インタビュー

TWEEDEES、ミニアルバム『à la mode』ロングインタビュー Part.2

「乙女でファンタジックな世界って、それはそれでTWEEDEESの持ち味の一つになり始めているのかなと私は思っていて、それを盛り込みました」(TWEEDEES/清浦夏実)

 沖井礼二と清浦夏実、世代も音楽的出自もバラバラな二人が2015年に結成したバンド「TWEEDEES」。その経緯と共に新作ミニアルバム『à la mode』についてたっぷりと語ってもらった超ロングインタビューのパート2をお届けしよう!

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二人だから多数決ができない、徹底して毎回話し合うしかない

ー「未来のゆくえ」「à la mode」は今までのTWEEDEESのキラーチューンをよりスピードアップさせているような快感があって。特にSOIL&"PIMP"SESSIONSのみどりんさんの激しいドラムが圧巻でした。

沖井:「未来のゆくえ」のドラムは作曲の段階からみどりんのイメージでした。デモでわりとアフロっぽい手数の多いドラムを僕が打ち込んでいて、それをみどりんに解釈してもらったら最初は80年代っぽい、それこそ青山純さんっぽい雰囲気のスネアのチューニングにしていて。そっちよりは"今のみどりんの一番テンションが上がる感じでやろうぜ"って話したら、今回のテイクに近い感じで叩き始めたんです。

清浦:この2曲って同じ日にレコーディングしていて。その場その場でみどりんが"こんな雰囲気はどう?"っていうのを提案してくださって、みどりんの瞬発力と柔軟性が生きているなってそばで見ていて思いました。

沖井:逆に「à la mode」は一瞬迷っていたよね。"これはどっちに行けばいいんだろう?"みたいなことを言っていて。それはロックって考えるから悩むわけで、"例えばジンジャー・ベイカーが叩いているような雰囲気とか、それを今のみどりんがどう解釈するかってやればいいと思うよ"って。そうしたらスッキリしたみたいで、それで叩いてくれたらこうなりました。

ープレイする側としては2曲続くとなると、アプローチを変えなきゃって考え方になるかもしれませんが、リスナーとしては"タイプ的に美味しいのが2曲続けてきた!"って感覚で捕らえて聴いているというか。

沖井:今回オリジナルの新曲が5曲入っていますけど、最初からこの5曲って感じで臨んだわけではなくて、録音しながら何曲も作っていって、他の曲がボツになったりするのを繰り返してこの5曲になったんですけど。この頭の2曲に関しては"僕1曲目やりたい""僕2曲目やりたい"みたいなポジション争いを守りきった2曲ですね。

ーベースも弾きまくっていて痺れるんですが、左右にも激しいギターが...。

沖井:実はギターはリズムとリフで1本ずつしか入ってないんです(笑)。ガガッてやっているのは(クラビア・)ノードリードのハモンドオルガンの音色を歪ませて。リッケンバッカーベースもファズをかけっぱなしにして、クリス・スクワイアみたいな音色にしたいなと思って、それでそういう効果になったんですけど。

ー「悪い大人のワルツ」は別として、激しいドラムとベースプレイがあって、クランチ系にファズをかけたようなギターが鳴り、硬質なピアノとオルガン、その上でシンセもなってハープもウインドチャイムも鳴らされるっていう(笑)。僕らがイメージするような"沖井サウンド"のトレードマークというか、その型を崩さないでミニアルバムを作ろうという意識はありました?

沖井:それを変えないようにしようという感じではなくて。今おっしゃった"沖井サウンド"っていうのはTWEEDEESサウンドですよね。まだ現時点では成長の途中だと思ってて、それを突き詰めて極めたいって気持ちはありますね。例えば1st(『The Sound Sounds.』)の時と今のチューブラベルズの使い方はちょっと違ってきているし。あの頃とはコーラスのあしらい方も随分と変わってきているし。のべつ幕なしにそこら中にコーラスを入れるんじゃなくて、もうちょっと整理した形でドーンと入れるかたちができるようになってきたし。それはTWEEDEESサウンドの成長だと思うし。さっき仰ったクランチなリズムギターの感じも、若干うるさくなっているなと思ったからオルガンに置き変えてみたところがあって。そこが成長の途中だと思うんですよね。もっと行けるはずだなと思っています。底辺の重みと上空のキラキラ感が両方欲しいという気持ちは変わってないので。

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ー前作『The Second Time Around』で言えば「ムーンライト・フラッパー」辺りは、TWEEDEESにとってまた違う看板の作風になり得る曲だと思っていました。『a la mode』はあえて「月の女王と眠たいテーブルクロス」とか、皆が期待するタイプのサウンドに焦点を当てたのかなと...。

沖井:あぁ(笑)、これは正直に話しますが...「ムーンライト・フラッパー」は2ndの時にトライしたまったく新しい手法だと自分では思っていて。あれはもっと深めていきたいと思っているし、まだもっともっとやっていきたいことなんですが。「プリン賛歌」の話をいただいてミニアルバムを作るとなった時に、1枚のアルバムの中に「プリン賛歌」という強敵がいることがわかって僕も必死なんですよ(笑)。「ムーンライト・フラッパー」的な方法論を進化させる時間と余裕がなかった(笑)。「プリン賛歌」と対峙した時に今自分が得意とする手法を研ぎ澄まして、研ぎ澄まして、攻撃力を増してってやり方以外に、精神的にも余裕がなかったってことですね。

清浦:正攻法しか通用しないって。

沖井:踊っている場合じゃなかった(笑)。必死でしたよ!

