特集

Talk About VINTAGE GUITAR case2:ヨーロッパの流れを汲んだリッケンバッカーのデザイン

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

 隔週連載のヴィンテージ・ギター・マニア必見のコラム、今回はアメリカのブランドながらヨーロッパ・テイストを漂わせるリッケンバッカーのデザインに迫ります!

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TAVG_2.jpg カプリのシリーズ名がつけられたリッケンバッカーのシンライン・ホロウ・モデルは、伝統的なエレクトリック・アーチトップ・ギターとはデザインが大きくかけ離れている。

 ギブソンを始めとする一般的なエレクトリック・アーチトップ・ギターは、アコースティックのアーチトップ・ギターをベースとして開発されているので、ボディ・トップ/バックにはアーチが付けられ、そこにローズウッド等のブリッジを乗せ、弦のテンションでブリッジをボディ・トップ(サウンドボード)に押しつけている。またギターのトーンも、アコースティック・アーチトップのメロウで心地良い歯切れを備えたテイストを再現したものが多い。

 それに対して、アコースティック・フラットトップ・ギター(いわゆるフォーク・ギター)は、ヨーロッパで発達したガット・ギター(クラシック・ギター)がルーツであり、ボディのトップ/バックはフラット、ボディ・トップ(サウンドボード)に取付けられたブリッジにセットされた弦は、ブリッジ/サウンドボードを常に引っぱっている状態となっている。

 そして上記の各ギターと比べて、リッケンバッカーのカプリにはルーツと呼べるモデルがないのかもしれない。50年代に同社から発売されていたのはソリッド・ボディのコンボ・シリーズが主体であり、軽量化のためにボディ裏側から内部が少しくり抜かれた程度だった。50年代半ばにリッケンバッカーに参加したのが、ドイツでギター作りを行う家系に生まれたロジャー・ロスマイズルである。ロジャーは50〜60年代にかけてリッケンバッカーのモデルを開発した人物で、ギターから漂うヨーロッパ・テイストはロジャーによるところが大きい。

 同社の330や360といったギターは、ボディが表裏が平らなソリッド・メイプル・ブロックを裏側からくり抜く手法で作られており、ボディ中央部はかなりの部分が空洞化されている。とはいえ、全体的にはまだまだソリッド気味で、トーンの要となるブリッジあたりには多くの木材が残されている。"キャッツアイ"の呼び名が付けられたサウンドホールはドイツのギターに多く見られるデザインで、やはりドイツにルーツを持つグレッチの古いギターにも見受けられる。

 一般的に、アコースティック・ギターの一部をソリッド化したものは、ギブソンにならってセミ・アコースティック・ギターと呼ばれている。それに対して、ソリッド・ギターのボディの一部をくり抜いてホロウ化したギターが90年代以降に数多く発売され、それらはチェンバード・ボディと呼ばれることが多い。ロジャー・ロスマイズルの作り出したリッケンバッカー・カプリは、後者に属するギターのルーツといえるだろう。また、60〜70年代にかけてフェンダーから発売されていたテレキャスター・シンラインも同じ系統のギターだが、実はこのモデルもリッケンバッカーからフェンダーへと渡ったロジャー・ロスマイズルによって作り出されたギターなのである。

Text by JUN SEKINO

製品情報

RICKENBACKER 330

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製品情報

RICKENBACKER 360

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