フェンダーのギターやベースは、コントロール・ツマミやアウトプット・ジャックがコントロール・プレートに取り付けられているものが多い。これは、レオ・フェンダーが初めて生み出したハワイアン・スライド・ギターやブロードキャスター、プレシジョン・ベースの時代から始まっており、フェンダー以降のミュージックマンのギター/ベースやG&Lのギターにも使われている。
レオ・フェンダーが"コントロール・パネル好き"なことは間違いないだろうが、そのルーツはおそらく楽器以前に関わっていたラジオではないだろうか。ラジオのコントロール・プレートはごく普通なことだし、レオが最初に作ったギター・アンプはチューナーの無い真空管ラジオのようだったが、そこにもコントロール・パネルが使われている。
機能性を最優先させた楽器作りを行ってきたレオがコントロール・パネルを愛するのにはそれなりの理由がある。多くのコントロール・パネルには1ミリ厚ほどのスティール製プレートが使われているが、コードを差し込むジャックを補強するためのジャック・プレートの役割を兼ねてもいる。また、プレートの大きな役目にはノイズを減らすシールド・プレート機能がある。60年代に発売されたジャグアでは、コントロール・パネルが取り付けられているボディ側のキャビティにもブラス製のシールド板を取り付けることで、コントロール・パネル全体がひとつのシールド・ボックスになっている。ボリューム/トーン等のポット類を組み込むスティール製のプレートは、各ポットを結ぶアース・プレートにもなっており、アース側の配線を簡略化することができる。また、ポット類とアウトプット・ジャックといったコントロール類の集まったコントロール・プレートを、ギター本体の製造とは別に、効率よく作り置くこともできる。
ゴールド以外のフェンダー・コントロール・パネルはスティール板に、高価なクロム・メッキが施されていることも(ギブソンのメッキ加工がニッケルからクロムに変更されたのが1965年)、レオ・フェンダーのこだわる部分であり、フェンダー・ギターにはゴールド・ハードウェアの割合が少ないことを考えると、強い耐久性があり、鏡のように反射するクロム・パーツを好んでいた様子が伝わってくる。
60年代に発売されたギター/ベースには、似た形のコントロール・プレートが使われているが、その形はモデルごとに微妙に違う。また、60年代モデルのプレートはフリーハンドによる曲線で作られており、レトロなムードを醸し出している。
※写真上から、1961年製ジャズ・ベース、1964年製ジャガー、1965年製マスタング、1965年製エレクトリック XII、1966年製ベース V