インタビュー

村田隆行 plays ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay / 4人のプロ・ベーシストが語るスティングレイの魅力 Part.1

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村田隆行

THE CHOPPERS REVOLUTION / SOLBAND

“スティングレイのハムバッカーはこれからのサウンド” ー 村田隆行

鳴瀬喜博とIKUOとのベースのユニット「THE CHOPPERS REVOLUTION」や「SOLBAND」、そしてR&B、ソウル、ジャズ、フュージョン、ロックと様々なセッション・ワークで活躍する村田隆行。そんな彼もスティングレイに魅了されたベーシストである。スティングレイとの出会い、新たにメイン・ベースに加わったスティングレイ・クラシック、そしてスティングレイ・スペシャルについて、その魅力を語っていただいた。

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■スティングレイのハムバッカーはこれからのサウンド

ー村田さんがスティングレイに憧れるようになったきっかけは?

 中学生とか高校生の頃で、ベーシストと楽器がリンクしたインパクトだと僕にとってはルイス・ジョンソンでした。教則ビデオでプレ・アーニー時代(ミュージックマンがアーニーボールに買収される以前の197684年までの期間)のスティングレイを弾かれてるんですが、チョッパープレイが強烈で!もう歪んでいるんですよ(笑)。僕はソウル、R&B、ファンク、ディスコ辺りのジャンルが大好きで、フィンガーでブイブイやってるスティングレイのハムバッカーの音がすごく好きになりました。僕の中でのその代名詞がシックのバーナード・エドワーズ。あのサウンドがカッコ良すぎるんです。僕もそうですけど、ベーシストにとってフェンダー ジャズ・ベースとプレシジョン・ベースが音作りの基本だと思うんです。その進化系にスティングレイがいる感じがします。最初はルイス・ジョンソン的に派手にブイブイ弾くのがスティングレイのカッコ良さだと思ってたんです。でもあのローミッドやトレブルの調整が意外と難しくて、レコーディングで使うのは断念してたんです。でもプレベの1ピックアップの無骨さや不器用さ、あとドラムとの位置関係の延長上でスティングレイを考えた時に答えが見えてきて、それからスティングレイを弾くのがすごく楽しくなったんです。

ー最初はトーンの調整が難しかったんですね。

 アンサンブルに溶け込ませる時にミッドの帯域のコントロールとか、トレブルとベースをどの辺に位置付ければアンサンブルで馴染むのかが当時は分からなくて。多分それで悩んでいる人は多いんじゃないかなって思うんです。でもプレベのその先にできたもの、レオ・フェンダーが考えていたものっていう感覚でトレブルとベースをいじり出した時に、すごくいいサウンドが出せるようになってきて。たとえばモータウン的なアプローチ(ジェマーソン風)で弾いた時にわかる、楽器自体が抜けているからこそ出るミッド感が良いんですよ! あと根岸孝旨さんやSOKUSAIさん、美久月千晴さん、高水健司さんもそうですし、スティングレイを使う割合の多い先輩ベーシストのサウンドを研究した時に音作りが見えてきたんです。あとはレオ・フェンダーのすごさを基本構造の部分でも感じているんですけども、楽器の生音がこんなに鳴るってすごいです。楽器本体の鳴りとそれを拾うハムバッカーピックアップのバランスこそがミュージックマンなんだなぁと。他社のベースにハムバッカーを入れた事があるんですけど、この音にはならないんですよね。やっぱり体から鳴ってるからこそ、それを拾ってこの音なんだろうなって、スティングレイを持つと改めて思いますね。あと、スティングレイの裏通しはすごく意味があると思ってて、この鳴り方やピッキングした時のテンション感って明らかに裏通しからきてると思うんです。

ー最初に入手したスティングレイは?

