インタビュー

Living with Martin Guitar vol.6

リビング・ウィズ・マーティンギター

伊藤正

 『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画、【Living with Martin Guitar】は、マーティン・ユーザーのギターライフを語ってもらうインタビュー・コーナー。音楽とギターとの出会い、マーティン・ギターの魅力、そして日々の生活でのマーティン・ギターの存在・・・。憧れのマーティンを手にした喜びをインタビュー!

Martin_Top_banner_Itoh-T.jpg

 『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画、「Living with Martin Guitar」。今回ご登場いただいたのは長野市在住の伊藤正さん。50歳でギターを再開し、現在ではすっかりマーティンのサウンドに魅せられている。そんな伊藤さんのギター・ライフをサポートする長野市の美鈴楽器本店マネージャーの川又威彦さんにもご同席いただいてお話を伺った。

 "あなたにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?"

E.jpg(写真左より伊藤正さんと、川又威彦さん)

最初に興味を持ったのはフォークじゃなくてエレキ

ー伊藤さんが音楽に目覚めたきっかけは?

伊藤:9歳上の兄貴の影響かな。「プラチナゴールデンショー」や「ヤング720」とかのテレビの音楽番組をよく見させられてね。

ーそれは60年代後半ぐらいですか?

伊藤:そう、でも最初に興味を持ったのはフォークじゃなくてエレキ。ワイルドワンズの「想い出の渚」とかすごく好きで、中学に入ってからも寺内タケシとかベンチャーズのエレキサウンドに憧れてた。ギターのコードが分からなくてもメロディなら耳コピで辿って弾けるからね。

ーそれはお兄さんのギターを借りてですか?

伊藤:うん、兄貴はもうフォークギターとエレキギターを持ってたから、いない隙にこっそり弾いてた(笑)。

ーご自身のギターを手に入れたのはいつ頃ですか?

伊藤:中学2年の時に、鈴木バイオリンの1万5千円のギターを親父に買ってもらった。高校3年の時に自分でバイトして買ったのがヤマハFG-301。高校を卒業してからは本格的にエレキの方に行っちゃったね。

ー寺内タケシさんやグループサウンズが好きだったのに、最初はエレキギターではなかったんですね?

伊藤:電気ギターを持っていくと学校で怒られるから(笑)。当時の先生達はうるさくて、中学生が恋愛の歌を歌ったり男女が仲良くギターを弾くことはけしからんってことで。それで先生に内緒でギターを保健室に隠しておいて、放課後にみんなでこっそり弾くって感じ。今考えると恐ろしい時代(笑)。

ー高校を卒業されてからはどんな音楽活動をされていましたか?

伊藤:就職した翌年にバンドを組んでコンテストとかいろいろ出ました。その時はフォークは下火になっちゃったからエレキギターの方でね。

ー当時のバンドではどんな音楽を演奏していましたか?

伊藤:シーナ&ザ・ロケッツとかのカバーをやりつつオリジナルを作って、ヤマハの「イーストウェスト」とかに出たりしました。25歳ぐらいで上手い人とのレベルの違いに気が付いて、アマチュアで楽しむようになった。30歳で音楽はすっぱりやめて、鈴木バイオリンとヤマハのギターだけ残して、他のギターや機材は全部売っちゃったね。

C-1.jpg

結局バンドの中で僕が一番本腰を入れるようになってね(笑)

ー再びギターを弾くようになったきっかけは?

伊藤:50歳の誕生日に高校時代のバンド仲間が集まってお祝いをしてくれた時に、ある仲間がまたバンドやりたいって言い出して。それでとあるライブに遊びのつもりで出てみたら、他の出演者達のレベルが高すぎてね(笑)。それをきっかけにちゃんとバンドをやろうってことになった。結局バンドの中で僕が一番本腰を入れるようになってね(笑)。

ーそれもエレキのバンドですか?

伊藤:いや、メンバー3人のフォークバンドで、曲は高校の時にやっていたかぐや姫とかのコピーだね。

ーライブはどのくらいのペースで行なっていますか?

伊藤:長野市内のライブハウスとかフォーク酒場とかで月に1~2回ぐらい。あとはこのお店のギターの先生がやっているイベントだね。

川又:「POCO A POCO LIVE」というアコースティック・ライブで、9月に200回を迎えたのですが、月一回ペースですから17年と結構歴史のあるイベントなんです。

ー最初にマーティン・ギターを入手したきっかけは?

伊藤:7年前にこのお店のマーティン・フェアの最終日ギリギリに来てみたら良いギターが一本見つかって、それがHD-35だった。

川又:結構レアなモデルですね。

伊藤:ヘリンボーンでスキャロップ(ブレイシング)のモデル。普通にピックで弾くギターは持っていたから、憧れの伊勢正三が指弾きしていた影響もあってブレイシングが軽いHD-28かHD-35がいいなと思って。他にも何本かあって、指で軽く弾いて一番音が良く出たのがそのHD-35。人生で初めて買ったマーティンだね。そのHD-35から僕のマーティンの歴史が始まるわけですよ。

ー今まで弾いてきた別のブランドのギターと比べて、マーティンの特徴はなんですか?

