インタビュー

Living with Martin Guitar vol.8

Living with Martin Guitar

渡辺 隆

 『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画、【Living with Martin Guitar】は、マーティン・ユーザーのギターライフを語ってもらうインタビュー・コーナー。音楽とギターとの出会い、マーティン・ギターの魅力、そして日々の生活でのマーティン・ギターの存在・・・。憧れのマーティンを手にした喜びをインタビュー!

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 今回の「リビング・ウィズ・マーティンギター」にご登場いただいたのは福島市内で金属プレス工場を経営する渡辺隆さん。50歳を過ぎて初めてのマーティンを入手、20代の頃以来のアコースティック・ギターの虜になっている。そんな渡辺さんにギターの魅力を伝えてきたユーワンミュージックの上田雄一社長と一緒に、そのギター・ライフについて語っていただいた。

 "あなたにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?"

_MG_6354.jpg(写真左より、渡辺隆さんと、上田雄一さん)

マーティンは夢のような存在

ー音楽に目覚めたきっかけは?

渡辺:最初にEPのレコード盤を買ってもらったのがザ・タイガースです。中学生になったぐらいの頃ですね。高校生の頃がビートルズの後期で、『ホワイト・アルバム』や『アビー・ロード』が出てきた時期でした。その辺りでギターを買おうと思いましたね。

ー初めて購入したギターは?

渡辺:16歳ぐらいの頃に買ったクラシック・ギターです。当時ギターに詳しい同級生がいて、コードとかもスラスラと教えてくれて。その彼がフォーク・ギターを持っていたので、自分も買おうと思ったんです。それが18歳ぐらいで、ヤマハのFG-700を買いました。7万円だったから、お金を一生懸命貯めてね(笑)。

ー当時の18歳にしてはかなり高い買い物ですね!

渡辺:サイドとバックがハカランダだったからね。当時のヤマハのアコギで一番高いのは10万円代ぐらいで、20万や30万のものはなかったと思うけどね。

ー当時はそのギターでどんな音楽を演奏されましたか?

渡辺:かぐや姫、吉田拓郎、井上陽水とかのフォークが中心でした。

ー同級生や友人とバンドやデュオを組んだりしていたんですか?

渡辺:いえ、基本的には一人で弾いていましたね。その頃、2つ下の弟もギターを始めたいと言うので、私のヤマハを5万円ぐらいで譲って、新しく買ったのがSヤイリのYD-306です。その頃は郡山の大学に通っていて、郡山駅前に十字屋さんに現金12万円を握りしめて買いに行きました(笑)。それは明確に覚えていますね。

ー大学では音楽サークルとかに入られたのですか?

渡辺:いや、入らなかったです。でも周りにギターや音楽好きは多かったから、たまにギターを持って、みんなと酒を飲みながら弾いていました。でも結果的にいつも麻雀をやっていたんだけどね(笑)。ギターは基本的に家で一人で楽しんで、パーティーとかで人前で演奏することは時々ありましたけどね。

ーその頃からマーティンには憧れていたんですか?

渡辺:いや〜、高くて買えないものでした。地元では実物を見る機会もほぼなかったしね。マーティンを置いている楽器店がまずなかったし、東京とかのよっぽどのお店でないと見ることはできなかった。まだ円も安い時代でしょ。その当時D-45が70万円以上っていう時代だったから、マーティンは夢のような存在。

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家内に電話で相談して、初めてマーティンのD-28を買ったんです

ー大学を卒業してからはギターや音楽の楽しみ方は?

渡辺:結婚して子供ができてからはギターどころの騒ぎじゃなかった(笑)。家庭が優先で高価なものなんて買えないからね。さっきのS.ヤイリとかは家で弾いてましたけど。

ー当時はどんな音楽を聴かれていました?