 56年前に国産のEXというモデルから入ったんです。昔からワーウィックや古いフェンダーのような、ある意味ルーズな作りの海外の楽器が好きなので先輩ミュージシャンに相談したらプレ・アーニーの頃のスティングレイを勧められて、78年のサンバースト/メイプル指板のモデルを買ったんです。それはすごくネックが頑丈でサウンドも最高で、ピッキングのニュアンスとか70年代のフェンダーと変わらない感じがしたんですよね。でも塗装などメンテナンスの意味で継続して使うのが難しくて、あまり外にも持ち出さなくなったんです。

■ミュージックマンは楽器自体が鳴っている

02_MG_3845.jpgースティングレイ・クラシック(写真左/以下クラシック)を使うようになったきっかけは?

 数年前にザ・チョッパーズ・レボリューションでルイス・ジョンソンのトリビュート・ライヴをやった時に、IKUOさんもナルチョさんも僕もみんなスティングレイを持ってきたんですよ。僕は78年モデルで、ナルチョさんはスティングレイ・クラシックで、僕からしたら大先輩よりも昔の物を持っている優越感があるわけですよ。でもあの大御所は現行型を弾いてもあの音がするんですよね。実はナルチョ(鳴瀬喜博)さんが当時日本に最初に入荷したスティングレイを手に入れた一人だったそうで、ナルチョさんもロック、ディスコ、ソウル、R&Bとあらゆるジャンルをやってる人じゃないですか。だからスティングレイでのプレイも素晴らしくて。それで現行品っていいのかなって思って、その後同じクラシックを入手したんです。プレ・アーニーとはいくつか仕様が違いますけど、当時のものとそんなに変わらない。だからピッキングのアタックのニュアンスはすごくヴィンテージ感があるし、重量も5kg超えたりしていない(笑)。ある仲の良い店員さんとクラシックの検証をした時に、今の音楽やアンサンブル、アンプやエフェクターと合わせるならこっちの方がいいかもっていうことを仰ってました。僕もそれは感じてて、当時のピッキングのニュアンスとサウンドを継承しつつ、扱いやすくて、今の音楽に合わせたいんだったら、僕はこのクラシックで全然問題ない気がします。あとはプレ・アーニーって電池の消費が早かったんですよね。それは今の現場だと怖いじゃないですか。でもそういった意味でもクリアされている。僕もそうですけど、スティングレイを本当に好きで追求したければ、一度はプレ・アーニーを弾くべきだし、レオ・フェンダーが何を目指していたのかを当時の物から感じるのは重要だと思います。そこから今の自分の音楽に合うものとして、現行品のスティングレイやスターリング・バイ・ミュージックマンとかを選ぶのは絶対にアリだし、スティングレイに関してはそこがうまく継承されていると思うんです。

ーそれは古いものと現行品とでサウンドや弾き心地に違和感がないということですか?

 そうですね。古いやつってメンテナンスが大変だし、それだったら今のクラシックとかオールド・スムージーを絶対にオススメするんです。...でも、これだけヴィンテージだクラシックだって言ってるくせに、僕が今すごく楽しみにしてるのがスティングレイ・スペシャルで()これ弾いてビックリしたんですよ!

ーどのような点にまず驚きましたか?

 僕はレオ・フェンダーファンでもあるので、プレ・アーニーやクラシックしか眼中になかったんで90年代から2000年代に出てたスティングレイの現行品にはあまり興味がなかったんです。でも、このクラシックで「アレ?」って思って実際に弾くようになりましたし。カプリス・ベースの流れでスペシャルを見つけたんです。よく見るとデザインが違うんですよね。もっとシェイプアップされてて、コンターが付いたり、22フレットに対するデザインのまとめ方が今風でカッコいいですよね。スティングレイは無骨であまり変わらない印象だったのが、スペシャルはカッコいいかもって気になったんですよ。音も今の音楽に合うし、もっと自然に使える感じだったので。

_MG_3824.jpgーその自然に使えるというポイントとは?

