インタビュー

エレクトリック・フィンガーピッカーJared James Nicholsイベントレポート

ライブレポート

Jared James Nichols

Jared James Nicholsが来日。まさかのフィンガーピッキングによるロック・ギターを披露。それは単に指で弾くというレベルではなく、極上のサウンドと表現力を持った驚愕のプレイ。10月18日/19日に都内で行われたクリニックとライブを張り付き取材した。

 日本ではJared James Nichols(ジャレッド・ジェームス・ニコルス)と聞いて、知っている、聴いたことがあるという人は、そう多くは無いだろう。しかし、エピフォンとブラックスターからシグネチャーモデルがほぼ同時に発売され、そのタイミングで来日するとのこと。早速、彼のYouTubeを観たところ驚いた。70sの香りがするハードロックながら、ギターの右手はピックを持たないフィンガースタイル!での演奏に、さらにそこから多彩なトーンを繰り出し、フィンガーだからできるフレーズなどもある。しかも若く、インスタグラムのフォロワー数もすでに11万人という今後スターダムに上る可能性が高い。

まずは彼でのYouTubeオフィシャルムービーをご覧いただきたい。

 ジャレッドは10月中旬に来日し、マルチな活動をしていった。まず、Buckcherryのオープニング・アクトとして15日にリキッドルーム、16日にトラッドに出演。私は18日の昼にブラックスターが主催したクリニックと同じ日の夜にエピフォンが主催したショーケース・ギグ、翌19日にブラックスターが主催したライブ&クリニックを観覧した。この3つは似たようなイベントだ。実際、ジャレッドの演奏そのものはほぼ同様だが、ジャレッド自身のアイデアで、それぞれに異なる趣旨を含んだ内容にアレンジされ、ギタリストとして、パフォーマーとしての高い音楽性、また音楽学校の学生には先達として、優しい紳士な人間性を思い知らされた。

◆ ◇  ◇  

PL1912_jared_bkstar_small-105.jpg

 最初に今回のイベントでのジャレッドのプレイスタイルについて説明しよう。ロック・ギタリストがひとりでクリニック系イベントをする場合、PAなどからバックトラックを流し、それをバックにギターをプレイするのが普通だ。しかし、ジャレッドはバックトラックを一切使わず演奏する。彼一人のギターとボーカルで"ロックする"のだ。彼の曲も当然、リフ、メロディ、サビ、ソロなどから構成されているが、それをひとりで演奏し、ロックのグルーヴさえ演じている。これは並大抵の技術ではない。

 彼も普段はバンド形態で活動しているので、このような一人での演奏はイベント向けのパフォーマンスにすぎない。しかし、一人だからこそ、親指とその他の指の使い方やニュアンスの付け方などがよくわかる。

 演奏している曲も、ブルージーに聴かせるスローな曲だけでなく、アップテンポな曲も多く、ハードロック/ヘビーメタルをベースにしており、それらは長い髪を振り乱しながらプレイしている。演奏の抑揚や速いテンポの曲もたったひとりで、余裕でこなす。まさに驚愕のパフォーマンスなのだ。

それでは本題となる取材した3つのイベントの特徴を簡単ながらレポートしよう。

■10月18日(金) 高田馬場 専門学校ESPエンタテイメント東京 12号館B2ホール club 1ne2wo

PL_1018m900Ja-100.jpg 平日のお昼に行われたクリニック。会場が専門学校のホールということから、観客の多くは専門学校の生徒達。最初、彼は連続で数曲を演奏。オケもない演奏に私を含む観客はア然とした。観客の多くが音楽学校の学生なのでジャレッドの演奏を一瞬も見逃すまいと真剣に観ていた。

 その後、彼からシグネチャーのギター/アンプの解説。ホール自体が大きいため、20Wの状態でボリュームを上げる一幕もあり、アンプ本来の魅力がうかがい知れるイベントでもある。

ブラックスターの日本の輸入代理店コルグ/KIDのスタッフとのセッションがあった。そして専門学校でギタークラフトを学んでいる学生が作ったギターを試奏も行った。 質疑応答のコーナーでは、学生達からの質問が数多く寄せられたが、ジャレッドもアメリカの専門学校MIで1年間学んだ経験があり、彼らに機材のこと、音楽との出会いや具体的な練習方法のアイデアなど、同じ道を歩んだ先輩として、丁寧に答える姿が印象的だった。

