが使われており、経年変化による酸化で、凄みのあるダークな色合いへと推移するのが特徴だ。

 一般的なレスポール・モデルでは、ボディはトップ材として2~4ピースのメイプル材を貼りあわせたレイヤード構造になっているが、極まれにボディ・トップまでを含めたボディ全体にマホガニー材が使われていることがある。このギターは、その稀少なオール・マホガニー・ボディ・モデルである。また、ボディ・バック/ネックはライト・ブラウン仕上げが一般的だが、このギターはまれに見受けられるダーク・ブラウン・カラーに仕上げられており、シリアル・ナンバーのスタンプ・カラーもブラックではなくイエローが使われている。当時のカタログにはまだスタンダードの文字はなく、レスポール・モデルと表記されていた。

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▲セス・ラヴァー氏が開発し、後にPAFと呼ばれるピックアップP490。

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▲ゴールドトップの塗装がされているが、トップ材はマホガニーというレアなギター。木の地色を反映し、ゴールド・トップの色合いが通常のメイプル・トップに比べやや濃いめ

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▲ボディトップの拡大。細かなブラスパウダーが確認できる他、コンディションの良さもおわかりいただけるだろう。

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▲バックもレアな仕様でボディ、ネックともにダーク・ブラウンに塗装されている

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▲イエローのスタンプ・カラー。クルーソン・デラックス・チューナー。

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▲バック

■3ハムバッキング仕様、アーチトップでの上位モデルの仕様を継承したカスタム [1959年 GIBSON Les Paul Custom sn:9 1598]

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▲1959年 GIBSON Les Paul Custom sn:9 1598

 ゴールド・トップ・レスポールに続いて1954年に上位モデルとして発売されたレスポール・カスタム。黒いタキシードのように輝くエボニー・フィニッシュが施され、高級アーチトップのシリーズから継承されたヘッドストックのスプリット・ダイヤモンド・インレイ、エボニー・フィンガーボードにはマザー・オヴ・パールを使ったブロック・インレイが施されている。また、レスポール・カスタムには細くて低いフレットが使われているのも特徴だ。これは、ジャズを好む大人のギタリストを想定してデザインされていたためで、複雑なコードへの対応やポジションの移動をしやすくするためと言われている。  

 発売当初のカスタムには2つのシングルコイル・ピックアップが搭載されていたが、1957年にハムバッキング・ピックアップが登場したことを機に、3ハムバッキング仕様へと変更された。3ポジションのセレクタには、ブリッジ、ネック・ピックアップの単体に加えて、ブリッジとミドル・ピックアップのアウト・オヴ・フェイズというやや特殊なポジションが用意されており、このポジションは中域が大きく抜け落ちたカリカリとしたトーンである。レギュラー・モデルのボディがメイプル/マホガニーのレイヤード構造であるのに対して、カスタムのボディには1ピースのマホガニー材が使われている点も特徴となる。ボディ同様ネックにもエボニー・カラーが施されているので、シリアル・ナンバーはイエロー・ペイントを使って入れられている。

 1957年にハムバッキング・ピックアップが採用、そして、1959年になるとグローバー・ロトマティック・チューナーが標準装備されるようになり(このギターは既に交換済されている)、ビグスビーのB-7ヴィブラートが搭載されるようになった。このギターはオーナーによってヴィブラート・ユニットからストップ・バー・テイルピースへと交換されている。

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▲レスポール・カスタムではゴージャスにインレイ類、バインディング、エボニーの指板、アーチトップ・ギターの上位モデルでの仕様を継承している。

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▲ハムバッキング・ピックアップを3つ搭載したゴージャスな仕様。

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▲トップはクラックが入っているものの、木部が露出しているのはこの一ヶ所のみ。トップ材にはマホガニー材が使われている。

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▲トップのカラーが黒いので写真では分かりづらいが、トップの形状は凹み部分が大きめに凹んでおり、同時期のスタンダードと異なるタイプのグラマーさだ。また、ビグスビーのユニットの跡も確認できる。

