インタビュー

"アイランド・ジャズ"を追求した西藤ヒロノブ、新作『Sweet Dreams』と愛用楽器に迫る Part.2

Open The TREASURE BOX 【File#7】

西藤ヒロノブ

毎回そのミュージシャンにとって特別なこの1本という楽器をクローズアップする「Open The TREASURE BOX」。今回は実力派コンテンポラリー・ジャズ・ギタリストとして幅広く活躍する西藤ヒロノブをクローズアップ。Part.2では愛器のアイバニーズ・ギターについて語ってもらった。

ギターのテーマを「海」と決めて、スペックなどをアイバニーズの製作スタッフと相談しました

saitohsan-100.jpgーバークリー音大に留学されていた当時は、どのようなスタイルのギタリストを目指していましたか?

西藤:楽器を持ち始めた十代の頃はハードロックが好きでギターを始めて、バークリー音大に入る前はウェス・モンゴメリーや、ジョージ・ベンソン、グラント・グリーンといった黒人のビバップ系を中心に、ボサノヴァも好きだったのでバーデン・パウエルとかにも憧れていました。ギターも大きいサイズのギブソンL-4を使っていました。

ーアイバニーズのギターを使用するようになったきっかけは?

西藤:バークリーの2年目くらいから、アイバニーズGB-10(ジョージ・ベンソン・モデル)を使用しはじめたのですが、卒業後、アルバムのリリースツアーで名古屋でライブをした際に、アイバニーズのスタッフの方が観に来てくださって、そこでエンドースのお話をいただいたんです。

ーフルアコではなく、シンボディのセミアコにした理由は?

西藤:アメリカの東海岸やヨーロッパでは、自身で作曲して演奏する、新たなスタイルのコンテンポラリージャズミュージシャンが数多く出はじめた頃で、僕のバークリーの同期だとリオーネル・ルエケやラーゲ・ルンドとかで、学内で演奏が上手いミュージシャンは、そっち系の人が多かったんです。その流れの中、僕自身、ニューヨークならではのコンテンポラリージャズはもちろん、ジャズ以外にもいろんなジャンル、カメルーンやハイチのミュージシャンたちとのバンドでも演奏するようになり、ジャンルに拘らず、音楽として良いものは吸収して、自身の演奏スタイルや作曲に反映していくように、自然となっていきました。そうなると必然的にギターもボディが薄いセミアコの方が、ジャズだけでなく、ファンクやロックテイストなものまで、様々な音楽に対応しやすいですしね。特に高音の鳴りや、ガツンと歪ませたい時、あとはフィードバックのことなども考えるとこのギターになりました。

gear-103.jpgIBANEZ The Sea

ーシグネチャー・モデルの「The Sea」のコンセプトは?

西藤:2作目に『The Sea』というアルバムがあるくらいですから、昔から海が好きなんです。あとはセミアコでブルーのギターは当時あまり見かけなかったので、自分が弾くギターとしてブルーのギターを作ってみたいなと。ギターのテーマを「海」と決めて、スペックなどをアイバニーズの制作スタッフと相談しました。当時はアイバニーズがとりわけハイエンドなセミアコに取り組んでいた時期で、国内やカリフォルニアの工場とやりとりしながら作っていただきました。

ーラッカー・フィニッシュですと経年変化しやすいですが、風合いが出てきましたね。

西藤:そうですね、昔はもっと青が強かったんですけど、グリーンっぽい色もミックスされてきて気に入っています。あと指板のインレイも波をモチーフにしたオリジナル・デザインにしてもらったり、ヘッドストックには「大」のロゴも入れてもらいました。そのデザインが変化した新しいものはロゴとして進化し、ステッカーでもピックガードに付けています。

gear-106.jpg

ーこのロゴの由来は?

西藤:僕の名前のヒロノブって"大信"と書くんですがちょっと読みづらいので『Reflection』リリース時に、初の日本版リリースのタイミングで読みやすくしようとカタカナ表記にしました。その中で、名前の漢字の一文字はロゴとして残そうと思ってこのデザインにしました。これだと大にも星にも見えますし。

ーギター・シンセ用のローランドGKピックアップを付けるアイディアは西藤さんの方から?

西藤:そうです。アメリカ東海岸に住み始めてから、ビバップを尊重しつつコンテンポラリーのほうにも志向が移っていきました。さらにレーベルメイトである、カート・ローゼンウィンケルやロバート・グラスパー、ブラッド・メルドーとか新しい感覚を持ったミュージシャンが出てきた頃です。それにヨーロッパへもツアーで回るようになって新たな刺激を受けました。もちろんパット・メセニーさんも使用していましたので、彼の音楽観とか作曲の凄さも次第に感化されるようになって、ギターを超えた作曲面でも活かしたいと思いギターシンセを採用しました。

gear-117.jpg

ーガット・ギターの音も結構入っていますね。

西藤:2曲目の『Gratitude』と7曲目などに入っているのは『On the Shore』はヤマハのナイロン弦ギター(NTX1200R)ですね。その他の曲でもヤマハを使っていますが、実は6弦ウクレレを使っていることも多いです。弾き方によってはガット・ギターっぽく聴こえるので、ちょっとわかりにくいところはありますね。例えば、2曲目の後半のソロはガット・ギターから始まって、最後の方は6弦ウクレレに変わるんですけど。5曲目の『Canoe Surf』のソロもこれを弾いています。

gear-156.jpgYAMAHA NTX1200R

<<Part.1に戻る   Part.3に続く>>

Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

Player

2018年1月号

定価760円(本体704円)A4判

2017年12月1日(金)発売

お求めは全国の楽器店、書店、またはWebで!

Tak Matsumoto(B'z)

デビュー30周年に突入! 待望の新作『DINOSAUR』を徹底追究

J-guitar

厳選されたギターが集まる!国内最大級のギター専門情報サイト!