伊藤:マーティンは安心感があるよね。繊細な音でバランスも良いしね。昔のノンスキャロップの重いギターだとピックで弾いた音が遠くで鳴るんだけど、マーティンは手元のあたりで鳴る感じ。鈴鳴りっていうけどさ、本当にそんな感じ。だからさ、善光寺の鐘が"ゴォ~ン"って鳴るのは、質量が大きいから遠鳴りわけするでしょ。それに対して鈴が"チリンチリン"って鳴るのは軽いからで、まさにマーティンはそんな感じだね。

ーその他に入手したマーティンは?

伊藤:その後にD-28とD-45を一度に買ったんだよ。D-45が欲しくて、半年くらいこのお店で眺めながら(笑)。それで定価の金額を持って行ったら、お金が余ったんでその差額でD-28も一緒に買った(笑)。それからはドレッドノートを中心に何本か購入しましたね。

D.jpg

このD-42もブレイシングがスキャロップだから指弾きでも綺麗な音がする

ー本日お持ちいただいたそのカスタムのD-42ですが、ちょっとユニークなスペックですね。

伊藤:美鈴楽器さんで3本のカスタムギターをマーティンにオーダーする企画があって、それについて川又くんから相談があってね。それで遊びでこんな風にしてみたら?ってオーダーしたものがなぜか僕の手元に(笑)。

川又:伊藤さんのアイディアで作ったものだから、きっと買っていただけるだろうと(笑)。当店の企画として毎年何本かオーダーしていますけど、個人のお客様のデザインでオーダーする機会はあまりないんです。今のところこのギターだけですね。

伊藤:D-42のスノーフレイクのポジションマークを入れない代わりにヘッドストックにトーチインレイを入れて、突き板もエボニーにしたら理想的なデザインになったね。

ートップ材もとても目が詰まっていて、色も雰囲気がありますね。

川又:トップはシトカスプルースです。色はヴィンテージトナーではなく普通のカラーですが、そこそこ年数も経っているので風合いが出てきたんでしょうね。

ー明るくて深みもある良い音ですね。

伊藤:そうだね。指弾きだとOMやOOOの小さいボディがいいと思うんだけど、このD-42もブレイシングがスキャロップだから指弾きでも綺麗な音がするしね。

ーお持ちのマーティンの中では、一番気に入ってるのがこのギターですか?

伊藤:普段使いはこれでいいけど、最近はライブハウスとかに持っていって傷が付いたりするのが怖いから、マーティンはあまりライブで使わないんだよ。

ーそれはもったいないですね。

伊藤:でもこのお店で開催しているマーティン・フェアみたいに、大人がギターを持って集まれる機会が増えれば、ギター人口も増えると思うんだけどね。みんなでギターを持ち寄って、今日はこのギターを見ながら一杯飲みましょうとかね(笑)。

ー最後に伊藤さんにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?

伊藤:若い時はマーティンなんて買えなかったから、やっぱり憧れのギターだった。僕も今ではマーティン・ギターを手に入れられるようになったけど、やっぱり一本一本に個性があるし、マーティンは家で弾いていても落ち着くっていうか、安心感があるよね。

伊藤正:1960年生まれ・長野県出身。グループサウンズやエレキ・サウンドに影響を受けて中学2年で本格的にギターを始める。就職後にロック・バンドで活動するも30歳を機に音楽から遠ざかる。50歳の誕生日祝いをきっかけに音楽活動を再開。フォークソングのカバーバンドを組んで現在もライブ活動中。

Martin_Guitar_Layout_Itoh.jpg 美鈴楽器が毎年マーティンにオーダーしているカスタムショップ・モデルの中の一本。伊藤さんの憧れである伊勢正三が使用するギターをイメージしてオーダー。基本的に通常のD-42からの変更点は、フィンガーボードのインレイを入れず、代わりにヘッドストックにトーチ・インレイを入れ、マーティン・ロゴをアバロン貝にしている点。川又さん曰く、ポジションマークがないだけで結構インパクトの強いギターになったとのこと。音量が豊かで煌びやかなトーンで、スキャロップ・ブレイシングによる指弾きでの反応の良さが伊藤さんのお気に入りである。

<取材協力ショップ>美鈴楽器本店

G.jpg〒380-0826 長野市北石堂町1403-1 Tel.026-226-7631 http://www.misuzugakki.com 

 マーティンは常時20本をストック。毎年開催されるマーティンのファクトリーツアーにも参加し、ショップオリジナルモデルを欠かさずオーダーしている。同店のギター講師が主宰する「POCO A POCO LIVE」というアコースティック・ライブが近隣のライブハウスで開催されており、地元の多くのギターファンが出演している。  

F.jpg

 また、美鈴楽器とマーティンクラブジャパンでの共催による「マーティン・フェア」では、マーティンの即売会の他、ユーザーが自慢のマーティン・ギターを持ち寄ってのトークイベントや、プロカメラマンによるギターとご本人の写真撮影会といったスペシャルイベントを不定期に開催している。

misuzu_IMG_1283.jpg

Martin_Archive_banner.jpg

Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

製品情報

MARTIN D-21

もっと見る

Player

2018年10月号

定価890円(本体824円)A4判

2018年9月1日(土)発売

お求めは全国の楽器店、書店、またはWebで!

高見沢俊彦

高見沢俊彦 初表紙・巻頭特集 独占取材

J-guitar

厳選されたギターが集まる!国内最大級のギター専門情報サイト!