インタビュー

Living with Martin Guitar Vol.17

リビング・ウィズ・マーティンギター

藤江 潤士

『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画、【Living with Martin Guitar】は、マーティン・ユーザーのギターライフを語ってもらうインタビュー・コーナー。音楽とギターとの出会い、マーティン・ギターの魅力、そして日々の生活におけるマーティン・ギターの存在・・・。憧れのマーティンを手にした喜びをインタビュー!

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 今回ご登場いただいたのは、広島を拠点に活動するシンガーソングライターの藤江潤士さん。2015年に地元企業のCMソングが起用されたことをきっかけに、30代後半にして本格的なプロ・キャリアをスタートした藤江さんと、木定楽器店ピッカーズ・フレンドシップ・キサダ店長の浜本剛さんにお話を伺った。

"あなたにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?"

IMG_0049.jpg写真左より、藤江潤士さんと浜本剛さん


ギターが本当に楽しいって思うようになったのはX JAPANとの出会いでしたね

ー幼少期にピアノを始められたそうですが、ご家庭は音楽一家だったんですか?

藤江:母自身がピアノを習いたかったらしくて、ある時ベートーヴェンのカセットテープとプレーヤーを渡されて、それを聴いてるうちにピアノに興味を持って、小学2年の時に習いたいって言ったことは覚えています。

ーでは最初に音楽に目覚めたのはクラシックですか?

藤江:小さい頃はどこにいるかすぐわかるぐらい、どこででも歌を歌っていたらしくて(笑)。クラシックの前は「ウルトラマン」とかの特撮モノや戦隊モノの音楽はすごく好きでしたね。

ーギターは中学生の頃に始められたそうですが?

藤江:中学生になってピアノの目標だったベートヴェンの「月光」が弾けるようになったのでもうピアノは辞めたいって言ったら、母が中学の吹奏楽部に入るならピアノを辞めててもいい、と。それで入部したんですが、トランペットかサックスを希望したのに、体が大きかったのでチューバを担当させられたんです。だから全然面白くなくって。そんな時に、家にあったヤマハのガット・ギターを母が持ち出してきてポロポロ弾きだしたんですよ。それを見て僕もギターを始めて、母の薦めで隣町の音楽教室に通うようになったのがきっかけです。それが中学1年の1月か2月ですね。

ーギターを弾くようになってから、どんな音楽を演奏していましたか?

藤江:最初は基本練習ばかりやっていたんですけど、ギターが本当に楽しいって思うようになったのはX JAPANとの出会いでしたね。

ー学生の頃はどんな音楽活動をしていましたか?

藤江:X JAPANのカバーや、その頃に流行ってたエアロスミスのような感じのオリジナルのロックをやっていました。高校卒業後は広島の音楽科のある専門学校に進学したんです。でも、高校が総合学科っていう大学みたいに好きなことをチョイスして学べる学科で、いまだったら無理だと思うんですけど音楽授業だけを選択していたんです。その中には幼児教育や音楽理論もあって結構充実していたんですよ。だから専門学校の授業は高校で学んだことをおさらいするような内容で、それと家庭の事情もあったので、一年で中退して自分でコツコツ曲を書いたり歌も始めて、いまのスタイルになっていきました。あとその頃はHi-STANDARDなどのメロコアが流行ってたので、ギタリストとしてパンク・バンドをやってました。

ー歌や曲作りで影響を受けたアーティストは?

藤江:シンガーとして影響を受けたのはCHAGE and ASKAのASKAさんですね。曲作りではCHAGE and ASKAとかミスチル(Mr.Children)、洋楽だったらQueenやMetallica、マニアックなところではDizzy Mizz Lizzyをすごく好んで聴いていました。

ー専門学校を辞めてからの音楽活動は?

藤江:その頃はゆずとかの路上ミュージシャンが流行ってて、20歳ぐらいから中学の同級生と一緒に路上でギターを弾いて歌うことを始めたんですよ。そこから同級生が作詞、僕が作曲っていうスタイルでたくさん曲を作るようになりました。

ーその当時に使っていたギターは?

藤江:2000〜02年ぐらいまでは人から譲ってもらったヤマハとS.ヤイリのアコギでした。

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自分の声に合いそうだったこともHD-28を選んだ決め手ですね

ーその頃マーティンの存在はご存知でしたか?

藤江:知ってました。それこそ、スピッツの草野マサムネさんやミスチルの桜井さんも使ってましたよね。それにASKAさんもインタビューで"マーティンはこんな感じの音で好き"みたいなことを言ってたんですよ。だから僕は単純にマーティンがいいんだろうなって思っていて(笑)。

ー2003年にHD-28を入手したきっかけは?

