インタビュー

星野李奈 plays ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay / 4人のプロ・ベーシストが語るスティングレイの魅力 Part.2

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星野李奈

エルフリーデ/TOKYO GROOVE JYOSHI

“メタルや速弾き系にも全然強いのが新発見” ー 星野李奈

 エルフリーデを始め、様々なアーティストのサポート、さらにソロ・ベーシストとして活躍する星野李奈。2020年7月にリリースした3rdソロアルバム『ANCiENT』では、従来のフュージョン/ジャズから、変拍子を駆使したプログレッシヴなサウンドへと一転し、テクニカルな一面をさらに押し広げている。そんな彼女にスティングレイ・スペシャルの印象を訊いてみた。

■自宅でDTMする時に、このぐらいのサイズ感だと楽かな

03_IMG_0155のコピー.jpgースティングレイのイメージは?

 初心者だとちょっと扱いにくいのかなって印象はありました。ピックアップがリア側に付いていたり、アクティヴでコントロール自体ははっきり付くんですけど、明確な音のイメージが自分の中にないと、その音作りが難しいのかなっていうのが最初の印象でした。でも、これだけ音作りの幅が広いとやれることはいっぱいありそうですね。

ー普段使用しているパッシヴの4弦は、プリアンプ・ペダルで音を調整しているんですか?

 それも使いますけど、基本的には指で調整することが多いです。スティングレイはここまでスラップがはっきり出てくれるから助かるなって思いますね。

ースティングレイ・スペシャルのネックの握り心地はいかがですか?

 すごく軽い握り心地です。女性は使いやすいんじゃないかな。私の場合、普段が結構しっかりしたベースで弦高も低いので、それに比べてスティングレイは握りが浅いし、多分12ミリ細いので握りが軽いです。

ー普段使用するベースと比べて重量は?

 全然違います。メイン・ベースは4.2628キログラムなんですけど、これはめちゃくちゃ軽いですね。なのに重心がしっかりしてるからネック落ちがしない。自宅でDTMする時に、このぐらいのサイズ感だと楽かなって思います。24フレットのちょっと重いベースだと、宅録する時に椅子にボディが引っかかったり、ネック落ちしたりするんです。作曲者用の椅子があって、多分それに座った状態でもベースが椅子に擦れないんで、そういうところは人気が出ると思います。ここ(1弦側のボディ・エンド部)が下に深いと、弾いている時に椅子に引っかかって上がっちゃうんです。些細なことなんですけど、ちょっとしたベースの持ち上がりで体勢が崩れるんで、弾きにくかったりするんですよ。これはそういうことはなくていいですね。そういう需要は結構あると思います。

05_MG_3326.jpgーこのスティングレイ・スペシャルの音色はいかがですか?

 ボリュームがフル、ベースとミドルがセンター、トレブルを少し上げ気味にすると、普段使っているパッシヴのトーンに近いセッティングなんですけど、やっぱりリア側で弾くのとフロント側で弾くのとで全然印象が違うので、慣れるまではフィンガーランプを付けておくと楽ですよね。ピッキングの調整感覚が変わるので、指弾きで練習する初心者の方とかは弾きやすさを自分でカスタマイズした方がいいかなって気がします。ミドル位置でピッキングするとずっしりした昔風のサウンドがカッコ良く出るけど、リア側で弾くとちょっとエッジが立ちやすくなるので。好みはあると思うんですけど、最近のポップスってそんなにゴリゴリした重たいサウンドは出したくない人も結構いて、エルフリーデも重たいサウンドは相性が良くないので、やっぱりフロント・ピックアップ寄りの音を作りたいと思う人は結構いると思います。でも、レッチリとかパンク系にはめっちゃいいですし、スラップでも親指のオルタネイトを使う人にはすごくいいと思いますね。マーカス・ミラーのカバーとかはやりやすいですね。

ーハイ・ポジションのサウンドや弾きやすさはいかがですか?

 やっぱり22フレットだと指が入りやすい(24フレットと比べてポジションの間隔が広いので)ので弾きやすいですね。あと、高音のバズりが全然無いんで、すごく綺麗に音が出る。軽いタッチでもバズらないし、ビブラートも掛けやすい。

ーピッキング・ニュアンスに対する反応は?

