インタビュー

キミはマーシャルのフルスタックでプレイしたことはあるか⁉

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Rolly

3月23日、ヤマハ銀座スタジオにて「憧れのフルスタックで弾く Marshallアンプ 爆音セッション大会」が開催された。憧れのマーシャル・フルスタックを心ゆくまでかき鳴らしてセッションできるというなかなかないイベントだった。このイベントの司会を担い、さらに自らも見事なパフォーマンスで魅了したのが我らのROLLY。イベントレポートとともに、この日のイベントを語っていただいたROLLYのインタビューをお届けしよう。

《イベントレポート》

■キミはマーシャルのフルスタックで プレイしたことはあるか⁉

 スピーカーキャビネット2台にアンプヘッドを積み上げた"フルスタック"(三段積み)と呼ばれるマーシャル・アンプは様々なギタリストのステージに君臨し、ギタリストの憧れの存在だ。しかし、近年は高性能なアンプ&スピーカー・シミュレーターが登場し、リアルなアンプに肉薄するバーチャルなシミュレーターもある。プロのギタリストの間でもシミュレーターだけでライブもレコーディングもこなす人は増えている。しかし、フルスタックのアンプには、シミュレーターでは再現できない魅力がある。それは音量と大きさだ。フルスタックのアンプは大きさが成人男子の背丈ほどある。その圧倒的パワーと巨大なスピーカーボックスが生み出す空気の振動を背に受けながらギターをプレイするとパフォーマンスのボルテージは上がる。20世紀のレジェンド系のギタリストたちがマーシャルの壁を背に演奏したのは、サウンドだけでなく、フルスタックのマーシャルの空気の振動を体感できたからだろう。この快感は実際に体験する機会があればわかる。だが、フルスタックのアンプを大音量で鳴らすには大きなステージなどの場所が必要で、一般のギタリストにはその機会自体がなかなかない。

「憧れのフルスタックで弾く Marshallアンプ 爆音セッション大会」が3月23日に開催された。ライブ公演も可能な設備を持つ銀座ヤマハスタジオで、フルスタックのマーシャルを背に好きな音量で演奏できる。しかも、プロのミュージシャンがバックバンドを固めてくれる。曲は課題曲の中からチョイスした1曲を演奏するスタイル。それにROLLYがスペシャルMCとして楽しいトークとライブで盛り上げてくれるイベントだ。採算を度外視したような大掛かりさだが、ヤマハミュージックメンバーズの加入者対象のイベントとして実現した。当日、会場受付には「大音量にご注意下さい」という旨の注意書きが貼られ、希望者には耳栓の貸出しもされている念の入り様だ。爆音へのこだわりを強く感じる。会場に入るとROLLYのファンまたは出演者の友人と思われる観客で満席となっていた。

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 イベントは2部構成。最初に音量についての注意があり、スペシャルMCのROLLYが登場。ROLLYは軽妙なトークでマーシャルアンプの歴史やエピソードを語った。「ピート・タウンゼントがジム・マーシャルさんに"俺に最も大きな音が出せるヘッドと8発のスピーカーが入ったキャビネットを作ってくれ"とオーダーしたんですね。でも実際に作ってみたら、大きいし重いので、キャビネットを2つに分けたんですね」とステージを埋め尽くした"マーシャルの壁"を前に話した。

 ステージに用意されたフルスタックのマーシャルは下記の5セットだ。

(ステージ向かって左から)

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・ヘッド2555X / キャビ2551AV+2551BV

・ヘッドJVM210H / キャビ1960A+1960B

・ヘッドJCM800 2203 / キャビ1960AV+1960BV

・ヘッドJCM900 4100 / キャビ1960A+1960 B

・ヘッド1959SLP / キャビ1960AX+1960 BX

 出演者は一世を風靡したJCM800から、定番モデルのJCM900、豊富なサウンドを生み出すJVM210、そしてリイシューの2555Xシルバー・ジュビリーの4つの中から好きなマーシャルを選んで演奏する。(1959SLPは当日は使用されなかった。)

 第一部は15時からスタート。普段、多忙な社会人生活を送る人、アマチュアながら本格的なミュージシャン活動を送る人などが、大きなステージで初めて触れるフルスタックとプロのサポートを背に演奏した。また、17時半からは第二部として、同様に4組5人のギタリストが登場。課題曲中、『Burn』が何度も登場し、イントロが流れた際には、「また??」のように思うが、使っているギターの違いや異なるアンプの組み合わせ、そしてMCのROLLYのトークで、長時間ながら飽きが来ないイベントとなった。

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 スペシャルMCのROLLYはJCM900 4100を使って自身のライブ演奏を披露。日本語化した『We will rock you』でスタートし、『Helter Skelter』や『While my GuitarGentry Weeps』などの名曲が続き『Parisienne Walkways』などで心地よいロングトーンを響かせていた。

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 長時間、大音量の演奏となったがフルスタックのマーシャルは大音量だからこそ、むしろ心地良く、軽妙なROLLYのトークもあって、ロックの楽しさを味わえた。そして、出演したギタリストは全員笑顔でステージを降りた。この笑顔こそフルスタック・アンプ最大の"パワー"なのではないだろうか?

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《ROLLY インタビュー》

■実はマーシャルを フルスタックで 鳴らしたのは 初めてだったんです

-「憧れのフルスタックで弾く Marshallアンプ 爆音セッション大会」で、3段積みのマーシャル・アンプでプレイした感想はいかがでしたか?