 僕がビックリしたのはメイプルとローズウッド、エボニーと指板が異なるものを弾いてみたら、どれもサウンド・カラーが違うんですよ! 僕の持論なんですけど、ベースって極端な話、ボディの事よりもネックの方が重要だと思っているんです。重要なのはネックを中心として楽器が鳴っているかどうかなんですよ。だからこのスペシャルは、今までのミュージックマンらしく楽器が鳴っているっていうことは引き継がれている。しかも今までのスティングレイより軽いから、もっと楽器が明るく鳴っていると思うんですね。だから指板材によってサウンドの違いが出やすくなっているんだと感じました。メイプルは明るいスラップ・サウンドが出て、ローズウッドは気持ちトーンが抑えた感じ。エボニーはさらにトーンがダークで、いわゆるスティングレイのバキバキした感じじゃなかったんですよね。もっとナチュラルにミドルのピッキングトーンが出せる感じがして感動したんです。これなら現代の音楽シーンにも、馴染みやすい。このスペシャルに関しては、こんなに心を打たれたミュージックマンの現行品は初めてだったんですよね。

ースペシャルは18V駆動プリアンプですが、使い心地はいかがですか?

 単純に出力がでかいということじゃなくて、ベースアンプと同じでワット数を大きくして天井を広くする、それによるレンジのゆとりっていう感じですよね。上や下が歪んでないナチュラルなトーンというか、クリーンな印象ですね。僕はピッキングのニュアンスでセルフ・コンプレッションさせたり、逆にダイナミックを出したりしたいので、このゆとりがあるサウンドは結構好きですね。

ー3バンドEQでミッドのコントロールが増えているのはいかがですか?

 スティングレイに関しては2バンドの方が好きなんですよ、単純明快で()。やっぱり回路が増えるほど音って悪くなるから、なるべく余計なものを付けないで欲しいと思ってるんです。でも、それはあくまで個人的な意見で、アンプが選べない現場や2バンドの繊細な音作りよりは、3つのコントロールで大まかに触れてプラスEQで音を作っておいた方が楽な時があります。だから現場ごとの状況によってある程度の安定した音を作る必要がある時は、3バンドの方が安全な気がします。自分の感覚でミッドの帯域をコントロールしたり、絶妙な匙加減をするのがプレイヤーの醍醐味だとは思うんですけどね。だから昔は3バンドは反対派だったんですけど(笑)、ただミュージックマンは楽器自体が鳴っているから、電気ぐらいで音の芯はへこたれていない感じがしますけどね。

ーメインの5弦のワーウィックとスティングレイはどのように使い分けていますか?

 僕のワーウィックはかなりナチュラルなトーンが出るので、この5弦と古いフェンダーがあれば、大体の現場はこなせる感じなんです。でも、そこにスティングレイを置くことで、現場に合わせて弾けば、プレベよりも抜けるし、ちょっとブイブイいわせられるのが今はすごく楽しくて()それにスティングレイって意外とまだ追求されていない楽器だと思うんですよ。今、シティ・ポップがリバイバルして、またソウルやR&B、ディスコ辺りが来そうな感じがあるからこそ、このスティングレイの音が重宝されるんじゃないかなって思ってます。時代ごとの音楽をチェックしなければいけないミュージシャンなら、スティングレイのハムバッカーはこれからのサウンドだと思うんですよね。若いベーシストもひっくるめて、スティングレイで大人の音を出すのがここからのキーワードじゃないかなって。若いベーシストにとっては、スティングレイのハムバッカーだからこそ出るミッドとトレブルのブリッとした感じに新鮮さを覚えるんじゃないかな。だからすごい楽しみなんです。僕は勝手にスティングレイを先取りしてる感じで、優越感に浸ってます(笑)。

●村田隆行の最新情報はコチラまで→http://takayukimurata.com

Interview & Photo by TOSHIHIRO KAKUTA Thanks to G-ROKS STUDIO

※本記事は月刊Player 2020年10月号からの転載です。

製品情報

ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay

問い合わせ:株式会社コルグお客様相談窓口 ☎︎0570-666-569 https://www.musicmanguitars.jp

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定価1,620円(本体1,500円)A4判

2020年10月2日(金)発売

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