インタビュー

UDO音楽事務所が所蔵する有名ギタリストのギターコレクション

Behind The Scene

高橋 辰雄

株式会社ウドー音楽事務所 代表取締役

 1月13日から2月1日までの期間限定で、伊勢丹新宿店メンズ館8階のチャーリーヴァイスで「フェンダー カスタムショップ コレクション」にフォーカスしたポップアップ・ストアがオープンしていた。23日には株式会社ウドー音楽事務所の代表取締役である高橋辰雄氏のトークショーが行われ、ウドー音楽事務所が所有するギターコレクションや高橋氏が手がけた有名ミュージシャンとのアーチストリレーションなど多岐について語られた。今回はそのトークショーからギターにまつわる話を中心にお贈りしよう。

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                  ▲株式会社ウドー音楽事務所 高橋 辰雄氏

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               ▲FENDER Stratocaster 1957年製 / エリック・クラプトン

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                ▲FENDER Stratocaster 80年代製 / ジェフ・ベック

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               ▲FENDER Stratocaster 70年代製 / リッチー・ブラックモア

 なぜアーティストの貴重なギターが、ウドー音楽事務所にあるのでしょうか?

 30年ほど前に、弊社で青山チケットエージェンシーというお店を乃木坂に開きまして、そこのディスプレイ用に色々なアーティストの方々に楽器の提供をお願いしたところ、快くみなさんからご提供いただけました。その中の3本を展示しています。エリック・クラプトンは、まだクロスロードセンターに関わる前で、使っていないギターをくれたのですが、とても貴重なギターです。オークションでブラッキーが1億円で落札されましたが、そのサブギターですから。ジェフ・ベックのストラトは、86年に軽井沢で開催されたフェスティバルで使用したギターです。これは使った期間も短くて、2年くらいじゃないかな...。エリックのトリビュート・コンサートで、Charさんがこのストラトを弾いたんですが、音が素晴らしくて...。それに黄色なので目立ちました。

 日本で使った後もピックアップを交換しているので、その後も使っていたんですね

 ジェフはサイン入りで送ってくれました。リッチー・ブラックモアのストラトも同じ時期ですね。でも、ジャックがキャノンに交換されていたので、専用のシールドを作って...。どのギターも、今となっては本当に貴重なものばかりです。

 ブラッキーがあの金額で競り落とされたことを考えると、想像を絶する価値が...。

 単に価値があるというだけではなく、音も良いですよ。そういう意味でもこの3本のギターは、今も生きてますね。


 それにしてもエリックは気前が良い...。
 
当時は何本もあるうちの1本で、あまりツアーでも使用しないし、スタジオでも使わないからということで...。まあ、弊社とのアーティストリレーションの中で、感謝の気持ちとしてプレゼントしてくれたんでしょう。

 確かUDOさんは、エリックのオークションでギターを落札されましたね。

 1999年の最初のオークションの時です。私もエリックに協力したくて、会社に提案してオークション会場に行かせてもらいました。ブラウニーが45万ドルで落札された時ですよ。本当はブラウニーを買うつもりで行ったんですが、とにかく最初からどのギターも3倍から5倍に跳ね上がるので、"これはとてもブラウニーは買えないな..."と。予算は20万ドルなので、ストラト、テレキャスター、335かなと、パンフレットを見ながらロットナンバーを選んで。決めたモデルのときは、ハンマーを打つ人の目をじっと見つめながら、怨念を込めて...(笑)。それでどうにかES-335を...。価格が上がるとは思ったけど、まさかブラッキーがあそこまで...。

 UDOさんにはそういったギターが何本くらい保管されているんですか?

 今13~14本ほどありますね。サンタナの73年の日本公演で使用したレスポールとか、ギブソンのジョー・ペリー・モデル、あとは最近亡くなったグレン・フライが使ったアコースティック・ギター、ネイザン・イーストのベース、ヌーノ・ベッテンコートのギター、ポール・ギルバートのアイバニーズ、などです。

 エリックは、これまでに何回ジャパン・ツアーを行いましたか?

 基本的に2年おきなのでツアーは20回くらいです。1度変則的に、91年に行われたジョージ・ハリスンとのツアーの翌年にも来ていますけどね。2016年の来日公演を入れると日本国内で211公演になります。武道館公演は91回です。海外アーティストで武道館公演を行った回数は1番です。

 高橋さんは、クラプトンが初来日した74年にUDOさんに入られたんですね。

 74年の秋にアルバイトで入って、10月がエリックの初来日でした。翌年正式に社員になって彼のツアーに参加しました。

 まさにクラプトンと共に歩んできた...。

 やはり雲の上の人でしたし、憧れの人でしたね。74年頃からクラプトンはお酒やタバコを止めた時期を間近で見てましたから、色々と思うことはありますね。お酒をどのように止めたのかということを、世界各地の教会で話し合いをしているんですが、エリックは日本に来た時もスケジュールが合えばその集会に行ってました。一度ジョージ・ハリスンが来ている時に、エリックも同じ教会に行ったんです。そしたら教会にいた人達がびっくりしちゃって(笑)。

 エリックから高橋さんの携帯に電話が掛かってくるそうですね。

 以前はよく、日本でしか買えないものとかあると電話が掛かってきましたね。81年に福岡サンパレスのこけら落としでレインボーの公演があったんです。始まる寸前までリッチーといたら、エリックから電話がありました。で、ちょっと話をして電話を切ったらリッチーに「誰の電話だ」と聞かれたので、「エリックだよ」と答えたら「あ~あいつ良いやつだ」って(笑)。リッチーはあまり人を褒めるタイプではないんですが、いかにエリックが信頼される素晴らしい人物かということがわかるエピソードです。

 アーティストと強い人間関係で結ばれているようですね。

 そうですね。信用を築くのはとても時間がかかるけど、その信用を失うのは一瞬ですからね。そのプレッシャーはいつもあります。でも、40年間この仕事をしていますが、いろんなミュージシャンと知り合えて、つくずく面白い仕事だなぁと思います(笑)。中でも、リッチー、エリック、ジェフの3人には特に影響を受けましたね。3人とこの40年間の中で、何回もツアーをやって、飲んだり食ったり時間を共有する中でわかったのは、やはり持続することが大切だ、ということですね。まさに継続は力なりですよ。

 本稿は月刊『Player』2016年4月号「Behind The Scene」にテキストを加筆、写真を追加したものです。

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2019年11月1日(土)発売

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