特集

case17:加工誤差を防ぐためのギブソン・ヘッドストックの製法

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

手作業で仕上げられていたギブソンのヘッドストックは、加工誤差をなるべく防ぐための工夫が製法に用いられていました。

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 フェンダー・ギターのネックは、表裏すべての加工が板材を水平方向と垂直方向といったルーターを使った平面加工のみで作ることができる効率の良いデザインになっている。それに対して、ギブソン・ギターは、伝統的な楽器作りを受け継いでいる部分が多く、一旦ネックの厚みやヘッドストック角に合わせてラフカットされた木材を、ネックの裏側のグリップやヒール加工、そして約17°のヘッドストック角を付け、その角度に対して直角になるように複雑な外観のヘッドストックを削り出している。
TAVG_17.jpg 60年代半ばまでのギブソン・ギターでは、ヘッドストックの厚みが1/6弦が位置する根本部分に対して3/4弦が位置する先端部分が約1ミリほど薄く加工されている。実は、これは手作業による加工誤差を目立たなくするため。フェンダー・ネックでは、ヘッドストック裏側とネック・エンドのジョイント分が常に基準となる平面に加工されている。それに対して、ヘッドに角度が付けられたギブソン・ギターではヘッドストックの外周や厚みを設定する基準面は、ヘッドストック・フェイスのみで、更に、フェイス面には各モデルによって厚みの異なるロゴ・プレートが取り付けられる。加工誤差が出やすいこの状態で、ヘッドの厚みを一定に設定すると、先端部分が根本部分よりもわずかに厚くなってしまうギターも出てくる。これでは、強度的には問題なくても、見栄えが悪くなってしまう。そこで、最大の加工誤差を0.5ミリ程度とふんだのならば、予め先端部分を根本よりも1ミリ薄く設定しておけば、加工誤差が発生しても、ヘッドストックの厚みは+/ー0.5ミリではなく、+0.5-+1.5ミリとなり常に先端部分側が薄く仕上がることができる。こうした工夫は様々な箇所に見られる。ギブソン・ギターのヘッドストックは外周が複雑な形で、また同年代でもモデルによってヘッドストックの幅に差がある。この場合も一度に外周を切り出すのではなく、加工を両サイド、トップ面と3回に分けることで、様々なサイズにも違和感がなく、ヘッド角が付けられたヘッドストック面に対して、ほぼ直角の加工を実現している。

※写真は1959年製のギブソン・レス・ポール・スペシャルのヘッドストック。

Text by JUN SEKINO

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2020年7月号

定価1,620円(本体1,500円)A4判

2020年6月2日(火)発売

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