特集

case13:建築材から作られたダンエレクトロのギター/ベース

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

ジミー・ペイジなどの使用で知られるダンエレクトロ。50年代から低価格帯なギター/ベースで人気を博していましたが、その使用材や構造は非常に独特で画期的なものでした。

TalkAboutVG_263-80_K.jpg ネイサン・ダニエルによって1954年に生み出されたダンエレクトロは、ミディアム・レンジ・モデルだったにもかかわらず、その独創性やアイディアは群を抜いている。代表モデルのひとつとなる1958年に発売された#3021は、同時代のフェンダー・ストラトキャスターが250ドル、テレキャスターが200ドルだったのに対して、100ドルの定価で販売されていた。

TAVG_13.jpg ダンエレクトロには数多のすばらしいアイディアが詰め込まれているが、そのひとつがギターに使われている木材である。塗装のない木材が露出しているフィンガーボードには良質なローズウドが使われている反面、ネックには加工しやすいパイン材が使われ、内部にスティールの角棒を入れて、強度を確保している。一見ソリッド・ギターに思えるボディは、今でいうところのチェンバード・ボディ構造で、パイン材で作られた外周リムの表裏を薄いメゾナイト板が覆っている。これらの木材は、どちらも建築用資材として使われていたもので、パインは2 x 4(ツーバイフォー)建築用の柱材である。ハードボードの呼び名でも知られるメゾナイトは主に内装の壁材として使われていたもので、粉砕した木材チップを蒸気を加えて高圧力で再形成した板材。50-60年代には建築材の他にも、ラジオやテレビの裏蓋、机や棚といった家具など様々なものに使われていた。ダンエレクトロでは、それをボディの表裏だけでなく、ピックガード、そしてギター・ケースまでにも使っていた。
 3021の白いピックガードは、実は片面が白に仕上げられた内装用の壁材をそのまま切り出したもので、サイド部分にはダーク・ブラウン色のメゾナイト材が覗いている。ボディの表裏に使われているのもメゾナイト板で、フラットに仕上げられた表面の上からトップコート(クリア層)を省いたラッカーのブラック・ペイントで塗装してある。クールな2トーン・フィニッシュを演出するサイド部分は、塗装ではなく、やはり内装用の壁布を細く切ったものが接着されている。斬新なアイディアを使って可能な限り製造費を抑えると同時に、エレクトロニクス・パーツに関してはギブソンやフェンダーと同等、もしくはそれ以上の手間とコストをかけるのネイサン・ダニエルのやり方だった。

Text by JUN SEKINO

製品情報

DANELECTRO

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2020年2月号

定価1,620円(本体1,500円)A4判

2019年12月28日(土)発売

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