インタビュー

幸運にもシャーベルから君のギターを作りたいと言われたんだ

以前、GAKKIソムリエではガスリー・ゴーヴァン・シグネチャー・モデルをレビューしている。10月上旬、東京と大阪で行われた「2015 シャーベル・ギター・スーパー・クリニック」のためにガスリーが単独来日した。
その際、我々はインタビューする機会を得たが、あえてプレイではなく、ギターについてのみ質問に専念した。というのも、レビュー記事でF1マシンのようなと形容したシグネチャー・モデルの開発経緯などを実際に使用しているギタリスト本人に話を訊く機会は少ないからである。
今回のTalk about・・は、ぜひ、楽器のレビュー記事「弾くための仕様とサウンドのこだわりを凝縮したスーパー・ギター」と併せてご覧いただきたい。

幸運にもシャーベルから君のギターを作りたいと言われたんだ

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▲CHARVEL Guthrie Govan Signature Model / Birdseye Maple Top 価格=オープン・プライス

 シャーベルとエンドースメント契約した経緯について教えて下さい。

 僕は昔からシャーベルのファンでしたが、数年前のNAMMショーで、シャーベルのスタッフからアプローチをもらいました。当時、彼等とは面識はありませんでしたが、「君のドリーム・ギターを作りたい」と、幸運にも彼らから言われたんです。 そして彼らは「1からギターを設計すること」と「僕に合ったギターを製作すること」を約束してくれました。そこで、僕のわがままを思う存分に聞いてもらいました(笑)。僕のリクエストは、海外ツアーでも一本のギターで様々なジャンルに対応ができ、耐久性のあるギターということです。どうしても他の国へ行くと気候の変化で、ネックの反りが生じやすく、困っていましたから。

 このギターのネックにはどのような工夫が?

 ネックはグラファイトによる補強とクックド加工されたメイプル材が使われています。それらがネックの反りを防いでいます。そして、耐久性もあります。クックド加工は木材に残っている水分を取り除き、ネックの反りを防いでくれます。通常のネックでは、海外など大きく環境が変わると簡単に反りやすく、一度反ると元に戻すのに時間がかかります。飛行機を降りて、3時間後にライブがあるような場合もありますから。

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 ボディもクックド加工がされているようですが?

 最初のプロトタイプではネックだけがクックド加工されていました。しかし、モデルを発表する直前に、シャーベルから「ボディのバスウッド材をクックド加工した」と連絡があり、すぐに試してみました。バスウッド材は特に繊細なので、クックド加工を行う際に微調整していかないと崩れやすいんです。だからバランスがとても難しい。ミディアムレアがベストかな(笑)。もちろんトーンも変わります。第三者よりも、まず弾いている自分の身体でギター本来の鳴りを感じますね。プレイヤーにとっては気持ちが高まります!

 全体の塗装がごく薄いのも特徴ですね?

 フィニッシュはあえて薄くしました。塗装が厚いとボディとネックの響きが異なるので、好きではありません。生音でも自然なトーンが得られるのが僕のスタイルです。

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 ネック・ジョイントとポケット部分が大胆にカットされていますね?

 ハイ・ポジションで弾く際に親指が引っかかりません。これはシャーベルからのアイデアです。ストレス無く弾けますよ。

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 チューニングが狂いにくい仕様をいくつも盛り込んでいますが、その中心となるトレモルノー(TREMOL-NO)について教えてください。

 シャーベルと出会う以前から僕はトレモルノーを知っていました。トレモルノーは研究を重ねないと良さがわからないし、特徴もわかりにくい。ですから他のギターブランドでは受け入れてもらえませんでした。それに組み込む手間と調整が大変だからです。僕はトレモロユニットの調整を目で確かめるのではなく、耳をヘッドの部分に当てながらアームを上下に上げ下げして行います。このようにしてナットと弦の間に摩擦がないかを聞き比べます。また、アームのバランスも大事なポイントです。金属と金属が擦れる音を無くすためにも微調整をします。例えば、静かな曲で調整がされていないアームから「カン!」と言う金属音が出たら演奏が台無しですからね。一音一音を大事にしながら音楽を奏でるのが僕の拘りです。 また、トレモルノーをロックすることでブリッジが固定され、ドロップDチューニングやカントリーのフレーズなどが弾きやすくなるのもメリットです。特にアリストクラッツの楽曲では、ドロップDが多いので、曲間に直ぐに変えられて便利ですね。そして、僕のわがままと拘りに応えて、シャーベルはオリジナルの(ファイン・チューナーがない特製)ブリッジを作ってくれました。

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 ピックアップはH-S-Hのレイアウトで、一般の5ポジションのスイッチとは異なる配線ですね。

 搭載されているピックアップはMFBです。まずはスタンダードなポジション(5)。これはブリッジ寄りのハムバッカー。このポジションはロック系の歪みに最適です。そして、ネック寄りのハムバッカー(1)はジャジーなサウンドが出せる優しい音色が特徴です。他に3種類の異なった音色が奏でられます。(ブリッジとセンターより4)昔ながらのストラトキャスターっぽい音色が得られるポジションです。(フロントとセンター寄り2)ミッドレンジが多く、オーバードライヴさせるとスティーヴィー・レイ・ヴォーンのような音色が得られます。(センター3)テレキャスターのようなサウンド。アタックが多く、早弾きには最適です。機関銃のようなポール・ギルバートのスタイルが再現できます。速く弾いてもメロディがはっきりと聞こえるのが特徴ですね。シャーベルに出会う前からこのワイアリング・システムが好きで、未だに欠かせないです。

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《ポジション1》 フロントPUのみ

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《ポジション2》 フロントPUのネック側+センターの組み合わせに加え、ハム・キャンセルの配線。

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《ポジション3》 フロントPUのネック側とリアPUのブリッジ側のコイルの組み合わせ。これもハム・キャンセルの配線となっている。

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《ポジション4》 センターPUとリアPUのネック側のコイルの組み合わせ。これもハム・キャンセルの配線。

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《ポジション5》リアPUのみ。

イラスト提供 / (株)神田商会

Interview by SHINGO HIRANO

※価格を含む掲載内容は2015年12月現在のものです。

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