インタビュー

TWEEDEES、ミニアルバム『à la mode』ロングインタビュー Part.3

「ブレているかどうかすらもう考えないくらいになっているよね、自然に。」
(TWEEDEES/沖井 礼二)

 沖井礼二と清浦夏実、世代も音楽的出自もバラバラな二人が2015年に結成したバンド「TWEEDEES」。その経緯と共に新作ミニアルバム『à la mode』についてたっぷりと語ってもらった超ロングインタビューのパート3をお届けしよう!

我々はコントロールルームでうっとりしていて。あれは忘れられない日でした。

s_34A4602.jpgーTWEEDEESはコーラスワークも大きな特徴ですよね。例えば「未来のゆくえ」のコーラスは重厚にそればかりをフィーチャーしている感じではないのに、ラインとして凄くキマっています。ただ白玉で入れているようなのとはわけが違うコーラスアレンジの巧みさが際立っているというか。

沖井:今巧みって仰っていただけてとても嬉しいんですが、コーラスの分量でいうと1stの頃と比べると実は減っているんですよ。

ーそうなんですよ!

沖井:入れるべきところとここはそうでもないだろうってところ、コーラスのラインや歌い方にしても整理されてきたところもあるだろうし。2年TWEEDEESをやってきて、この人の歌手としての成長も著しい。リードボーカルとコーラスって使うものが喉っていうのだけが一緒であとはまったく違うものだってわかっているボーカリストは実は少なくて。わかったとしてもそれをコントロールできる人はもっと少なくて。この人は最近そこの成長が著しくて、例えばトップでこういう声を入れて、下に4つ付けるとしたら、こういう風な声で混ぜたら1本1本じゃなくて声の壁のように聞こえるだろうとか、そういうのを予想しながら歌えるようになってきた。それは僕にとってとても嬉しいことでありがたいことで、昔だったら僕が自分でやっていたことだったんですけど。そのニュアンスは言葉ではなかなか説明できないので。1stの頃はそれで喧嘩も結構あったんですけど、もうそれをわかってくれたから。それを効果的にドンと使うことで勝ちに行ける。武器として非常に強いものになってくれましたね。

清浦:「君は素敵」もコーラスがたくさん入っているんですけど。レコーディング終盤に取り組んだんですが、この曲は自分でも面白いくらい、本当に魔法がかかったくらいにコーラスができた曲なんですよね。

沖井:言ってたね。

清浦:"こんなにうまく行っちゃっていいのかしら、私怖い"くらいの。またその境地が訪れるかどうかはわからないんですけど。

沖井:あの日は魔法だったね。しかも事前にアレンジしてきたんじゃなくて、その場で僕が思いついたアレンジでやっていたんですよ。"次このパートを歌ってみて"とか...。

清浦:ね、酷いでしょう(笑)?

沖井:でもそういうところに魔法って生まれるんだって! それでやっていってこの人がなるほどって理解して、録り始めて3本くらい重ねた時、コントロールルームにいた僕とエンジニアさん、アシスタントさんとでワーッ!となって、"もうこれだけでこの曲は名曲だ!"って。夏さんは"今のちょっと一回聴かせてください"みたいな感じでボーカルブースにいるんだけど(笑)、我々はコントロールルームでうっとりしていて。あれは忘れられない日でした。

清浦:あの日限りの景色かもしれないけど。

ーいやいや(笑)。

清浦:あの景色をまた見たいなって思えたので。コーラスを褒めていただけると凄く嬉しいですね。

ー前2作のスパルタが実を結んだ(笑)。

清浦:ようやく実を結んでいるところかもしれません。

ー今回厚みを出すというよりさりげなくコーラスを聴かせようという意図がありました?

沖井:いや、そういう意識はないですね。

清浦:削ぎ落とされたじゃないですけど、必要最低限で効果的なコーラスの配置にはなっているんだろうなと思っていて。

沖井:洗練されたなって意味ではとても自負してるコーラスアレンジですね。

ー特に「未来のゆくえ」はコーラスパートを譜面に落とせと言われたら、まったくできる自信がないくらい混みいったアレンジで。

沖井:なんでか知らないけどギターや弦(ストリングス)とかに頼りたくない曲だったので。じゃあどうするかって考えた時に"コーラスだよ、ここは!"って作り方だったので。

清浦:打ち込みとか...別に打ち込みを否定するわけじゃないですけど、打ち込みするくらいだったら、私がコーラス入れてやるって気持ちはありましたね。

沖井:生の声のコーラスじゃないとこの効果は絶対出ないから。

清浦:うん、やりたかったかもしれない。

沖井:お! 遂にその一言をいただきました。

ー目覚めちゃいましたね!

沖井:言質とりました(笑)。

清浦:ねぇ...もうここまでやったからには後には引けない(笑)。 

沖井:この日を待っていましたね(笑)。

清浦:でもそういう気持ちでした。"ここは私に任してくれ"って2年かけてなり始めているなって。私の持ち場だなって。

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ー今回のアルバムはギターソロがなくて、間奏はオルガンソロだったりするのは?

