インタビュー

"アイランド・ジャズ"を追求した西藤ヒロノブ、新作『Sweet Dreams』と愛用楽器に迫る Part.3

Open The TREASURE BOX 【File#7】

西藤ヒロノブ

毎回そのミュージシャンにとって特別なこの1本という楽器をクローズアップする「Open The TREASURE BOX」。今回は実力派コンテンポラリー・ジャズ・ギタリストとして幅広く活躍する西藤ヒロノブをクローズアップ。Part.3ではユニークなウクレレについて語ってもらった。

誰もやっていないことにはすごく興味がありますね

saitohsan_som-104.jpgー西藤さんの音楽ではウクレレが重要な存在だと思うのですが、本格的に使用するようになったのは?

西藤:08~09年頃ですね。僕の出身地の宮崎はサーフィンのメッカなんですが、生まれ育ったのは山の方だったので、海ではなく川遊びをよくしていました(笑)。サーフィンをやるようになって地元の魅力を再発見した感じでしたね。そしてハワイに行くようになった時に6弦のウクレレに出会いました。それがウクレレとギターの両方の特徴を備えていて、上の1~4弦がテナー・ウクレレと同じチューニングなんです。

ーこの6弦ウクレレもシグネチャー・モデルですか?

西藤:はい、ハワイのコアロハ社が作ってくれたものです。これもすごく気に入っていて、ボディ・バックがハカランダなんです。それまでコアロハのダニエル・ホー・モデルにハワイで出会い、自分で入手して使っていました。その後、コアロハ社との出会いがあり、プロトタイプとして別の6弦のウクレレを使用した後、自分のモデルを作ってもらえることになって、この6弦ウクレレが完成するまで5年ぐらいかかりました。この楽器が良いのは、高い方の弦を使えばウクレレ・プレイヤーとも共演できるし、ギターの5フレットにカポした状態と同じなので、転調はしますけどギターみたいに弾けるところですね。

gear-143.jpg

KOALOHA 6 Strings Ukulele "Hironobu Saito Model"

gear-145.jpgヘッドストックには他の楽器と同様に、「大」を象った星型のトレードマークが入っている。

ー便利な楽器ですね。

西藤:そうですね。ウクレレのワークショップをした時には、6弦のウクレレを薦めたりします(笑)。ギターとウクレレどちらも弾いている人、または弾きたい人にはオススメの楽器です。例えばアドリブする上でも、ベース音の位置と、ネック上の音の関係性がより見えてくるという利点があります。4、6、8弦もどれも好きなので、それぞれの良さを楽しみながら弾いています。

saitohsan_som-106.jpgーあとは8弦のウクレレ(タヒチアン・ウクレレ)も使っていますね。

西藤:以前、ペルーからタヒチ島へ行く豪華客船の中で演奏する仕事があって、その時にタヒチで入手しました。形が面白いのと、サウンドホールがボディの裏側に空けられていて、あと、ボディの内側に「11kg」って書いてあるんですけど、弦として使う釣り糸の種類なんですよ(笑)。

ーこれは偶然見つけたものですか?

西藤:あるセッションで実際に8弦のウクレレを弾く機会がありました。なのでタヒチに行く機会があったらぜひゲットしたいな、とは思っていました。

ー普通のウクレレと比べてかなり高い音ですね。

西藤:ハワイのフラダンスと比べて、タヒチアン・ダンスってアグレッシブな音楽ですので、タヒチの風土と重なって、このような高い音がきっと合うんでしょうね。タヒチには有名なリーフのサーフ・ポイントは多いけど、砂浜が少ないから船で沖の方に出てサーフィンするような環境が多いからか?! 世界的に有名なサーフポイントの近くなのに、看板を出して構えているショップがほとんどなくてびっくりしました。もしかしたらそのエリアがそうだったのかもしれないけど。それでタヒチでサーフィンするのに困った時に、たまたま声をかけたのが、ヒロっていう僕と同じ名前の人で。最初はなんで僕の名前知っているんだって(笑)。当然、そのまますごく仲良くなりました。今では、タヒチにいる僕の大切なサーフィン仲間の1人です。タヒチにいる間はその友人がいろんな場所のパーティーなどに連れて行ってくれたのですが、そこではみんなこの8弦ウクレレを持っていて、タヒチアン・ダンスの伴奏を弾きながら合唱していました。それぐらい現地ではポピュラーな楽器ですね。

gear-154.jpgボディバックにサウンドホールが空けられている。

ー現在のジャズ・シーンでこの8弦ウクレレを使っている人は少ないですよね?新作ではこの楽器の音色が良いアクセントになっていました。

西藤:そうですね。あまり誰もやっていないようなことには興味がありますしね。自分が聞いたことがないものなので、コラボしたらどんな感じになるんだろうと、制作段階で興味がわきます。新作だと5曲目の『Canoe Surf』などで使っています。

ーゆったりとした穏やかな雰囲気の曲にはこの8弦ウクレレが合いますね。

西藤:ええ、言ってみればコンテンポラリーなものの対極にある楽器ではないですかね。作りもこんな感じですから(笑)。

gear-121.jpg1968 GIBSON ES-335:新作でも使用されたヴィンテージのES-335

gear-130.jpgWESTVILLE Prototype Semi-Hollow:最近入手したばかりという、ジャズギター専門店「Walkin」のオリジナル・ブランドのギター

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Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

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