特集

Talk About VINTAGE GUITAR case5:エピフォンE230TD カジノのインレイ・デザイン

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

 ヴィンテージ・ギター・マニア必見の連載コラム、今回はエピフォン・カジノのインレイに関する意外な由来について考察します!

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 ギブソンでは、レスポール・モデルやセミ・アコースティック、アーチトップなどのシリーズ展開しているモデルの序列に合わせて、ヘッドストック・フェイスやフィンガーボードに様々な装飾を施してきた。特にフィンガーボードには、トップ・モデルから順にブロック、ダブル・パラレログラム(平行四辺形)、トラペゾイド(台形)、ドットといったインレイが各モデルに割り当てられている。

 ひとつのポジションに2つ並んだ平行四辺形のインレイを施したのがダブル・パラレログラム・インレイである。これは、他社のギターにはないギブソン独自のデザインで、古くはL-12や、ES-250、ES-300といったアーチトップ・ギターに使われ、戦後モデルではES-175やES-295のフィンガーボードで使われた印象が強い。また、ダブル・パラレログラム・インレイは、他のインレイよりもお洒落なイメージがあるためだろう、チェリー・サンバースト仕上げのアコースティック・フラットトップ/ハミングバードに使われている。

 このインレイはレスポール・モデルやSGシリーズには使われなかったが、セミ・アコースティック・ギターのES-345TDにも使われている。ESシリーズでは、価格の高い順にモデルとインれいの組み合わせを並べてみると、355/パール・ブロック、345/ダブル・パラレログラム、335/パーロイド・ブロック(初期はドット)、330/ドットとなる。そのため、ダブル・パラレログラムは、高級モデルに使われたマザー・オブ・パール(白蝶貝)のブロック・インレイに次ぐポジションといったあたりだろうか。

TAVG_5-a.jpg 戦前ギブソンのライバル・ブランドだったエピフォンは、1957年にギブソンに買収されたことで、従来のエピフォン・モデルに加えて、一部ギブソン・ギターをベースにしたモデルも加わった。60年代のエピフォン・ギターの中でも特に人気の高いのが、ザ・ビートルズが使用したE230TD/カジノ(写真左)である。このモデルのフィンガーボード・インレイは、初期型モデルはドット・ポジションなのだが、後にパーロイド(パール柄のセルロイド材)から作られたパラレログラム(平行四辺形)型(写真下)となった。更によく見ると、実はこのインレイの形はギブソンのダブル・パラレログラム・インレイの片側のみを90°回転させたものになっている。元々あった素材を転用したとは思えない素晴らしいアイディアだといえるだろう。

 このシングル・パラレログラム・インレイは、カジノやリヴィエラ、そしてプロフェッショナルといった幾つかのエピフォン・ギターに採用されたが、エピフォンの独自性を保つためか、ギブソン・ギターには採用されてはいない。

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Text by JUN SEKINO

製品情報

EPIPHONE E230TD Casino

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2019年10月号

定価1,620円(本体1,500円)A4判

2019年9月2日(月)発売

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