藤江:僕は全くギターの知識がなくて、とにかくマーティンのギターが欲しいなって思って、値段とルックス、あとは弾き比べて選んだのが、たまたまこのギターだったんですよ。だからそれがHD-28だっていうのも後から知りました(笑)。

ーHD-28を弾いてみてまず感じたことは?

藤江:やっぱりすごく胴が鳴るんですよね。その時はまだギターが育ってなくて、実はあまりその良さをわかってなかったんですが、上品な音がしたんですよ。自分の声に合いそうだったこともHD-28を選んだ決め手ですね。

ーギターの音と自分の声とのバランスって気にしますか?

藤江:今はすごく気にします。レコーディングした時に音の波形をみたりすると、ギターと自分の声が近いところにいるというか、ずっとギターを弾きながら歌ってきたので寄ってきたのかな、みたいな(笑)。僕にとってのアコースティック・ギターって歌のお供なので、それにはやっぱりいいですよね、マーティンって。

ーそれはギターが歌の邪魔をしないということですか?

藤江:そうですね...包んでくれてる感じですよね。ギターの音で歌をコーティングしてくれてるような(笑)。

ーHD-28はドレッドノートなので、低音もかなり出ますよね?

藤江:出ますね。そのベースを聴きながら歌ってるからかわからないですけど、マーティンのギターと歌う方が上手に歌えます(笑)。

ー路上でのアコーティック・ユニットの後はバンドで活動していたそうですね?

藤江:だんだん意見が割れ出して、2003年5月にそのユニットを解散したんですよ。僕はその当時23歳ぐらいで、25歳までに絶対プロになると決めてたので、僕がギター/ボーカルで「瑠璃」というバンドを結成したのが2003年の6月でした。

ーコンテストとかに出たりはしましたか?

藤江:テレビ番組のオーディションでグランプリをいただいて、2006年に僕といまの瑠璃のベーシストが、メジャーデビューのための準備期間として東京と広島を半年間ほど行き来してました。でも僕がとても子供だったので、デビュー曲の歌詞でレコード会社のスタッフの方と大揉めしてうまいこといかず(笑)。

ー結局デビューは...?

藤江:それから僕のことを気にかけてくれていた別のレコード会社の方とのやりとりもあったんですが、デビューはできませんでしたね。広島限定で2曲入り500円のCDを出して終わりでした。その後も頑張ったんですけど、音楽を仕事にするのは無理だと思って、2008年に人生で初めて就職をしました。それから結婚して子供が二人できて、普通のサラリーマン時代が2年前の2016年まで続いてましたね。

ー音楽を辞めてからはどんなお仕事を?

藤江:まず2008年に初めて就職したのが、自動販売機のメンテナンス会社。2013年に保険外交員に転職していろんな人と出会うようになりました。そして2015年にテレビ新広島の開局40周年のテーマソング(「家族の約束」)を作らせてもらって、その曲をきっかけにイベントとかに呼んでもらえるようになりました。これだったらやっていけるかもしれないなってことで、36歳だった2016年に独立して音楽一本でやり始めたっていう流れです。

ーこの度リリースした1stアルバム『Family』のコンセプトは?

藤江:瑠璃の時に僕の"藤江潤士"っていうクレジットが、ヴォーカル/ギター以外にもパートがいっぱい載っていて、なんでもやります的な感じに映ってたんですよ。そうではなく"ヴォーカル/藤江潤士"として、演奏は全て人に任せるっていうコンセプトはありました。

ー今後はもっと活動範囲を広げようという目標は?

藤江:僕はCDが売れて早めに印税生活を送りたかったんですけど(笑)、いまはCDが売れないじゃないですか。でもそれでよかったなって思うんです。全然知らない人のところに行って歌を聴いてもらって、生で歌の良さを伝えられる喜びをこの2年ですごく味わいました。今回のアルバムを一緒に作ったメンバーもすごい人たちなので、広島にもこんなにいいミュージシャンがいるんだよっていうことを全国にも聴かせたいんです。そういう意味でも、僕一人というよりも、みんなを引き連れていろんなところに出たいと思ってますね。

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ステージとレコーディングは絶対にマーティンじゃないとダメなんですよ

ー000C Nylonを入手したのは?

藤江:先月(2018年11月)です。僕のアルバムに参加していただいた二人のギタリストが、どちらもガットギターを所有されてて、それがいいなって思って。アルバムにはボサノヴァのプレイ入ってるんですけど、僕もこういうのを弾きたくなって。それでこちらの浜本さんに相談したらこのギターを薦めてくれたんです。ガットギターなんで音が丸くて、そして僕の声も丸いので相性がいいです。マーティンって育てるギターなのかなって思ってたんですけど、もう完成されてて即戦力ですね。

ー浜本さんがこのマーティンを薦めた理由は?