沖井:なんでですかね? 「未来のゆくえ」は最初ギターソロが入っていたんです。でも結局やめたんですけど...。

清浦:ライブをギターレスでやっていたからじゃないですか?

沖井:いや、ライブを意識してそういうアレンジはしてない。ただ、ギターによってもたらされる何かを乱用したくなかったというのはあったかな。ギターでなんとかしてしまうことはできるんだけど、もう一歩踏み込んで考えてみようと。勿論「a la mode」はあのギターリフからできた曲だし、あそこのとても60年代らしい歪み方をしたギターリフでああいう風にしたのはギターが好きだからだし。ギターの使い方もある程度自分の中で整理されたのかもしれない。 

ー『a la mode』はミニアルバムながらボーナストラックも3曲入っていて、清浦さんのソロボーカルバージョンで「PHILLIP」が収録されています。

沖井: 2ndアルバム(『The Second Time Around』)でいっくん(ikkubaru)に歌ってもらう前に、ここをこういう風に歌ってってディレクションをするのは難しいから、先に歌っておこうよって。あの時点でフルコーラス分は録ってあったんです。ガイドのつもりで録った夏さんの声が凄く良かったので"これはこれでとっておこうよ"って落としておいたやつです。

ーライブだとむしろこのバージョンの方がお馴染みなので。 

清浦:ま、そうですね。

沖井:いっくんに毎回ライブのたびにインドネシアから来てもらうわけにもいかないので(笑)。

ー「TWDS_STRUT」というインスト楽曲は?

沖井:ライブの出囃子用に2年くらい前に作った曲なんです。1stアルバムの頃はこれが出囃子でしたね。2ndのライブで「速度と力」をやる前にこれじゃ合わないなっていうので、今は出囃子としてはお休みになっていますが。

ーこの曲も演奏も聴き応えありますね。

沖井:こういうのが好きなので。やるからには手加減なしでやる方が楽しいじゃないですか? アレンジ2日くらいでやった曲なんですけど。

ー1stの頃は正直、この二人でどこまでバンドを続けてくれるんだろうと思っていたんですけど...本当に結成されたバンドなのか、企画ものなのかがわからなくて。

沖井:最初は皆そう思ったっていいますね。

ーでもお二人のツイッターでのやり取りを見ていてバンド感を感じたり、バンドの1メンバーとしての清浦夏実の発言がどんどん増えてきたり、そういうのを見ているのも楽しくて。もっとあれを作りたいとか、そういう意欲って強くなっている感じですか?

沖井:そうですね、1stの頃よりも今の方がそういう意欲は強いと思います。

清浦:沖井さん、私気づきました。一番最初に我々がTWEEDEESでやりたいことリストを作ったものを、見返してみるとだいたい叶えてきているんですよ。男装をするとか...。

ーそんなこと話し合っていたんですか(笑)。

清浦:まさに今回の『à la mode』のジャケットが男装だよねって。忘れていたけどこんなに実現していたんだって。

沖井:ブレてなかった?

清浦:全然ブレてないですよ。最初のイメージがありながらもやりたいことはどんどん増えているし、研ぎ澄まされているので楽しいよねっていう。

沖井:ブレているかどうかすらもう考えないくらいになっているよね、自然に。

清浦:気流に乗っちゃったなって気分ですね。

ーそのリストの中に"清浦夏実ギターを弾く"っていうのはないんですか(笑)?

sA73W1981.jpg清浦:あはは(笑)、難しいですからね。ただライブでベルリラ(鼓笛隊用の鉄琴)を叩いたりはしていますけど。小道具は凄く増えてきていますから。


沖井:レコーディングでフルートも吹くしね。

清浦:アコギは沖井さんに提供しているんですけど(笑)。ソロデビューした時の記念に御茶ノ水で5万円で買ったやつ。

沖井:今回のレコーディングでも使いましたね(笑)。

清浦:ここまできたら歌を極めたいかなと。

ー最後に沖井さんが今回使った楽器について教えて下さい。

沖井:ベースはいつも使っているリッケンバッカーの4003S、あと「未来のゆくえ」「君は素敵」は、29年振りの僕の手元に帰ってきた、高校時代に6万円で買ったフェンダージャパンのジャズベース。調整したら凄く良い状態になったから2曲使っちゃった(笑)。「à la mode」ではディレクターさんから借りた76年製リッケンバッカー4001を使いました。ベースはこの3本ですね。ギターはほぼムーンのSTタイプだけど、「à la mode」でもしかしたらエピフォンのシェラトンを弾いているかもしれないです。アコギは夏さんに借りたやつです。あとマレッコのファズが凄くお気に入りで、「未来のゆくえ」「à la mode」で使いましたね。30年ベースをやってきて、やっと理想のファズに出会えたような気がしているんです。

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Interview by KAZUTAKA KITAMURA / Live Photo by ERI SHIBATA

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