インタビュー

Living with Martin Guitar vol.1

Living with Martin Guitar

大森 勲

 『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画【Living with Martin Guitar】は、マーティン・ユーザーのギターライフを語ってもらうインタビュー・コーナー。音楽とギターとの出会い、マーティン・ギターの魅力、そして日々の生活でのマーティン・ギターの存在・・・。憧れのマーティンを手にした喜びをインタビュー!

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 現在小学校の教員を務めながら、40年以上に亘る音楽活動を続けている大森勲さん。現在、彼が演奏しているジャズやオリジナルのフュージョンという音楽性からはマーティン・ギターとの繋がりは想像しづらいが、どのようなギターライフを経てマーティンに辿り着いたのか? 今回は付き合いの長いクロサワ楽器店ドクターサウンドの飯野盛芳さんも交えて、インタビューを敢行。"あなたにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?"

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アコースティック・ギターのデュオとか、ジャズ的な即興演奏に憧れがありました

ー音楽に目覚めたきっかけは?

大森:元々出身は大阪なんですが、中高生の時、香川県に住んでいたことがあって、高校2年生の夏に海辺に遊びに行ったら、友達がギターを弾いてまして。その友達がギターをやってみないかって、なぜかギターを貸してくれたんですよ。最初はフォークソングのコピーから始めて、一ヶ月ぐらいしたら弾きながら歌えるようになったんです。そしたらどんどん弾けるようになって。そこからどっぷりとギターにハマりました。

ーその当時はどんな音楽が流行っていましたか?

大森:ちょうどフォークが真っ盛りの60年代後半ぐらいですかね。一番ハマったのは、五つの赤い風船、フォーククルセダーズ、それからPP&M(ピーター・ポール&マリー)、サイモン&ガーファンクル。だけど大学に入った頃から当時のフォークに興味がなくなり、ジャズやフュージョンに興味がいきました。きっかけはジョン・マクラフリンとクリスチャン・エスクーデのライブ(ラリー・コリエルも共演した、1980年に田園コロシアムで行われたライブ・アンダー・ザ・スカイ'80)を観て大きな衝撃を受けました。それで、翌年にはオベーションの1617リジェンドを買って猛特訓が始まりました(笑)。

ー基本的にはアコースティック・ギターがお好きなんですね。

大森:アコースティック・ギターのデュオとか、ジャズ的な即興演奏に憧れがありました。でもジョン・マクラフリンやアル・ディ・メオラとかはエレキも弾くので、レスポールを買ってそうした曲もコピーしました。

ー大森さんが初めて買ったギターは?

大森:高校2年生の時にお年玉で買ったヤマハFG-230という12弦ギターです。本当はFG-180を買うつもりが、たまたま楽器店になくてそっちを買ってしまいました。12弦なのでチューニングが大変なんですけど(笑)。

ー大学を卒業されてからは、どのようなお仕事をされていましたか?

大森:家庭教師や就職情報誌の営業他、幾つかのアルバイトを転々としながら教員採用試験を受けていた状況で、今でいうフリーターのようなものでしょうか(笑)。それから勤め始めて、最終的には自分で塾を10年間経営したり、パソコンを教えたり、ギターを教えたりしていました。今から15年ぐらい前までですね。その後、49歳の頃に、公立小学校で臨時教員をするようになりました。今年はたまたま専科ですが、クラス担任を持って全教科を教えることが多かったですね。子どもは好きなんですが、担任になると事務仕事や会議が増えるので、ギターを弾く時間が少なくなるのが辛いですね(笑)。

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自分に合うギターがだいぶわかってきました

ーマーティンに興味を持ったきっかけは?

大森:ギターを始めて間もない頃は、マーティンの「マ」の字も知らなかったんですが、雑誌などを読んでその存在を知りました。当時の国産ギターでは出せない"チャリ〜ン"って音に憧れました。どちらかというとポール・サイモンやPP&Mといった海外のミュージシャンのギターの音が好きで、また、CSN&YのD-45のキラキラしたデザインはカッコイイなって思いましたね。

ーマーティンを初めて手に入れたのはいつ頃ですか?

