インタビュー

TWEEDEES、ミニアルバム『à la mode』ロングインタビュー Part.1

「ついポロッと“最高傑作できちゃった!”って口から出ちゃったんですよ。それが自分でもヤバイって思ったんですけど…」(TWEEDEES/沖井 礼二)

 Cymbals、FROG、SCOTT GOES FORらでのバンド活動、作家活動を通じて、一貫してオリジナリティと愛にあふれる高品質なポップミュージックを次々に具現化してきた沖井礼二。トレードマークのリッケンバッカーベースによる躍動感たっぷりのラインと、ギターや鍵盤で感じさせる独自のボイシングもまた健在。そうした沖井のマルチプレイヤー的側面とアレンジ美学に毎度胸を熱くしているポップファンは僕も含めて多いわけだが、まさかの清浦夏実とのタッグでTWEEDEESというバンドが生まれたのはミラクルだった!

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トゥイーディーズ
『à la mode』

◇日本コロムビア
◇COCP-39984 
◇6月21日リリース 
◇2,200円(税抜)
http://www.tweedees.tokyo/

 『The Sound Sounds.』『The Second Time Around』という2枚の傑作アルバムを経て、2017年6月にはミニアルバム『à la mode』が完成。かのTVアニメ"おじゃる丸"の主題歌「プリン賛歌」をまさにTWEEDEESならではのアレンジでカヴァーしてみせたが、このアルバムには「未来のゆくえ」「à la mode」「君は素敵」など、これまでのTWEEDEESの看板曲と共に肩を並べるキラーチューンが収められている。さらに新境地のミディアムナンバー「悪い大人のワルツ」、TWEEDEESが仕掛ける新たなバースデイソングのスタンダード「Birthday Song」も楽しい。清浦夏実の美しいボーカルの魅力、二人こだわりのコーラスワークも聴きどころだ。ボーナストラックではライブで定番の「PHILLIP -TWEEDEES ONLY ver.」(原曲はツインボーカルナンバーだったが清浦夏実によるフル歌唱で収録)も収められるなど、TWEEDEES入門者にはまずこれ!という仕上がり。

 2015年結成以後、世代も音楽的出自もバラバラな二人が、バンドという可能性に魅了されてそれを切り開いてきたがゆえの境地が『à la mode』に結実したのである。

 TWEEDEESを育んできたその経緯と共に『à la mode』についてたっぷりと語ってもらった超ロングインタビューがこれだ! 非常に長いインタビューとなったので、3パートに分けてお届けしよう。ぜひお楽しみいただきたい。

sA73W2862.jpg ▲沖井礼二

s_34A4146.jpg ▲清浦夏実

『これはおじゃる丸じゃないです、沖井さん』ってアドバイスして

ー結成以来、お二人が取り組んでいるバンド感というか、それがずっと続いているイメージできているのが面白いですね。

沖井:そう言っていただけて嬉しいですね。お客さんの反応を見ていたら"TWEEDEESがとうとうTWEEDEESになった"と表現している方がいて。多分そう仰っている方は元々清浦夏実のファンだったり、僕がやっていたCymbalsだったりがずっと頭にあって、それと比較しながら聴いてきたんだろうなと。そしてとうとう比較対象とは関係なくなったんだなって思ってくれたのが凄く嬉しくて。あと我々もそんなことを思い出せなくなっちゃったという、わりとそれくらいの感じだったりするので。

清浦:思えば遠くに来たもんだって感じですね。

沖井:そうですね、さすが3B(笑)。※清浦はかの「3年B組金八先生」で女優を演じていた。

ーなんかこのお二人の掛け合いがいつも面白くて(笑)。

清浦:漫才って言われます。

沖井:『à la mode』のジャケットも漫才っぽいしね(笑)。スタイルカウンシルのつもりが漫才になっていたという(笑)。

ー清浦さん、バンドは楽しいですか?

清浦:楽しいですね。年々楽しくなっている気がします。最初の頃はお互いのスタイルとか意見のすり合わせが必要だったんですけど、最近は"沖井さんはこういうのが好き、私はこういうのが好き"みたいなものを把握した上での提案ができているので、どんどん楽になっていますね。

沖井:もう歩み寄っている気持ちはないよね?

清浦:言うことは言っているし。

沖井:そこは僕がとか、この人がとかっていうのではなくて、多分共通の興味の対象としてTWEEDEESがあって、それに何を食べさせたいか、着させたいか、どういう風に育てていきたいかっていう感じでやっているから、話し相手としても成立すると思うんですよね。わりと我々のエゴではないところで動いているから。

ーソロシンガー清浦夏実には歌手活動休止事件っていうのがあって、僕らにはトラウマが残っているのですが...。

清浦:大変申し訳ありませんでした(笑)。

沖井:5年前の4月4日(笑)!

ーそれがまさか沖井さんとバンドを組んで戻ってきてくれるとは!と。しかも単にソングライターとシンガーみたいに分担作業の関係性ではなくて、ソングライティング面でも共作が増えていたり、TWEEDEESならではの関係性になっているのが面白いです。

沖井:そうしなければ続かないだろうし、僕ら自身も面白くなくなっちゃうと思うんですよ。この人にただ楽曲提供しているだけになったら僕も飽きちゃうだろうし。そうではないところで、退屈しないためには驚きが必要じゃないですか? そこで僕にとってはこの人の持っている何か、この人にとっては僕の持っている何かっていうのに、常に驚き続けるのを期待しつつやっているからそうなると思うんですよね。僕が曲を作っていってこの人に駄目だしされることも結構あるし、作詞とかに関してもそれぞれが書くこともあるけど、クレジット上はどっちかの名前になっていてもそこにはいろいろ相談があるしね。

