インタビュー

Living with Martin Guitar Vol.18

リビング・ウィズ・マーティンギター

コージー・のむら

『GAKKIソムリエ』のオリジナル企画、【Living with Martin Guitar】は、マーティン・ユーザーのギターライフを語ってもらうインタビュー・コーナー。音楽とギターとの出会い、マーティン・ギターの魅力、そして日々の生活におけるマーティン・ギターの存在・・・。憧れのマーティンを手にした喜びをインタビュー!

Martin_Cozy_Top_banner.jpg 今回ご登場いただいたのは、JEUGIA三条本店ステージ サブマネージャーの永嶋栄一さんからご紹介いただいたコージー・のむらさん。サラリーマンをしながら、地元の京都を拠点にライヴ活動を展開するコージーさんにマーティン・ギターと音楽との関わりについてお話を伺った。

"あなたにとってマーティン・ギターはどんな存在ですか?"

IMG_1691.jpg写真左より、永嶋栄一さんとコージー・のむらさん

"俺は何のために今まで音楽やってきたのか?"って自分に問いかけるようになって

ー音楽に目覚めたきっかけは?

コージー:中学生の頃は剣道部で、さほど音楽に興味はなかったんですよ。でも中学校の文化祭で吹奏楽部が演奏していたサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」が気に入って、シングルを買って聴いたんです。吹奏楽と違って、アコースティック・ギターとオーケストラで演奏していて、"俺でもギター弾けるかな? ちょっとやってみたいな"って思いまして、高校で吹奏楽部に入ったのと同時ぐらいにギターも弾き始めました。

ー初めて入手したギターは?

コージー:中学三年の正月にお年玉でヤマハのFGを買って、教則本を見てはジャンジャカ弾いてました。でも大学時代に社会人の吹奏楽の団体に2年ほど入ったので、ギターの方からはちょっと離れてしまったんですね。

ー再びギターを弾き始めるようになったきっかけは?

コージー:高校の吹奏楽部にはOBとして関わっていたんですが、ある年に当時の部員がコンクールの出場をボイコットしたんですよ。"何があった知らんけど、お前らなんのために音楽やっとんねん?"って思いますよね。その時に"俺は何のために今まで音楽やってきたのか?"って自分に問いかけるようになって。もういっぺん音楽を突き詰めたいって思った時に、吹奏楽からは離れてギターで歌い始めたのが30歳過ぎてからのことですね。

ーその頃はマーティンの存在は知ってましたか?

コージー:教則本とかでも最初の方のページにマーティンのD-45やD-28とか、ハイエンドで有名なギターの写真が載ってたので、マーティンっていうメーカーは知ってました。まぁ高嶺の花でしたけどね。

ーギターの弾き語りではどんな音楽を?

コージー:まず、昔買った教則本の1ページ目に載っていた岡林信康の「友よ」から歌い始めたんです。何となく教則本や歌集から曲を拾うことが多かったですよね。当時たまたま飲みに行ってたお店とかで、他の人らがギター弾きながら歌ってるのに加わったりして、徐々に入り込んでいきました。

ーソロで人前で演奏するようになったのは?

コージー:それから1、2年ぐらいの間ですね。カバーで20分ぐらいのステージで、岡林信康や南こうせつ、ボブ・ディラン、ピーター、ポール&マリーとかもやりましたね。フォークでもどっちかというとプロテスト系で、いろんな社会問題が見えてくるような曲ですね。

ーオリジナルも演奏するんですか?

コージー:だいたい40分のステージだと2、3曲はオリジナルをたまにやります。僕は想いを伝えるのにオリジナルもカバーも同じだっていう考え方なので、シンガーソングライターであることには特にこだわってないんです。ええ歌は歌いたいっていう。最近だと浅川マキ、あとはこの前、韓国の民主化運動が盛んになった時に歌われてた歌とか。あとはチョン・ジヨン(鄭 芝溶)という大正末期に同志社大学に留学していた詩人が書いた「鴨川」っていう詩や、その後輩のユン・ドンジュ(尹 東柱)という詩人の「序詩」という詩に曲をつけて歌ったりしてます。

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D-45はほんまに音と音がぶつかり合って、また別の音が出て来るからすごい

ー初めて購入したマーティンは?