大森:1996年に買ったエリック・クラプトン・モデルの000-28ECです。いろいろ試してみたら000の小さいボディの方がバランスが良く思えて、音も煌びやかだし、弾きやすかったです。実は70年代に当時のマーティンを弾いたらすごく音が良かったんですが、その後80年代に当時の新品を弾いたら、あまり良くなかった記憶があって。でもこの000-28ECからは、70年代に弾いたマーティンの良さが蘇ったんです。

ー000-28ECはネック・グリップが独特ですが、弾き辛くなかったですか?
 
大森:ガット・ギターも弾いていましたから、ネックの太さや幅はあまり気にならなかったですね。だけど今まで数多くのギターを買っていろいろ学習してみた結果、今ではちょっと弾きにくいな、と思います(笑)。

ーかなりの本数を買われたのですか!?

大森:ちょっと本数は覚えていませんが、今持っているのは10本程度です。エレキもかなり試しましたが、アコースティック・ギターが多いですね。私の場合、アンサンブルで試してみて「ちょっと違うな...」と思ったらすぐ手放しますので。そうして学習して、自分に合うギターがだいぶわかってきました。

ーアンサンブルということは、音楽活動はずっと続けているのですか?

大森:そうですね、20〜25歳の頃はやっていない時期もありましたけど、80年代に入ってからはギターデュオやバンド活動をずっと続けています。

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クロサワ楽器ドクターサウンド 飯野盛芳フロア長(写真左)と。大森さんとは、飯野さんがクロサワ楽器町田店に在籍時からの付き合いとなる。

まあ、これが「何だコレ!ヤバイよ!」って(笑)

_MG_3672.jpgー本日お持ちいただいたマーティンを購入したきっかけは?

大森:これが傑作でね、最初は全く眼中になかったんです。以前はD-18系しか興味がなくて、スタンダードのD-28にあまり良い印象がなかったんですが、ここ2〜3年ぐらいに新品を弾いてみたらすごく良いんですね。一時期に持っていたCTMの000C-28Hカッタウェイが良いギターだったんですよ。それでそのギターをお店に持っていって、これに似たようなD-28を探そうと、飯野さんと二人でお互いに伴奏やソロを弾きながら試してみたんです。何本か弾いてみた中で、ちょうどこのD-28が飾ってあって。すごく高価なギターなので買うつもりはなかったのですが、これをD-28の音の基準にしようと飯野さんに伴奏で弾いてもらったら、まあ、これが「何だコレ!ヤバイよ!」って(笑)。

ーついに理想のD-28が見つかったと(笑)。

大森:まず低音が締まっている、あと淀みが全くない、レスポンスが目茶苦茶良い。こんなギターってあるんだ、って。

飯野:音の粒立ちもすごく良いですね。

大森:それにネックも握りやすい。以前にはオールドのハカランダのD-28も弾いたんですが、私には弾きづらいし、音も思ったほど良くないし。ハカランダとかあまり関係ないんだなって思いましたね。

ーグアテマラン・ローズウッドはどんな特性があるのですか?

飯野:ハカランダに近いところはあります。僕の主観ですけど、例えばマダガスカル・ローズウッドと比べると、中南米産のココボロとかグアテマラン・ローズウッドの方が、レスポンスの良さとかはハカランダに近いと思います。

ー元々は18スタイルのマホガニー・ボディの方がお好みだったんですよね?

大森:このグアテマラン・ローズウッドのD-28は、マホガニーの気持ち良さも入っている感じがします。

飯野:(マホガニー特有の)ミドルの美味しいところですね。

大森:だからね、このギターはパーフェクトなんですよ。弾いていてストレスを感じないギターです。 今まで弾いたマーティンの中でこれが最強かなって自分では思っています。

ー先ほどボサノヴァ風のフレーズを弾いておられましたけど、柔らかいニュアンスも出ていますね。

大森:そういうのも全然イケるでしょ? 割と硬質な音のイメージがあるんですけど、どこか柔らかいんですよね。しなやかさがあってカチンカチンじゃない。それが絶妙なバランスなんですよ。

飯野:あと、サステインも長いですよね。

大森:(ギターを弾きながら)高いポジションを弾いてもサステインがあって、弱く弾いてもちゃんと鳴るし。あと低音の締まりがね。この低音で伴奏してもらってソロを弾くと無茶苦茶気持ち良いんです。伴奏する楽器としても優れていて、ものすごく音が前に出るけど邪魔にならない。(ストロークで弾いて)音はすごくデカいのに意外と邪魔してこないんですよ。このギターに限らず、今のマーティンは全体的に弾きやすいですよね。操作性が抜群に良くなっています。

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このギターを弾くことで、何かが自分から引き出されるんでしょうね

ー普段の音楽活動でもこのマーティンが活躍していますか?