清浦:そうですね。はっきりとした境界線って説明しにくいというか。溶けているところがとても多い気がしています。

沖井:多くなってきているよね、凄く。それが楽しいんだろうなぁと今やっていて思います。ユニットというよりは有機的なもののような気がしています。

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ー沖井さんが作家として他の人に書かれる曲なり、これまでやってきたバンドと比べると、TWEEDEESの作る音って50'sや60'sのスタンダードなテイストが盛り込まれていたり、激しくてパンキッシュであっても気品があるというか。『à la mode』はそういうTWEEDEESイズムが見事凝縮されている気がします。TWEEDEESの新たな名刺代わりになるような曲がいっぱい入っているなと。

沖井:『à la mode』制作のきっかけは、まず去年の夏にNHKさんから"アニメおじゃる丸の「プリン賛歌」をカヴァーしませんか?"ってお話をいただいたところから始まっているんです。そこでプロデューサーさんから"ギッタギタにTWEEDEESの曲にしてしまってくれ"と。"ベースはリッケンバッカーで頼む"と...。

清浦:非常に理解のある(笑)。

ーえーっ !? ではタイアップ的なところというより、最初っからTWEEDEESありきできた仕事だったんですか?

清浦:そうですね、ご指名いただきました。

沖井:多分意識してアニメのイメージに寄せて欲しくはなかったんだろうなって、ある種異物の融合としての面白さを求められたのかもしれないって思ったんですけど。そこまでTWEEDEESらしさをわりと強調された感じだったので、"じゃぁ、TWEEDEESにしてやろう"って身構えるんですけど、凄くメロディの綺麗な曲だからどんなアレンジにしても良くなるんですよ。いろいろできちゃう中で"どうするのが一番TWEEDEESらしくなるのか?"と、逆にこっちが悩む状況になって。何がTWEEDEESなんだろう?って分析するところから始めなきゃいけなくなったんです。結果として「プリン賛歌」は今までTWEEDEESがやってきたことをある程度デフォルメしたようなものになっているような気がするんですよね。TDでついポロッと"最高傑作できちゃった!"って口から出ちゃったんですよ。その時自分でもヤバイって思ったんですけど、これが最高傑作だとすれば今後これを超えていかなければ、TWEEDEESはカヴァーに負けちゃったことになるんですよね。TWEEDEESらしさもありつつのメロディ、楽曲のクォリティ的にも負けないものを集めた作品にしなきゃいけないと。で、ミニアルバムを作ろうとなった時に、僕が90年代にCymbalsで出してきたミニアルバムってノベルティっぽい感じがあったじゃないですか? そうではなくて、iTunesみたいなので「プリン賛歌」を買うために開いてみたら、試しに聴いた他の曲も良いからついでに買おう、結局全曲買っちゃったみたいな内容にしなきゃ駄目だなと。ミニアルバムだったらそういう濃いものばかりを集めても聴き疲れもしないし。

ーではミニアルバムという形態は最初から決めていたんですか?

沖井:僕がミニアルバムにしたいって言いましたね。

ー正直「プリン賛歌」をカヴァーって聞いた時、ファンは複雑だったと思うんです。ひよっていたら嫌だし、そもそもあれが沖井サウンドになるのかとも思っただろうし。ところが結果的にはまさにTWEEDEESで、子供向けのアニメ主題歌でこんな激しいサウンドなのか!って笑っちゃったんですけど(笑)。

沖井:でも子供って意外と子供向けのものって好きじゃないですよね?

清浦:子供騙しは絶対やらないようにしようって話をしていて。

沖井:子供騙しって結構子供にバレるからね。

清浦: TWEEDEESとしてもかっこ悪くなりたくなかったし。私は20年前におじゃる丸を観ていた世代なので、"これはおじゃる丸じゃないです、沖井さん"ってアドバイスして。"これでは暗すぎます""大人っぽすぎます"っていうことも言えたので。

沖井:曲に関してはこの人のディレクションをいただきながら、おじゃる丸感を守りつつ、極端なTWEEDEESの作品を作るべくっていうバランスを頑張って。あとはリズムの複雑さに関しても、過剰なものにはなっているけど決して難解なものにはなっていなくて。渋い方向の大人になるんじゃなくて、楽しんでいる方向の大人の作りになっているモノって、子供が観ても面白いじゃないですか? 例えば僕が10歳の時に映画「2001年宇宙の旅」を観て、一瞬でハマって"多分この映画は一生好きだろうな"って。でもあの映画は決して子供向きにできているわけではないですよね? 大人が観てかっこいい、考えさせられる、もしくはショッキングだって作られている映画ですよね。それは子供でもわかるんです。だったら例えお子様向けとはいえ、手加減なし、容赦なし、人間同士向き合う感じでやった方がいいなって思ってやりましたね。

ー例えば冨田勲さんの「ジャングル大帝のテーマ」だったり...。

沖井:うん、あれは最高でしたよね。

ー子供心にそれが何であるかまでは理解できなくても、音楽的にとてつもなく凄いものだって直感でわかったり、大人になっても引きずる感じというか。TWEEDEESの「プリン賛歌」を聴いた子達が、後々"これはフツーのバンドサウンドじゃない!"って気づく日が来たら最高だなって。

沖井:せっかくカヴァーしてくださいって話が来たので、今回の企画だけのための曲にはしたくなかったんですよ。未来永劫、TWEEDEESの曲としてこの曲をプレイできるようにしたかったんですね。

清浦:ちゃんと代表作として歌い続けられるようにしたいって話していましたよね。

沖井:"話が来たからやっちゃう?"みたいな感じで使い捨てにするのだけは嫌だったので。そういういろんな想いがこもったのがこういう音になりましたね。

Part.2へ続く>>

Interview by KAZUTAKA KITAMURA / Live Photo by ERI SHIBATA

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