大学のサークルで初めてバンドを組み、クラプトンの「愛しのレイラ」をコピーした時からストーリーは始まった。ヤマハ、フェンダー、アレンビッグ、スタインバーガー、ヴァレイアーツ、ペンザ・サー、ジェームス・タイラーなど、新たなギターを手にするたびに、ギターの世界が広がった...。そしてレスポール・スタンダードとカスタムショップの1954 ストラトキャスターを手にした時、旅の終着駅が見えた気がした。しかし、ここが本当に自分の終着駅なのだろうか...。そこには、ここから出発する新たな列車を捜している自分がいた...。
■「愛しのレイラ」をコピーしろ
本日お持ち頂いたモデルは、1954年タイプのストラトキャスターですね?
ええ、2014年に発売されたストラト誕生60周年記念モデルです。これを買った時は、1956年のリイシュー・モデルなど、幾つかのモデルと弾き比べをして、音の良さと軽さで選びました。とにかくこのストラトは生鳴りが凄いです。塗装が薄いこともあると思いますが、良く鳴ります。しかも凄く軽いですよ、ボディがアッシュだからですかね。とても気に入っています。
実は90年代の初頭にも1954年モデルのカスタムショップ製のストラトを持っていました。弟がエリック・クラプトンの大ファンで、87年の初期のカスタムショップのブラッキーモデルを持っており、それがとても良かったので私もカスタムショップ製を買ったんです。でも、ネックグリップなどが今ひとつ好みではなく、しばらくしてから手放しました。今日持ってきた54ストラトは、2本目のカスタムショップの製品です。
最初期のストラトを再現した仕様ですが、かなりヘヴィなレリックですね。あっ、本当に軽い...。ピックアップカバーやコントロールノブなどの形状や質感も、オリジナルによく似ていますね。
ええ。ヘヴィレリックは気に入っているのですが、人によると嫌がるかもしれませんね。弟は"なんで最初からキズだらけなんだ!"って言っていますよ(笑)。
あっ、確かに生音が凄い! サステインが長いし、ボディが綺麗に響いていますね...。
ね、良く鳴るでしょ!(笑)。
最近もバンドをやられていますか?
いや、今はやっていないですね。仕事が忙しくなって止めてから...。僕は元々高校の時にフォークをやっていたんです。エレキを買ったのは大学に入ってからですね。大学のサークルの先輩から"バンドに入れてあげるから、クラプトンの「愛しのレイラ」をコピーしろ"っていきなり言われまして、大急ぎでヤマハのエレキを買ってコピーしました(笑)。その時からエレキを弾くようになったんです。リードギターをコピーしたのも「愛しのレイラ」が最初でした。
■結局ストラトに戻っちゃいました
社会人になってからはどのような音楽を?
何でも聴きますよ。働いてからは多少お金も使えるようになったので、ギターもずいぶん買いました。ジャズも凄く好きで、渡辺香津美さんに憧れてアレンビックとスタインバーガーを買いました。スティーヴ・ルカサーに憧れていた時は、ヴァレイアーツやジェームス・タイラーを買ったり。タイラーは、シリアルナンバーが"16"番だから最も初期の製品で、珍しいエボニー指板のモデルです。でもその後しばらくギターを買っていなかったんですが、仕事で数年間中国に赴任する機会がありまして、向こうで時間もあったので何度もツェッペリンを聴き直しているうちに、凄くレスポールが欲しくなりまして。昨年日本に帰ってきて、トゥルーヒストリックのレスポール・スタンダードを買いました。それから、元々クラプトンが大好きなので、やはりストラトの良い奴が欲しいなって思うようになって、カスタムショップの製品を捜していたんです。で、最近ギター好きの友人にこのギターを紹介してもらいました。本当はブラッキー・タイプを買おうと思っていたのですが、この54タイプがとにかく音が良かったので、思わず...(笑)。
これまで、スタインバーガーやタイラーなど色々なギターを使用していたわけですが...。
そうですね、かなり色々なギターを弾いてきました。でも、結局トラディショナルなモデルに落ち着いちゃうんですよね。僕血液型がB型なんですけど、欲しいと思い始めるともうダメなんです。それしか見えなくなっちゃうから...(笑)。まあ、ストラトの54タイプはいつか買うだろうと自分でも思っていましたから。
自分も経験ありますが、色々なブランドのギターを見ていると、あれも良いこれも良いって思えてきて、ギター探しの旅に出るんですね。でしばらく旅をして、ある時ふと自分の原点を見つめ直したとき"やっぱりトラディショナルなギターって良いな〜"って思ったりしますよね。
そうそう、そうなんですよ〜。僕は正にそれですね。結局レスポールとストラトに戻っちゃいましたから。
気に入ったストラトが手に入っても、別のタイプのストラトが気になりませんか?
それはなりますよ(笑)。ストラトって、メイプル指板の他にローズウッド指板があるじゃないですか、やはりローズ指板は欲しいですね。あと、2トーンサンバーストも良いけど、カラーものも欲しいな...、バーガンディミストだとかキャンディアップルレッドだとかね...(笑)。でも、やっぱりローズウッド・ネックは1本欲しいですね、61年あたりのスラブネックのね。だとやっぱり3トーンサンバーストかな...。レスポールの場合は、指板は全部ローズウッドだから選びようがないけど、フェンダーはね〜。だから、ちょっとずるいよね(笑)。ん〜ローズ指板が...。
(笑)まあ、スラブでもラウンドでも良いですが、ローズウッド指板は1本欲しいところですね(笑)。
そうなんですよね...。スラブが1本欲しいな、3トーンの...。
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■FENDER Custom Shop Stratocaster 60th Anniversary 1954 Stratocaster
ストラトキャスター誕生60周年を記念して企画されたモデルで、2014年にカスタムショップから限定発売された。1954年に発売されたストラトの中でも、最も初期に生産された100本ほどのモデルは、一部特別な仕様を持っている。写真のギターは、その特別な仕様をリアルに再現した仕様で生産された。
モデル最大の特徴は、シリアルナンバーがネックプレートではなく、ボディ裏のトレモロのバックプレート部分に刻印されている点。また、ピックアップカバーやコントローラーのツマミなど、プラスティックパーツがやはり最初期の形状や質感を忠実に再現している。かなりヘヴィなレリック仕様になっているのも大きなポイント。
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! Vol.7
渡辺 敬友 / 1957 Stratocaster , 1962 Stratocaster NOS
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! Vol.6
小島 章紘 / 1959 Jazzmaster NOS
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! Vol.5
久保田 衛 / 1966 Stratocaster
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! vol.4
北川 裕康 / 1957 Stratocaster Dennis Galuszka
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! vol.3
池田 進太郎 / Custom Telecatser
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! vol.2
永田ショーザブロー / Harrison Tribute Rooftop Tele
連載 ギター・ラブ・ストーリー We Love FENDER GUITARS! vol.1
篠田 徹 / 54 STRAT, Michael Landau Signature 1963 Relic Stratocaster