渡辺:学生の頃からオーディオにはまっていて、昔はどちらかというと洋楽を聴くことが多かったんです。ビートルズはずっと聴いていたけど、それ以外だとバックマン・ターナー・オーヴァードライブやセックス・ピストルズとかね。 

ーアコースティックではないですね(笑)。

渡辺:あと、井上陽水のボックス・セットを聴いて、学生の頃の感覚に戻すようなことをしましたね。そういえば、井上陽水が『氷の世界』を作った頃ってS.ヤイリのYD-304を使っていたんですよ。何年か前に『氷の世界』のツアーをやった時に、そのギターを使ってましたよ。自分もS.ヤイリのギターを使っていたから懐かしかったですね。

ーライブもよく観に行かれるんですか?

渡辺:一番よく行くのがサザンオールスターズで、ファンクラブにも入っています。去年も桑田さんのソロ・ライブを2回観に行きました。サザンの宮城でのライブの時は、座席が一番前でセンターマイクの真ん前だったんです! ライブ後の記念写真にも写りましたよ。でも、うちの家族と弟の家族とみんなで観に行った時は、子供や孫たちは写ったんだけど、私と弟は全く写らなかった(笑)。

ーそれはすごい! ではサザンの弾き語りとかもご自宅で...。

渡辺:やってますよ! 歌本とか見ながら弾いてますね。アルバムだと『Southern All Stars』(90年リリース)が好きですね。

ー新しいギターを購入しようと思ったのは?

渡辺:子供がある程度の年齢になった頃ですね。仕事で東京に出張する機会が多かったから、時間があるときはお茶の水に行って。ある時、駅前のクロサワ楽器さんで"ジィ〜"っとマーティンを眺めていたら、これ欲しいなって思って。すぐ家内に電話で相談して、初めてマーティンのD-28を買ったんです。それが53、4歳の頃でしたね。

ーそれはレギュラー・モデルですか?

渡辺:そう、何本も並んでいた中から、店員さんが良さそうなギターを2〜3本選んでくれて、さらにそれらを弾いて選びました。

ー最初からD-28に決めていたんですか?

渡辺:ずっと持っていたS.ヤイリのYD-306がD-35タイプだから、どうしようかなとは思ったけど、D-28はレギュラーで定番じゃないですか。だから最初のマーティンはD-28がいいなと思ってね。

01_.jpgー初めてのマーティンはいかがでしたか?

渡辺:やっぱり音が違うな〜って(笑)。

ーそういえば、渡辺さんはマーティンクラブジャパンの会報(写真左、Vol.51 2010 AUTUMN)にもインタビューが掲載されたそうですね。

渡辺:D-28を買った時にマーティンクラブに入会しました。福島でマーティンクラブのギターショウとコンサートがあった時に、当初インタビューを予定していた人がキャンセルになったそうで。それで会員である私のところに急遽連絡があってインタビューを受けました。

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マーティンは見えないところもきちんと作っている

ーマーティンは現在何本所有されていますか?

渡辺:3本です。D-28とD-45のレギュラー、それと今日持って来たチューリップウッドのD-45。他のブランドを合わせると全部で12本持っています。

ー他のブランドのギターと比べて、マーティンが優れていると思うのはどんなところですか?

渡辺:マーティンは基本的にバラつきがないよね。ギターを選ぶ時、私は必ずサウンドホールからボディの中を見るんですよ。力木があって、それからサイドとの繋ぎ目があるでしょ。あれを丁寧に作っているかどうかを見るんです。マーティンは見えないところもきちんと作っている。

ー行ったことがある人に聞くと、マーティンの工場内は整理整頓されてすごく綺麗なんだそうです。

渡辺:5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が行き届いていると思うんだよね。我々のような仕事でも、品質は5Sからって言われますし。それをちゃんとやっているところは品質が安定するんですよ。

ー工場を経営されている方ならではの視点ですね。

渡辺:やっぱり、そういうところを見ちゃうよね。マーティンではないけど、ボディの中に削りカスとか残っているギターを見ると、"ダメだな〜"って思うね(笑)。ここの上田社長と知り合いになって、いろんなブランドのギターを弾かせてもらうと、"あ、ここはこうなんだな"とか、例えばマホガニーのギターにはこのブランドのブロンズ弦が合うとか、ハカランダとかのローズウッド系だとフォスファーブロンズ弦がいいとか、そういうのもだんだんわかるようになってきたね。

ー本日お持ちいただいたD-45は非常にレアなギターだそうですが、どういう経緯で購入されたのですか?