浜本:いろいろ見てきた中で、やっぱり現場で使いやすいイメージと仕上がりと、あとは非常に万能選手ですね。カテゴライズされないところというか、歌からインストから何に使ってもいい感じで応えてくれるギターですね。今から弾き続けたらさらにプレイヤーのカラーが染み付いていきますから、弾き方次第で音が変わってくるところもマーティンの良さですね。

ー最後に藤江さんにとってマーティン・ギターってどんな存在ですか?

藤江:マーティンは僕の歌にはなくてはならない存在ですね。アンプラグドでカフェで歌う時は他のギターでもいいんですが、ステージとレコーディングは絶対にマーティンじゃないとダメなんですよ。マーティンは仕事する仲間。000C Nylonの方はボサノヴァとかをやりながら歌えるようにしてるところです(笑)。僕にとってカッタウェイがある初めてのアコギなので、ハイポジションを弾こうかなって思ってます(笑)。とてもいいギターなので、ちゃんと弾いてあげたいって欲も出て来たので、歌のお供じゃなくてギターとしても活躍できるように頑張って練習します(笑)。


藤江 潤士:1979年生まれ・広島県出身。ピアノ、チューバを経てギターを始め、20代の頃はアコースティック・ユニットやロック・バンド「瑠璃」で活動。一時期は音楽活動を離れるも、2015年に地元企業CMソングやキャンペーンソングとして楽曲が採用されたことをきっかけに、2016年からボーカルをメインにプロとしての活動を開始。広島のライヴスペースやカフェ、アウトレットモールやホテル、ブライダルなどでライヴ活動を展開中。また地元の企業やアーティストへの楽曲提供も数多く手がけている。
Family.JPG 2018年11月に初のソロアルバム『Family』(Shepherd-0001/2,000円税込)をリリース。クラシック・テイストからジャズやボサノヴァ、ポップス、ピアノ弾き語りなど、高く澄んだ歌声と美しいメロディラインによるバラードを中心とした全9曲を収録。「家族の約束」(TSS テレビ新広島40周年キャンペーン〜Thank you for zero〜)、「星へ」(家族葬邸宅ホシエ テーマソング)、「笑顔」(生協ひろしま MANABIカレッジ テーマソング)といった企業への提供楽曲も収録。レコーディングには広島の腕利きミュージシャンが参加、その高い演奏力も聴きどころである。

https://fujiestaff.wixsite.com/fujie-official

Martin_Guitar_Layout_17_1.jpgMARTIN HD-28:アコースティック・ユニットを組んで路上演奏を行なっていた2003年に購入したHD-28。しっとり弾いて歌うのに最適な上品な音がこのギターを選んだ基準となった。HD-28は1976年に登場した1940年代のプリウォーD-28を再現したモデル。ヘリンボーン・トリムと、スキャロップXブレイシングが大きな特徴で、そのヴィンテージらしいルックスに加えて、ドレッドノートらしい力強さに加えて、中高音域の広がりがある軽やかで上品なトーンを生み出す人気モデル。藤江さんのギターには、木定楽器店にてL.R.バグスのピックアップを取り付け、さらにオープンギアの響き方とチューニング精度を求めてウェバリー・チューナーに交換されている。ライヴやレコーディングで愛用している藤江さんのメイン・ギター。

Martin_Guitar_Layout_17_2.jpgMARTIN 000C Nylon:ソロアルバム『Family』に参加したギタリストからの影響で入手したエレガット・モデル。カッタウェイ・スタイルのシトカスプルース/サペリ・ボディに、フィッシュマンF1アナログ・ピックアップを搭載。ガットー・ギターのため、ナット幅は広めの1 7/8"だが、通常のマーティンのネック・シェイプに仕上げられてるため、通常のアコギから持ち替えても弾きやすく、様々なジャンルに対応するガット・ギターに仕上がっている。藤江さんはボサノヴァやジャズなどガット・ギターのトーンを活かした楽曲で今後使用していきたいとのこと。

 
<取材協力ショップ>
IMG_9889.jpg木定楽器店 ピッカーズ・フレンドシップ・キサダ
〒730-0051 広島市中央区大手町1丁目8-17
TEL.082-248-1862
http://www.kisada.com/pickers/

 広島の繁華街、本通に店舗を構える老舗楽器店。ギター、ベース、アンプ、管弦楽器の販売の他、音楽教室、レンタルスペースも備えた総合楽器店。マーティンは新品の定番モデルを始め、中古品も揃えている。ピックアップの取り付けやリペア、調整にも対応している。

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Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

製品情報

MARTIN HD-28

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製品情報

MARTIN 000C Nylon

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2019年6月号

定価890円(本体824円)A4判

2019年5月2日(木)発売

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