大森:いや、まだ、バンドとかでは使っていないんですよ。使いたいんだけど、ピックアップを入れなきゃいけないから。以前D-18でやってみたら、生音が変わっちゃって。すごく繊細なんですよね、マーティンって。だからちょっと変えただけで音に影響が出ちゃう。ギブソンは(ピエゾを)入れてもそんなに気にならないんですよね、不思議なことに。

ーでは、このギターはもっぱら自宅で弾いている?

大森:家で弾いたり、あとはフォーク喫茶みたいなところに持って行って、自分のオリジナル曲のマイナスワン音源に合わせて弾いたりしてます。以前はガット・ギターで弾いていたのを、このギターに替えても存在感が変わらないんですよ。ガット・ギターって音が太いので、普通のスティール弦のギターだと存在感で負けちゃうんですよ。だけどこのギターだと負けない。このギターで新しい世界が構築できるな、と(アレンジなどを)考えています。

ー弾き語りなど、歌の伴奏ではいかがですか?

大森:すごく良いですね。このギターを伴奏に歌うときは、なぜか声がしっかり出ます。ギターによっても変わるんですよね、不思議なことに(笑)。

ーギターの音が良すぎると、声とバランスを取るのが難しいということを聞いたことがあるのですが?

飯野:そうおっしゃる方は多いですね。

大森:あとはコントロールですね。弾き方を変えてあげればいいんです。出過ぎてしまうところを抑えて弾くとか。それができないと声の方が負けてしまうんです。このギターはピッチもしっかりしてるので、音程をつかみやすいです。このギターを弾いて歌った時に、この歳でも結構声が出るんだな、ってびっくりしました。000の時とは違う声が出ましたね。弾くことで、何かが自分から引き出されるんでしょうね。オールジャンルで何にでも使える。これでガット・ギターのフレーズを弾いても良い感じですしね。このギターは今が出来すぎてるので、これから時間が経っていくとバランスが崩れるんじゃないかと心配だし、なんだか鳴り過ぎて恐ろしいぐらいです(笑)。まあ、すごいのに出会っちゃいましたよね...。

ー最後に、大森さんにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?

大森:心を穏やかにしてくれるものですかね。音色が素晴らしいんで、夜中に鳴らして"ああ、良い音だな"って思えるギターです。家で弾くのと違うんだけど、ライブでもそんな感覚でギターを弾いてみたいですね。

大森 勲/1954年生まれ・大阪出身:高校2年の時にギターに魅せられて以来、フォークから20代の頃に受けたジョン・マクラフリンの影響でジャズ/フュージョンに傾倒。塾の経営を経て、現在は教員として小学校に勤務する傍ら、自身のリーダーバンド「大森 勲グループ」を率いて都内を中心にライブ活動を行う。YOUTUBEチャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCq7UbMKPmpqc_Or_aFbl2sg

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MARTIN Custom D Style-28 Guatemalan Rosewood 2015

 数々のアコースティック/ガット・ギターを弾いてきた大森さんから「パーフェクトなギター」と言わしめた、2015年製のカスタムショップ製のD-28モデル。サイド/バックがグアテマラン・ローズウッド、トップがシトカ・スプルースのプレミアム・グレード。トップはヴィンテージ・トナー入りの塗料による、程良く黄色味が強いカラーが雰囲気がある。また、シリアルが"1882881"と、数字の並びがシンメトリーになっているのが、ユニークで気に入ってるとのこと。

<撮影協力ショップ:Dr.Sound Acoustic>
_MG_3841.jpg 御茶ノ水エリアのクロサワ楽器店のアコースティック・ギター専門店。マーティンを始めとする国内外の有名ブランドの製品を多数揃えている。マーティンは常時150本以上をラインナップしており、レギュターモデルからカスタムショップ、ヴィンテージまでバリエーション豊かな在庫が特徴。その他、エレアコ・ギターや、アコースティック・ギター用ピックアップ/プリアンプ/アンプにも力を注いでいる。

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-22
TEL:03-3291-9791
http://www.kurosawagakki.com/sh_dr/indexag.html

Dr.Sound AcousticのMARTINの在庫は→こちらをクリック

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Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

製品情報

MARTIN D-28

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