特集

case14:幾つものアイディアが盛り込まれたギブソン・ファイアーバード

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

フェンダーのギター/ベースを意識しつつも、ギブソンならではの独自のアイディアを盛り込んだ、ファイアーバード/サンダーバードの特徴について今回は解説します。

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 1963年にギブソンから発売されたファイアーバードは、幾つものアイディアが盛り込まれた特別なモデルだった。特徴的なリヴァース・シェイプのボディは、開発の指揮を取っていたテッド・マッカーティが、彼の友人のデザイナーがに依頼した。さらに競合していたフェンダー・ギターに対抗するために、トレブリーなトーンを備えたミニ・サイズのハムバッキング・ピックアップや新しいヴィブラート・ユニットが開発された。

 ファイアーバードの大きな特徴が、ギブソン初のスルーネック構造である。これは、ヘッドストックからネック、ボディ・エンドまでに専用の柱材を使い、ボディ部分は両側にウィング・パーツを取り付けることで作られている。ボディの作り方も独特で、ネックの付いたボディは取り回しが難しいので、ボディのウィング部分は先に加工したものをネック材の両側に取り付けてある。また、接着面はネック側が凹型、ボディ・ウィング側は凸型の加工を施すことで、ジョイント部分がずれるのを防いでいる。ファイアーバードと同時に、そのベース・バージョンとなるサンダーバードも発表されたが、実際の出荷は翌年へとずれ込んだことからも、製造するのが難しかった様子が伝わってくる。ファイアーバードと同じスルー・ネック構造のサンダーバードには、ギブソン初となる34インチのロング・スケール、そして2ピックアップ・モデルではブリッジとミドル位置にピックアップが組み込まれている。これは、フェンダー・ベースを強く意識した仕様といえるだろう。

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 ファイアーバードはリヴァース・シェイプであることもあり、ボディはやや大きく感じられる。ベースのサンダーバードも然りである。ところが、両モデルのボディを比べてみると、興味深いことがわかる。ファイアーバードとサンダーバードのボディ・ウィングは共通のパーツから作られているのである。フェンダー・ベースのボディは、ギターよりも一回り大きいのが普通だが、ギブソン・ベースの場合、30.5インチのショート・スケールで作られていることもあって、SGシェイプのEB等のボディはギターと共通サイズで作られていた。ファイアーバード/サンダーバードは個性的なデザインが採用されたモデルなので、ギター/ベース兼用を前提にボディ・スペックを仕上げたのだろうか。はたまた、これらのモデルに採用されたスルー・ネック構造は、ギターとベースを同時に製造するためのアイディアだったのだろうか。
(写真の上側は1964年製のサンダーバード IV、下側も同じく1964年製のファイアーバード VII)

Text by JUN SEKINO

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