渡辺:ここの社長から"どう、これ?"って勧められたの(笑)。

上田:これは89年に3本だけ作られたとても珍しいギターなんです(※サウンドホール内のラベル写真参照)。私がこのお店をオープンした翌年に、たまたまアメリカのギターショウで2本売られていて仕入れてきたんです。それぞれ福島の二人の方に販売したんですが、そのうちのお一人が手放すことになって、また私の手元に戻ってきたんです。それを渡辺さんにお勧めしたという流れですね。今から3〜4年ぐらい前のことです。

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ーこのD-45の特徴は?

渡辺:これを買う前にいろいろ調べてみたら、チューリップウッドって木材は、通常だとウクレレが作れる程度の大きさにしか成長しないそうです。

上田:ですからギター用に使える大きさに成長したチューリップウッドはとても珍しくて、おそらく今後この木材を使ったギターは作られないだろうと言われています。

ー渡辺さんがお持ちのレギュラーのD-45と比べてどんな違いがありますか?

渡辺:やっぱり鳴りは違いますね。レギュラーと比べると、こっちの方が音が前に出る感じかな。トップ材もこれはちょっと目の粗いアディロンダックなんです。前の所有者の方はあまり弾いてなかったそうで、私が購入してから一年後ぐらいにバインディングや中の力木の部分などをリペアしてもらいました。それで音がだいぶ変わりましたね。

ー最後に、渡辺さんにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?

渡辺:自己満足の世界なんで、ギターはリラックスするために弾いています。ひたすら別のことに没頭すると、仕事を忘れられるじゃないですか。マーティンは仕事を忘れてリラックスするための存在ですね。ほぼ毎日が仕事だから、ギターは当分やめられないですね(笑)。

渡辺隆:1954年生まれ・福島県出身。福島市内で金属プレス工場を経営し、主に自動車用パーツの生産を行なっている。50代で初のマーティンを購入し、現在は12本のギターを所有。平日夜はママさんバレーのコーチ、休日はギターやスキーなどを趣味で楽しむ。

Martin_Guitar_Layout_8_.jpgMARTIN D-45 Tulipwood Limited Edition 

 チューリップウッドというマメ科のローズウッド系の木材をボディ・サイド&バックに使用した限定モデル。チューリップウッドはせいぜいウクレレを作れる程度の大きさにしか成長しない木のため、ギターで使用しているのは極めて珍しく、ボディ内側のラベルに記載されているように3本しか生産されなかったという非常にレアなモデル。トップ材はアディロンダック・スプルースで、彫刻が施されたゴールド・カラーのチューナー・ノブなど、スペシャルなスペックで仕上げられている。D-45ならではの煌びやかさに加えて、レスポンスが良く、豊かな音量と広いレンジのサウンドが特徴である。

<取材協力ショップ>ユーワンミュージック
_MG_6422.jpg〒960-8031 福島県福島市栄町11-25 福島AXC 3F Tel.024-597-7201
http://www.uone-m.com/

 JR福島駅東口より徒歩3分の、ギター/ベース、デジタル、ピアノ、管楽器まで取り揃える総合楽器店。音楽教室の他、ライブハウス「OutLine」「Player's Cafe」も経営し、福島県の楽器ユーザーを広くサポートしている。マーティンは定番モデルを常時揃え、ユーザーの要望に応じてカスタムモデルなどを探して取り寄せたりしている。

_MG_6374.jpgユーワンミュージックのマーティンの在庫は→こちら

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製品情報

MARTIN D-45

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