 面白いことにね、ここしばらくマーシャル・アンプを使ってなかったんです。すかんちのデビュー当時から4枚目(『OPERA』/ 1993年)くらいまでは使っていたんですけど。マーシャルのキャビネットってクローズドなので、凄く前に音が飛ぶんですよね。自分が感じるマーシャルの一番気持ちいい音って、3段ではなくて2段積みのキャビネット一つで豪快で鳴らして、背中で聴いている音だと思っていたんです。それも目の前ね。3mくらい離れると低音の迫力が欠けてきちゃうので。すかんち時代にホールコンサートをやるとステージが大きいので、アンプが非常に遠かったんですね。そうなると立ち位置によって凄く音が変わるんです。ところが、オープンバックのコンボタイプアンプだと、周りに音がバーって広がっているから、立ち位置が変わってもあまり感覚が変わらないのと、コンパクトな分、自分に近づけることが容易だったので、段々とマーシャルから離れていった経緯があったんです。ところが今回、マーシャル・イベントのお話をいただいてね。正直、"そもそも僕はしばらくマーシャルを使っていなかったし、僕ではないギタリストの方が絶対にいいと思うよ"とは言ったんですけど。それでもお願いされたのでやってみました。で、リハーサルスタジオに何台かのマーシャル・アンプが持ち運ばれて、その中から僕が選んだのがJCM900だったんですけどこれが凄く良かったんです。あらためてマーシャルの良さ、そして憧れのマーシャルの3段積みで鳴らす気持ちよさを発見した日でした。

-意外ですが、ROLLYさんが3段積みのマーシャルを鳴らすのは初めてだったのですか?

 そう、初めてだった。実を言うと、司会者兼進行役、デモ演奏をするくせにやったことがなかった。だから自分も凄く新鮮だった。実に凄く気持ち良かったですね。

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-今まで感じたのとは違うマーシャル・サウンドでしたか?

 つまりギターアンプから音が空気で伝わって...間接的ではなくて目の前で鳴っているわけだから、ややハイがキツイ音にもできるわけなんですけど。ところがそこでセッティングを吟味することで、気持ちいいポイントを発見することができました。気持ちいいポイントが発見できたら、あとはずっと気持ちいいままでしたね。どういうことかと言うと、長年の経験によって、そこにあるもので気持ちいいポイントを発見できるようになったんじゃないかって。

-ROLLYさんがJCM900を選んだのは?

 JCM800と900、JVM、それに1959SLPなんかもあったんですけど、さすがに1959は強烈すぎて僕にはコントロールしきれなかったのと、リヴァーブが付いている方が良かったんですよね。でも出場者の方でJCM800を弾いている方もいたけど、客観的に見ても皆さん、とっても良い音で鳴らしていらっしゃって、さすがと思いましたね。

-一般の方に混ざって演奏した面白い機会でしたよね。

 なんでも楽しめちゃう得な性格なんです(笑)。KILLERギターを持っている方がいたので"高崎晃モデルですか?"って声を掛けたら、"石原SHARA慎一郎モデルなんですよ"って。"そういえば1979年か80年くらいにヘヴィメタルファンタジーで、初めてアースシェイカーを一列目で観たときに、SHARAさんが鳴らしていた1959の音が凄まじかったんですよ"みたいな話をしたり(笑)。僕って御茶ノ水の楽器を観に行って、そこにたまたまいた青年と楽器の話をするのも好きなので(笑)。以前、クロサワ楽器の一日店長をやった時は僕、素手でトイレ掃除するところから始めましたからね。自分でやるなら適当にやるんじゃなくて"そこまでしなくていいですよ"って止められてもやる、みたいな。そういうところが今回の『ROLLY'S ROCK WORKS』にも反映されていると思うんですよね。"普通ここまでやらないだろう"っていうね。

-マーシャル・イベントの際、カヴァー曲はどうやって決めたのですか?

 何曲かは元々やっていた曲だったのと、ヤマハの方からお願いされた曲でしたね。それにしても面白いイベントでした。ニルヴァーナのカート・コヴァーンはマーシャルを使っていたかもしれないが、3段積みではなかったような気がするんですよね。

-そこが面白いですよね。ライヴハウスやリハスタの常備機材でマーシャルを使うのでも大抵は2段積みなので...。

 普通、3段積みはないですよね。でも昔の人はあれで演っていたんだから凄いな。

-話は戻りますが、ちゃんとリスニングポイントをつかむのはやはり技術ですよね。

 そこ命なんですよね、ギターアンプって。30Wのコンボアンプを使うのでも毎回位置決めには苦労しています。まずドラム叩いてもらって、ギターアンプで生の音で弾いて、ベースも弾いてもらって、モニターも何もない素の状態でステージ上が気持ちいい状態にまずしますね。僕、転がしのモニターからは楽器の音は返さない主義なんです。ドラムの生音とベースと自分のギターが一番いい感じでミックスしてから、マイキングをしてもらって。自分の声しか返さない。僕のステージ上の音は思いのほか、小さいと思います。マーシャル・イベントのときもそうでしたね。

Live Report / GAKKIソムリエ
Interview / Kazutaka Kitamura (月刊『Player』)

※本記事は月刊『Player』2019年7月号からの転載です。

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定価1,620円(本体1,500円)A4判

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