コージー:2000年にD-28を買いました。やっぱりマーティン・ギターへの憧れみたいな気持ちですね。やっぱり音の太さ、音量、あと倍音の出方が全然違うんですよね。"うわっ、なんだこれ!?"って思いましたね。だからそのD-28は衝動買いでしたね。

ー今日お持ちいただいたD-45は2002年に購入されたそうですが、そのきっかけは?

コージー:これはね、最初に買ったD-45とは違うギターで、元々は黒澤楽器店のカスタムモデル(クロサワカスタム)で、25本限定のイングルマンスプルース・トップのD-45を2001年にJEUGIAさんで買ったんですよ。それが半年経たずにちょっとトラブルが生じて、25本限定なので代わりがないので、黒澤楽器店さんが一からオーダーで作り直してくれたんです。クロサワカスタムの音は気に入ってたので、木材などのスペックはほぼそのままで、インレイやナット幅、ネック・シェイプとかを指定して、昔と今のD-45を合わせたような形で作ってもろたんです。

ーそのD-45のサウンドや弾き心地は?

コージー:それまでシトカスプルースのD-45は弾いたことがなくて、クロサワカスタムのイングルマンスプルースのギターが初めて弾いたD-45やったんですよ。明らかにD-28よりは音がちょっと硬めなところがあるんだけど、音の太さも倍音の出方もやっぱり違うよなぁって。D-45はほんまに音と音がぶつかり合って、また別の音が出て来るからすごいって思いましたね。

ーこのD-45が弾き語りのメイン・ギターですか?

コージー:実はこれ2003年に事情があって一旦手放してるんです。でも2010年に中古でもいいからやっぱりDー45欲しいなって思ってインターネットで探してたら、どう見ても"これ、俺のやろ?"っていうD-45があったんです。で、その店に電話して"すいません、このギターのラベルに「cozy nomura」って書いてありますか?"って訊いたら、まさにそれで。速攻で買い戻しました(笑)。

ーそれはすごい巡り合わせですね!

コージー:そのお店の方も"同じ人のところに同じギターが帰っていくのは、実は野村さんが二人目です"って。買い戻してから修理に出した工房の人からは"この音の出方はパイプオルガンみたいで、今まで扱ったD-45の中でこれ以上のものはない。このギターを手放したらダメ"って言われました。68年とか69年のハカランダのD-45どころの話じゃないって。でも、音が出過ぎるので、これをステージで使うのはなかなか難しいんですよ。これはとにかく家で楽しんで弾いてるギターですね(笑)。

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とにかく安心して弾けますよね、マーティンって

ーOMC-28Eはいつ頃購入したんですか?

コージー:先々月(笑)。ライヴでもいずれ使う予定です。歌もので使うなら、声とギターの音量でいうとドレッドーノートよりこっちの方がバランスが取りやすいんですよね。D-45はほんまに音量がすごく出てしまうので。OMの方はある程度、体力の衰えを見ながら使えるギターというところも含めてね。

ーコージーさんは体が大きいからちょっと意外ですね。

コージー:声量は割と出るんですけど、やっぱりD−45が勝ってしまう。OMCの方が使いやすいのは、最近のマーティンってナット幅が広くなっていて、手がでかいもんからするとやっぱり弾きやすいんですよ。ネック・シェイプもモディファイド・ロウ・オーバルですごく持ちやすいし。D-45のVシェイプも持ちやすかったんですけど、腕を怪我してからD-45でワンステージやるのがしんどくなってきたんです(笑)。

ー今のマーティンはさらに弾きやすくなったという声をよく耳にします。

コージー:とにかく安心して弾けますよね、マーティンって。高いのから安いのまで、それこそ45からXシリーズまでどれも安心して弾ける。マーティンの音は聞き慣れてしまうとね、ほんまにガツンともシャリンとも鳴らせるし。

ーでは最後に、コージーさんにとってマーティン・ギターってどんな存在ですか?

