特集

case22:フラットトップ用チューン "O" マティック・ブリッジ

ちょっとマニアックなヴィンテージ・ギター推論

 ヴィンテージ・ギターの意外な一面にスポットを当てるコラム、今回はギブソンの高級フラットトップ・ギターに使われていたチューン "O" マティック・ブリッジに迫ります。

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TAVG_22_1.jpg 60年代のギブソン・フラットトップ・ギターには、アジャスタブル・タイプのブリッジが組み込まれているものがある。J-45/50そしてJ-160Eに使われたアジャスタブル・ブリッジにはシンプルでストレートな形のブリッジ・サドルが使われたが、J-200やDove(写真)といった高級フラットトップには、驚くことに各弦ごとにサドルをアジャストすることができるエレクトリック・ギター用のチューン "O" マティック・ブリッジが搭載された。
 フラットトップに組み込まれたチューン "O" マティックは、本来エレクトリック・ギター用のパーツで、サドルはブラスもしくはナイロン系樹脂製、そして亜鉛ダイキャストによって作られたブリッジ・ベースはかなりの重量があり、ブリッジ・サドルはアジャストできるけれども、ギター自体のトーンはかなりダークな方向へと変化している。チューン "O" マティック・ブリッジのブリッジ・ベースには、フラットトップ・ギター用のアジャスタブル・スクリューを取り付けるためのに再加工が施されている。またチューン "O" マティック・ブリッジは可変範囲が広いので、ブリッジは一般的なフラットトップのように、6弦側を後方にスラントさせてセットするのではなく、弦に直角にセットされている。

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 この時期のギブソン・フラットトップは、サウンドボードの振動を少し制御する傾向があり、全体的にヘヴィな印象に加えて、J-200のボディ内にはサウンドボードを押さえつける機構までもが用意されていた。これは、ステージ等での不要なフィードバックを抑えるためだったといわれているが、やり過ぎの感も否めない。

 最終的に、フラットトップ用のチューン "O" マティック・ブリッジは、60年代末に姿を消してしまった。フラットトップのチューン "O" マティック・ブリッジには違和感を覚える意見も少なくない一方で、アーチトップ・ギターでは事情が異なる。初期には1ピースのローズウッドやエボニーで作られていたアーチトップのブリッジを2分割して弦高アジャスト機構を組み込んだのは1920年代のギブソンだった。そして、アジャスト機構はやがてアーチトップ・ギターの標準的に取り入れられるようになる。更に、50年代にチューン "O" マティック・ブリッジが開発されると、ES-175を始めとするエレクトリック・アーチトップの多くのギターには金属製のチューン "O" マティック・ブリッジが組み込まれ、そのトーン変化さえもが多くの人に前向きに受け入れられた。

Text by JUN SEKINO

製品情報

https://www.j-guitar.com/products/list.php?category_id=101&keyword=Dove+J-200+Hummingbird&keyword_any=1&product_type_id=3&modelyear=1950%2C1960&category_id1=1

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定価1,620円(本体1,500円)A4判

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