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▲バック

■ジュニアの特別バージョンでもあるレスポールTVモデル [1959年 GIBSON Les Paul TV sn:9 6269]

lpjr-101.jpg ▲1959年GIBSON Les Paul TV sn:9 6269

 1954~55年にかけて、レスポール・モデルのバリエーションとなるジュニアとスペシャルが発売された。ジュニア/スペシャルでは、コストダウンのためにボディをマホガニー材のフラット仕上げに、ネック・ジョイントもカッタウェイ内側部分に少し飛び出た形状にして製作されている。レスポール・ジュニアにはブラウン・サンバースト、そしてスペシャルにはTVイエローの呼び名で知られるライムド・マホガニー・フィニッシュがレギュラー・カラーだった。

 レス・ポール・ジュニアに続いて1954年末に発売されたのが、ジュニアの特別バージョンのレスポール・TV モデルである。これは、ジュニアにスペシャルと同じライムド・マホガニー・フィニッシュを施したモデルで、両者の違いはカラーとヘッドストック・フェイスに入れられたモデル名だけである。レスポール・ジュニアのカラー・バリエーションではなく、TVモデルと称された別モデルとして発売された理由は明かされてはいない。しかし、当時レス・ポール本人がTV番組を持っていたことに加えて、TVモデルのイエロー・フィニッシュがフェンダーのブロンド・カラーに近いこと等から、ギブソンとフェンダーは当時もライバル関係にあり、お互いが意識しあっていたから、とも推測できる。当時のエレクトリック・アーチトップでは、メイン・ピックアップはネック側だったが、ジュニア/TVではトレブリーなブリッジ・ポジションにP-90ピックアップがセットされていることも興味深い。

 レスポール・TV モデルは、1958年にダブル・カッタウェイのシェイプへとモデルチェンジされた。さらに、1959年末にはボディ・シェイプはそのままにモデル名からレスポールの文字が外され、SG-TVと変化してゆく。このギターは1958年に製造が進められながら、翌年に出荷がずれ込んでしまった1959年のシリアル・ナンバーを持つシングル・カッタウェイ・モデルである。

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▲TVイエローのトップを接写。木材の導管が透けてみえる。

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▲スタンダードやカスタムとは異なるネック・ジョイント。

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▲ヘッドの"Les Paul TV Model"と記載されたデカール。

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▲ドッグイヤー・タイプのカバーのP-90ピックアップ。

■サンバースト・カラーの初年度のレスポール・スタンダード [1958年 GIBSON Les Paul Standard sn:8 6802]

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▲1958年 GIBSON Les Paul Standard sn:8 6802

 

 11月27日の「Vintage Salon vol.6 Gibson Les Paul Collection」では、上記の3本の他にバースト期と呼ばれている58年、59年、60年のレスポール・スタンダードも登場する予定だ。その中で27日に登場が決定している1958年製のsn:8 6802の写真を撮影した。このギターは58年製でありながら、ややスリムなグリップ、見る角度によってトップ材のメイプルに太めの木目が浮き上がるのが特徴、コンディションも上々である。この時期の仕様については、これまでの記事で記載しているので、そちらをご覧いただきたい。

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▲赤の成分が抜けたトップのカラー。見る角度によってメイプル材の見事なフレームが浮かび上がる。

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▲ネックの接合部のアップ。

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▲ヘッド。デカールも残っている。3弦側に打痕がある。

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▲ややカラーが退色したバック。バックル跡で塗装が剥がれ、バック材のマホガニーが露出している。

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▲トグルスイッチのカバーは変形が少なく、文字も残っている。

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▲バック

(本文 : Jun Sekino 写真: GAKKIソムリエ)

【GAKKI ソムリエ試奏動画】マニアックなレスポールのバリエーション・モデルも登場!「Vintage Salon vol.6 Gibson Les Paul Collection」

デモンストレーター : 五陸 守

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  • ・1957年 Les Paul Standard sn:7 6169
  • ・1959年 Les Paul Custom sn:9 1598
  • ・1959年 Les Paul TV model sn:9 6269


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