コージー:そうやって考えるとマーティンは人生の半分かな。人生の全てとは言わないけど、やっぱり半分ぐらいは影響はされてますよね。憧れてるっていうところもあるし、実際にギター弾いて歌えるっていう楽しさを実感できますよね。確かに他のブランドと比べて値段的には高いけど、それだけのお金を払って持つ価値はあると思いますよ。生きてる間は持っておきたい。贅沢ですよね、ほんまに。マーティンもDばっかりじゃなくて、OMとか000とか、それも高いのからリーズナブルなもんまで、色んなのが出てきたからとっつきやすくなったんで、もっとみんなが弾いたらいいなと思いますね。ほんまに人生の半分以上をマーティンと過ごせるのって、ある意味贅沢やけど、僕は持ってて損はないと思いますね。

コージー・のむら:1969年生まれ・京都府出身。吹奏楽で聴いたサイモン&ガーファンクルに影響されてギターを始める。高校卒業後、一時ギターから離れるものの30歳前後に再びギターを再開。現在は月1本のペースで、地元京都で弾き語りライヴを行う。

Martin_Guitar_Layout_18_1.jpgMARTIN CTM D-45 2002:2000年に購入した黒澤楽器店カスタムオーダー・モデル(以下、クロサワカスタム)に不具合が生じたため、その代わりとしてコージーさんのために2002年にオーダーされたD-45。

IMG_0095.jpgクロサワカスタムのサウンドを気に入っていたため、イングルマンスプルース・トップ/インディアン・ローズウッド・サイド&バックのボディとブレイシングは、クロサワカスタムと同様のスペックでオーダー。その一方で、フィンガーボードのインレイはヘキサゴンからスノーフレイク、ナット幅を42.9ミリから44.5ミリ、オープンバック・チューナー、ロングサドルでオーダーされている(写真左側のオーダーシートはマーティン社から送られたFAXで、右がその原本)。つまりサウンド面では2002年当時のD-45、ルックス面では戦前のオリジナルD-45と、両者の特徴をブレンドしたスペックが特徴。事情があって一度手放したものの、2010年に偶然インターネットで発見して買い戻したという、コージーさんにとって運命的な存在のギターと言える。

Martin_Guitar_Layout_18_2.jpgMARTIN OMC-28E 2006:取材の前々月(2018年10月)に購入したカッタウェイ・スタイルのエレアコ・モデル。シトカスプルース・トップ/イーストインディアンローズウッド・サイド&バックのボディ、フィンガーボードとブリッジにはブラック・エボニーを採用。 ピックアップ・システムにフィッシュマンAURA VT ENHANCEを搭載。弾き語りがしやすい音量や弾き心地が気に入っており、今後のライヴ用ギターとして育成中のギターである。

 
<取材協力ショップ>
IMG_1692.jpgJEUGIA 三条本店ステージ
〒604-8036 京都市中京区三条通新京極角
TEL.075-254-3700
https://www.jeugia.co.jp/hall_74.html

 創業120周年を迎えた楽器・CD/DVDソフト・音楽/カルチャー教室を展開する京都の老舗総合楽器店。2013年にリニューアルした三条本店は計7フロアで構成され、B1のギター関連フロア「stage」では国内外の有名ブランドのギター/ベース、アンプ、エフェクターまでを取り揃えている。マーティンはレギュラー・モデルからマーティン本社で選定したカスタムショップ・モデルまで幅広いラインナップを誇る。

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Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

製品情報

MARTIN CTM D-45

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MARTIN OMC-28E

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定価1,620円(本体1,500円)A4判

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