インタビュー

マーティン アーティストリレーション担当者 MARTIN ECモデルを語る

クリス・トーマス

マーティン社アーティストリレーション担当者

 4月に待望の来日公演を行うエリック・クラプトン。1974年の初来日から45周年、海外アーティストとしては史上最多となる96回もの日本武道館公演を実現、そして平成最後の日本公演と、今回も話題性に富んだ来日公演となる。
 そしてエリックの愛用するギターの一つとして知られるのがマーティン000-28ECだろう。1996年に発売されて以来、シグネチャーモデルとしては異例のロングセラーを続ける人気を誇る。そこで今回はマーティンのアーティストリレーション担当のクリス・トーマス氏にエリック・クラプトン シグネチャーモデルに関するインタビューを行った。

MARTIN_Chris_banner.jpg

Chris Thomas CF Martin.jpegー現在のアーティストリレーションを担当するまでのマーティン社でのキャリアは?

 私のマーティン社スタッフとしてのキャリアは、1991年にパートタイムのストリングワインダーから始まりました。それ以降はマーティン社の各部門で働いてギターの作り方を学びました。そして2001年、当時のアーティストリレーション担当者として伝説的な存在だったディック・ボーク氏から声がかかって以来、アーティストリレーションに携わるようになりました。私とディックは共にボブ・ディランのファンで、彼の音楽に対する愛情を含めて、ディックとは多くの絆を共有しました。

ーエリック・クラプトンとはどのような経緯で関わるようになりましたか?

 クリス・マーティンCEOとディック・ボークは、私がアーティストリレーションチームに加わる以前からエリックと個人的な関係を築いていました。それはマーティン社にとって最高な瞬間の1つでした。それに続いて、私もディックと一緒に多くのクラプトンモデルに関わってきました。後はエリックと彼のバンドのレコーディングやツアーでの、ギターと弦のサポートも行いました。 私はエリックのトップマネジメントから彼のバンドメンバー、そしてギターテクニシャンまで、彼に関わる様々なスタッフとも密接に仕事をしてきました。それを通じて感じたことは、エリックは世界で最も有名なギタリストの一人であり、ギターシーンの権威といえる存在ということです。世界中のギタリストは演奏スタイルとギターの選択の両面において、エリックの影響を強く受けていると強く感じています。

ーECシグネチャーモデルの開発はどのように進められるのですか?

 エリックとマーティンギターとの相性はぴったりで、エリックはマーティンギターの感触、トーン、ビジュアルまでもしっかりと把握してデザインしています。ECモデルのデザインのほとんどは、エリックが『MTVアンプラグド』で使用した000-42に基づいています。そして長年に渡って、このボディスタイルを元に、ECモデルならではの様々なカラーやパールインレイで採用してきました。

eric_guitar.jpg■エリックが000-42ECを手にした発売当時のプロモーション写真

ーECモデルにおいて最も重要なスペックとは?
 エリックは弾き心地やチョーキングのしやすさから、短いスケールの000サイズのギターを好んでいます。かつての「Slow Hand」や「God」などのニックネームに象徴されているように、エリックのプレイスタイルが持つ純粋なパワーと繊細さを表現するには、Vシェイプのネックグリップやショートスケールといった仕様を持つ000が完全にマッチしているのです。またワイドなネック幅および広い弦間ピッチも、ECモデルのフィーリングや演奏性において、とても大事な要素だと考えています。

ーあなたにとって最も印象的なECモデルは?

 マーティンとエリックが生み出してきた全て000モデルの中でも、やはり私は現在もレギュラーラインに採用されている000-28ECに立ち返ります。コレクターやマニアは、Bellezza NeraやBellezza Bianca、Navy Blues Editionのような限定モデルに興味があると思います。しかし私はギターのトーンが第一だと考えていますので、000-28ECをプレイするたびに、これに勝るECモデルはないと確信します。エリックは完璧なアコースティックトーンを追求し、そのプレイからは常にブルースフィーリングが感じられます。そのエリックがマーティン"000"サイズを選択したことによって、そのスケールとボディサイズの組み合わせ、そして伝統的なトーンウッドの組み合わせが、多くのアコースティックブルースギタリスト達の標準となりました。

000-28EC.jpg■MARTIN 000-28EC:1996年の発売以来、現在もマーティンの人気モデルの一つとして高い支持を得ているエリック・クラプトン・シグネチャー モデル

OM-ECHF-NavyBlues.jpg■ECHFシリーズの第3弾モデル、OM-ECHF Navy Blues。ECモデルとして初のOMシェイプを採用して話題となった。

ECJM.png■2016年の来日公演に合わせて15本製作された日本限定のECモデル。波打った形状の3ピースのボディ・バックのセンターにブラジリアン・ローズウッドを採用したレア・モデル。

ー新しいECモデルのプランや発売予定は?
 まだ具体的な計画はありませんが、エリックおよびマーティンのファンの多くは、次のECモデルを求め続けています。将来のECモデルに関しては、時が経てばわかるでしょう。

ー1996年の発売以来、000-28ECが22年もの長い期間に渡ってロングセラーを続けてきた要因は?

 アーティストリレーションの担当者として、私はエリック個人のために000-28ECをセレクトして渡してきました。しかし、他の何百人ものマーティンを愛用するアーティストがこのモデルを好んで使用しているという実績があります。この22年間で000-28ECは22,000本以上も製作されてきました。すなわち、それはエリックという一人の影響力のあるギタリストだけを尊重するだけでなく、たとえエリックのサインがなくても000-28ECはすべてのジャンルのギタリストが望むあらゆる魅力を備えたギターだと考えています。

Interview by TOSHIHIRO KAKUTA

製品情報

MARTIN 000-28EC

もっと見る

Player

2019年6月号

定価890円(本体824円)A4判

2019年5月2日(木)発売

お求めは全国の楽器店、書店、またはWebで!

SANTANA

サンタナの奇蹟/ギターシーンに衝撃を与えるAFRICA SPEAKS

J-guitar

厳選されたギターが集まる!国内最大級のギター専門情報サイト!