特集

Talk About VINTAGE GUITAR case10:最初期のヴィブラート・ユニット"カウフマン・ヴァイブローラ"

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

1930〜40年代にかけてギター用ヴィブラート・ユニットとして市場を席巻したカウフマン・ヴァイブローラについて解説します。

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 ギター用のヴィブラート・ユニットが初めて登場したのは、現在のリッケンバッカーからエレクトリック・ギターが発売された30年代半ば。このときリッケンバッカーから発売されていたピックアップ付きのアコースティック・フラットトップのようなケン・ロバーツ・モデルと、ボディ/ネックがベークライトから作られたソリッド・スタイルのエレクトロ・スパニッシュ・ギターに組み込まれたこのユニットは、開発者の名前からカウフマン・ヴァイブローラと呼ばれている。

TAVG_10.jpg ミュージシャンであり発明家でもあったクレイトン・ドク・カウフマンは、1920年代にカリフォルニアへと移住し、そこでフィドル・プレイヤー、ピアノの調律師として働いていた。テナー・ギターを手に入れたドクは、そこに自分で作ったヴィブラート・ユニットを取り付け、それを"ヴァイブローラ"と名付けた。20年代末、リゾネイター・ギターを作っていたナショナル社にいたジョージ・ビーチャムと知り合ったドクは、その後ジョージがアドルフ・リッケンバッカーと供に立ち上げた現在のリッケンバッカーにチーフ・デザイナーとして参加する。同社のギターに組み込まれたヴァイブローラは、唯一のヴィブラート・ユニットとして単体でも発売され、レス・ポールを始めとする先進的なギタリスト達に愛用された。更にドクは、ヴァイブローラを動かすためのモーターを組み込んだギターを開発したが、戦前でリッケンバッカーからは退き、その後にK&Fを共同で設立するレオ・フェンダーと出会うことになる。

 エレクトリック・ギターができる以前に開発されたカウフマン・ヴァイブローラは、当初アコースティック・ギターやバンジョーを対象にしていた。このユニットは、弦を止めるテイルピース部分にクランク状の可動パーツを止め、そこにスプリングを取り付けることで、ニュートラル・ポジションを作り出している。ユニットに取り付けられたアーム・バーを水平に動かすとクランク・シャフトが動き、ボールエンドが前後することでヴィブラートが作り出される。当時は左手で行うハンド・ヴィブラートを代用するユニットだったこともあり、その可動範囲は狭い。カウフマン・ヴァイブローラは、40年代末にポール・ビグスビーによって作られたビグスビー・ビブラートが登場するまでの間、ギター市場を独占するヴィブラート・ユニットとなった。

Text by JUN SEKINO

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