PL1912_jared_bkstar_small-124.jpg

PL_1018m900Ja-102.jpg

■10月18日(金) 新宿 ROCKAHOLIC  

 ジャレッドは同日夜にはライブバーの新宿ROCKAHOLICに移動。ショーケース・ギグスタイルのライブに出演した。このイベントはシグネチャー・ギターをリリースしているエピフォンが主催したもので、入場が無料、彼のシグネチャーギターが当たる抽選会もあるというスペシャル・イベントだった。

PL1912_jared_epiphone_small-100.jpg

 会場は、ロックバーなので大きくはない。ビデオプロジェクターの前に、彼のアンプとギターが置かれていた。クリニック(や本誌インタビュー)でも「アンプには2スイッチのフットスイッチがあるけど、僕自身は一度音を作ったらそのままなんだ。」と語っていたが、この夜は言葉通りにフットスイッチは一度も踏まなかった。また、本人のギターは市販品と同じギターが使われており、今回は全て公演でこのギターが使われていた。

PL_1018m900Ja-104.jpg ジャレッドの演奏がスタートすると、オープニングこそビデオ・プロジェクターの前で演奏していたが、インストの曲やソロが長めの曲ではカウンター横の通路を練り歩きながら演奏している。今回の来日ではこの晩の演奏が最も長く、曲数もたっぷり。しかし、アンプのコントロール類には1回も触れず、逆にギターのボリュームとトーンは常に触り、そして、フィンガーピッキングでのニュアンスで演奏をしていた。エフェクターなどは一切使わないし、これほど抑揚がつけられるのか?とびっくりするほど、また聴き惚れるほどのエモーショナルな内容だ。

 演奏が終わると、エピフォンから提供されたシグネチャー・モデルの抽選会があり、当選者は夫妻で来場した男性が当選。しかし、男性はドラマーで、奥様はギタリストなので、当選したギターには奥様の名前をサインして記念写真を撮影していた。

 ロックバーで行われたショーケースギグなので、ボーカル用PAはあるものの、ギターの音はアンプからの音だけ、しかも、わずか1mとない距離でジャレッドの手の動きが見られるというスペシャルナイトとなった。

PL1912_jared_epiphone_small-110.jpg

PL1912_jared_epiphone_small-116.jpg

■10月19日(土)下高井戸 G-ROKS  

Jared_groks-100.jpg

 19日午後には下高井戸にあるG-ROCKSでライブ&クリニックが行われた。この日は土曜日とあって会場は満席。中にはバックチェリーのオープニング・アクトで彼を知って来場した人もいたようだ。  彼のライブとクリニックのパートは前日と大差がない。しかし、YouTubeの「タメシビキ!」などで知られるギタリストの山口和也氏が司会/MC/演奏サポートとして登場。ここで趣きが一気に変わる。山口氏がジャレッドにかけあいでのインタビューと質疑応答。自身がギタリストという視点からの質問も多くかった。

 この日の目玉は、山口氏の企画による一般のギタリストがジャレッドとセッションできるというスペシャル企画。これには一般から何人ものギタリストをはじめ、ベーシスト/ドラマーまでが挙手し、シンプルなブルースセッションを楽しんだ。

Jared_groks-102.jpg

Jared_groks-104.jpg

Jared_groks-105.jpg

Jared_groks_m900-108.jpg

▲今回ジャレッドが日本で使ったギター。EPIPHONEJared James Nichols "Old Glory" Les Paul Custom Outfit。価格は99,000円(税別)という価格で、1PUのみのシンプルな仕様ながら本人がこだわったセイモアダンカンP-90を搭載。このギターで驚愕の神ワザを披露していた。

Jared_groks_m900-106.jpg▲BLACKSTAR ヘッド JJN20R MKⅡ (価格=90,000円 / 税抜) スピーカーキャビネットJJN-212V OC MKⅡ(価格=80,000円 / 税抜) このアンプも日本で用意されたものなので、市販品と変わらない。彼がボイシングした真空管サウンドはもとより、20Wと2Wの切替や2本の異なるスピーカーを搭載、など実用性と多くの機能も持つ画期的なアンプだ。

Jared_860_gear.jpg

【 ギアレポートは上をクリック! 】

月刊『Player』2020年1月号ではジャレッドのインタビューを掲載。彼の音楽キャリアをはじめ、プレイスタイル、機材のストーリーなどについて詳しく聞いている。乞う!ご期待。

写真とテキスト / GAKKIソムリエ

Player

2020年9月号

定価1,620円(本体1,500円)A4判

2020年7月31日(金)発売

お求めは全国の楽器店、書店、またはWebで!

TAK MATSUMOTO

4年振りのソロアルバム『Bluesman』徹底追究

J-guitar

厳選されたギターが集まる!国内最大級のギター専門情報サイト!