今回はアーティストの意見をどこにどのように反映させられているか、ニューモデルの0303Zはどのようなモデルなのかを(株)池部楽器店の稲澤仁市氏に話を訊いた。
これまでEVOではアーティストとどのように関わってきたか教えてください。
EVOはタルボからずっと一緒にやってきたGLAYのHISASHIさんへの私からの投げかけからスタートしました。最初はマホガニー・ネックのタルボなど、色々サンプルを作っていたのですが、「何か(最初から)新しくやりましょうか」ということになってEVOがスタートしました。小型で洒落っ気があって、でもすごく良い音がするギターがあったらいいなと思ってたんです。最初に提案された0101Zのボディは(発売されたモデルより)もっと小さかったんです。ですが、HISASHIさんに見せたところ「もうちょっと大きい方が良いんじゃない?」と意見をいただいて。初めはボディをくり抜いたデザインのみでしたが、「トップもあった方が良いんじゃない?」との提案をいただいたので、トップ有りと無しの両方のモデルを作ることになりました。元は22フレット仕様だったのを、HISASHIさんの希望で24フレット仕様に変更しましたね。
もう一人のキーパーソンと言える平沢進さんとの関わりは?
EVOが完成した後、以前からタルボを愛用していただいている平沢進さんにもぜひ見ていただきたいと思って、平沢さんには3日間あったライブの真ん中の日にEVOをお見せしたところ、最終日に使っていただいたようです。非常に気に入っていただけました。平沢さんとはいつもお話をさせていただいており、「もっとこうしたい」っていうリクエストもいただいています。それを叶えるために色々進化しています。
Raptor 9のタカさんからも色々意見をもらっていますよね?
実はタカさんには3本も購入していただいているんですよ。彼は全部ダウン・チューニングで、3本とも違うチューニングで使っているそうです。どちらかと言えばポップな音楽性ですが、すごく重厚な音を出すバンドでは0202Zを好んで使ってもらっています。そして、もう一人、ADAPTER。の福助。さんには0101Zを使っていただいてます。彼は平沢進マニアなんですね。メトロノームやTHE BEETHOVEN 、DJ- ADAPTER。等も平行して活動していますが、彼もアンプにアプリを使うような面白い斬新な音楽性です。
EVOはライブだけでなく、レコーディングでも独特のサウンドが重宝がられているようですが?
そうですね。平沢さんはリスナーから「他のギターでは、どう弾いているかわからなかったフレーズが、EVOを使うようになってから(クリアに)わかるようになりましたよね」と言われたそうで、すごくマニアックなリスナーだなと(笑)。このようにレコーディングでも好評です。自分のイメージ通りな音が出せて、弾きやすいようですね。
まず、0303Zのコンセプトとして、もっと重厚な音にしたい、というのがありました。Raptor 9のタカさんのセッティングをもっと発展させたような。0303Zはストップ・テイルピースがデフォルトの仕様です。トレモロはオプションで付けられますし。今も細かい仕様は詰めているところです。同時進行で、314スケールのモデルなどもテストしていて、もうすぐお披露目できるかと思います。
0303Zはボディのアウトラインが変わりましたが、デザインにおけるコンセプトは?
デザインに関しては、サウンドとかバランス面とかを考えると、こういう(ややボディの幅が広い)形にならざるを得ない部分もあるんです。ただ今回、僕が目指したのは、ローランドのG-303なんですよ。G-303を参考にしつつ、24フレットにして0303Zのデザインを作り上げました。
G-303をモチーフにした理由は何ですか?
単純に好きだからです。あともう一つHISASHIさんがぽろっと漏らしたストラップ・ピンの位置の意見ですね。0101Zと0202Zはストラップ・ピンが12フレットの位置にありますが、それを15フレットの位置にしたかったんです。ギターを持ったときのバランスを考えて。そういったことを考慮した結果、このデザインになりました。重さも0101Zや0202Zより少しだけ重くなりましたが、その分重厚な音が出るようになりました。ヘッドもバランスを考えて3対3にしています。
バリエーション・モデルは用意されますか?
0101Zや0202Zと同様、GKドライバーやPRSピックアップを搭載したモデル、トレモロを搭載したモデル、ケミカル・ポリシングを施したモデルなどもラインナップしていきたいと思ってます。
エングレイブなどはいかがでしょうか?
これまでもエングレイビングしたモデルは何本か作りましたが、僕がエングレイブをお願いしている方が、和彫金と洋彫金の両方できる方なので、そんなバリエーションもこれから用意できればと思っています。あとは今、全く新しい技術を使った3次元ホログラムの案も練っているところですので、ご期待ください。
『2016楽器フェア』で展示とブース内で限定販売されていたタルボとEVOのギター・フィギュアについてですが、あれはどういった経緯で製作されたんですか?
実はその前の『2014楽器フェア』でもフィギュアを会場限定販売をしましたが、少しデフォルメされていて、形が違ったんですよね。それはそれで面白くて好評だったんですが、今回はそれよりもパワーアップしたかったので細かく確認して。それと、ぬくもり感も欲しかったので、手作りでリアルに仕上げてもらいました。
▲ EVO 0303Z Hybrid '17 LTD Jet Black Proto 価格=248,000円(税抜)
▲ブリッジやテイルピースを中心に円を描くような、これまでと異なるやや幅広いボディのアウトライン。
▲ストラップ・ピンの位置は15フレット位置。これによりボディの重量バランスが向上。
▲トップを残し、ボディバックを削り出した独特のエングレイブド・オープンバック構造。
▲ペグの配置は片側6連ではなく、3:3となった。ネック材はホンジュラス・マホガニー。
問い合わせ : 池部楽器店 グランディ&ジャングル TEL 03-3464-2750 http://www.ikebe-gakki.com/realshop/grandey-jungle/