ー「君は素敵」は「月の女王と眠たいテーブルクロス」の延長線上にあるというか、こういうタイプは今の沖井さんにとっては作りやすいってことなんですか?

沖井:作りやすいからっていうよりは作りたいから作っているというか。2年経ってTWEEDEESが成長してきて、この段階になってからの「月の女王と眠たいテーブルクロス」の続編みたいなものを僕は聴いてみたかったんですね。ああいうタイプの楽曲が完成したとも僕は思っていなくって。もうちょっといろいろできるだろうという気持ちあり。それに彼女が歌詞を書いた「月の女王と眠たいテーブルクロス」の主人公が僕は好きなんですね。あの主人公をもう2、3年成長させた曲を聴きたかったので、この人にそういう話もして。そうしたらこの人は7割方歌詞を書き上げていたから"なんで今さらそんな話をするんだ!"って話になり...。

ー(笑)!

清浦:根底のところが大きく変わったわけではないんですけど...7割方書き換えて(笑)。

沖井:ワード的に「月の女王と眠たいテーブルクロス」を匂わすところを入れてほしいみたいな話をしたので。

清浦:乙女でファンタジックな世界って、それはそれでTWEEDEESの持ち味の一つになり始めているのかなと私は思っていて、それを盛り込みました。

ーデビューの時は「あなたにはがっかり」で最新作は「君は素敵」っていう(笑)。

清浦:肯定的ですよね(笑)。今回の5曲ってみんな前向きというか、「悪い大人のワルツ」でさえ救いがあるし。それはTWEEDEESのモードに影響しているというか。逆かもしれないけど。TWEEDEESがそういうものを描きたいのかもしれないし。

沖井:うん、それに我々は付き合っているだけかもしれないよね。今回のアルバムができて、僕が今まで作ってきたレコードの中でも、勿論TWEEDEESのレコードの中でもそうですけど、特に女性に聴いてほしいなって気持ちになったんですよ。歌詞の面でも出てくる女の子たちが魅力的でタフで。男的には若干振り回されちゃっているんですよね。もしかしたら僕から見たTWEEDEESがそういう女の子みたいなものなのかもしれないんですけど。それは作ってみたからの僕の感想ですね。女の子でもいいし、大人になった女性でもいいし、男の人はそれを指をくわえて見ている気分で聴いていただければって感じだな...なんかそんな気分なんですよ(笑)。

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ー(笑)。なるべく歌詞は清浦さんが書くってモードだったんですか?

清浦:なんかそこら辺も自然な流れで、その曲に得意な方が書くっていうか。

沖井:いつも曲が形になり始めた時に、どっちが歌詞を書こうかって話になるんですけど、ここ最近は"この曲は夏さんだよね、これは沖井さんだよね"みたいなのが一致するんですよね。"この曲は多分僕だろうから自分で書くよ"みたいな。それで悩んだ時はお互いで力を貸しあったりして。ただ今回「悪い大人のワルツ」だけは僕も書きたくて、この人も歌詞を書きたくて(笑)。

清浦:バンド内コンペを(笑)。

沖井:お互い黙って書き始めて(笑)、"僕も書いたんだ、私も書いた"みたいな感じになって、どっちがいいか見せあおうみたいな話で、最初はお互い譲らず喧嘩になりそうだったけど。まぁ、「悪い大人のワルツ」というタイトルを最初に考えたのはこの人だったので...このタイトルがあったからこの曲が作れたところがあったんですよ。

清浦:タイトル、曲、歌詞の順でできていった曲なんですよ。

沖井:"私が思っていた「悪い大人のワルツ」って言葉は、沖井さんが描いているこの世界じゃないよ"って言われたら、僕はもうぐうの音も出ないじゃないですか(笑)? 

清浦:そんなワルを描きたかったわけじゃないよと。 

ーそれは真剣勝負ですね。

清浦:二人しかいないしガチンコになるしかないですからね。

沖井:二人だから多数決ができないから。徹底して毎回話し合うしかないですよね。

ー"排水溝に流れてゆく祈り達"ってフレーズが本当に凄いなって...。

沖井:うん、あそこは素晴らしいですよね。

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Interview by KAZUTAKA KITAMURA / Live Photo by ERI SHIBATA

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