 すごいやりやすいと思います。ハイフレットは弾きやすいですね。個人的に弦高はもっと低いので、普通の弦高だと弾きにくく感じるんですけど、これは感じないですね。スティングレイは迷走してる時に弾くといいかも(笑)。自分の方向性やジャンル、これもあれもやってみたいって悩んでいる時とか。あと音楽専門学校生って学校の課題でいろんなジャンルを弾かなきゃいけないじゃないですか。あるいはいろんな人のサポートでライヴをやったりとか。そういう時に使ってみると、ちゃんとベースのトーンも考えないとイメージと違う音になっちゃうんで、自分の耳も良くなりそうですし。それと私も指が細い方なんですけど、弱いピッキングでも音圧が結構出るんで、それをコントロールすればすごく弱い力でもパワーのある音が出せるから、メタルとか速い系の音楽でもめっちゃ楽して弾ける(笑)。以前、サポートでイングヴェイ・マルムスティーンのカバーをやった時に、指弾きがすごく大変だったんですよ。だけど、これだったらあまり疲れないで弾けそうだなって。これだけローが出てくれれば、EQで安定させられて粗がバレない(笑)。指弾き派のメタル・ベーシストには好都合かも知れない。だからジョン・マイアング(ドリーム・シアター)もミュージックマンのベースを使ってるんだと思います。あれぐらいの速弾きをライヴで2時間通して、しかもツアーで30公演ぐらいするじゃないですか。結構、指に負担がくるんですよ。演奏し慣れているプロでもすごい疲れて痛くなることもあって、そういう時にいかにセッティングを楽にするかに集中したりもするんですけど、これは使いやすそうですね。それにピッキングに反射するノイズがないので、RECの波形も綺麗に出そうですね。

星野さん893-569.jpg

■ドリーム・シアターを弾きたくなりますね

ーベースの出力が大きい方が結果的に扱いやすいですか?

 パワーがあれば削れるんですけど、パワーがないと上げてあげなくてはいけなくて、そこのデメリットはあります。ただアクティヴでこれぐらいパワーが強いベースだと、逆に音作りは難しいんですよ。初心者の方が大きいアンプで弾くと、どの帯域が出ていて何が足りないかの聴き分けが大変だと思うんで、最初はフルテンでやったりするじゃないですか。このベースはそう使うと大変なことになっちゃうと思うんですよね。コントロールの調整を少しでも覚えれば、自分の耳でいらないところを削って欲しいところは足せる。それに速弾き系の曲とか楽に弾けるから、そういった面では強いと思います。あとアクティヴとパッシヴのベースが混在して対バンすると、アクティヴの方がローがしっかりしていてパワーがあっていいねって言われることがあるんですよ。ベーシストとしてスタイルは全然違っていても、単純にお腹に"ズン"ってくるのはアクティヴの方が強い印象はあって、そうした時にいいなって思います。逆にパッシヴは指のコントロールがしやすいので、アコースティック楽器みたいに使えるんです。

ースティングレイの良さが特に引き出せそうなのはどんなジャンルだと思いますか?

 私も全ジャンルをやってるんですけど、一番オススメは、8090年代のベースのラインがしっかり出ているバンドとかにはめちゃくちゃいい印象があります。でもメタルや速弾き系にも全然強いのが新発見で、そっち系のジャンルもいけると思います。ポップス系で使いたかったらローとミドルはフルじゃなくてセンターで、ちょいトレブル上げぐらいにするといいと思います。スラップはベースを半分からちょい上げ、ミドル真ん中ぐらい、トレブルを8ぐらいにするとやりやすい。やっぱりレッチリをカバーするならこれから入った方がいい気がするなぁ(笑)。

ー立って弾いた時の体へのフィット感は?

 すごい弾きやすいです。立って弾いてみたらちょっと欲しいなって(笑)。思ったより可愛いですね、なんかビックリ(笑)。もうちょっと古いイメージだったんですけど、めっちゃ可愛い! ドリーム・シアターを弾きたくなりますね。

06_MG_3330.jpgー5弦モデル(写真左/StingRay5 Special)も用意しているんですが・・

 軽っ! 5弦ベースでこの軽さ(笑)。ローズウッド指板の方が音の相性がいいかも知れない。4弦と全然違う。アクティヴの多弦ベースって高音と低音のバランスが良くないことがあって、RECの波形を見ると自分の耳で良くないって思うところは波形が乱れてるんですよね。アクティヴの多弦ベースは自分が求めている音がハイフレットから一番低い音まで納得したものでなかったら難しい。高額な買い物なので特に慎重になりますね。

ー5弦モデルの音のバランスは?

 すごくいいと思います。高音のビビりがないので使いやすい。高い音を伸ばした時に少し濁りが混じるというか、ローの膨らみが入るんですよね。ライヴで大きなアンプで弾くとお客さんの耳に痛いところを突いてくるんで、それが極力出ない楽器の方がいいんです。このベースだとタッチを弱くしても音が強く出るんで、音のモケモケした感じが出る手前で止められるんですよ。

ーEQの効きはいかがですか?

 4弦もそうですけど、コントロールをマックスで弾くと、周りから嫌われちゃうぐらいパワーが強いんですよ(笑)。だから自分が教えている生徒さんにはEQの使い方はしっかり指導すると思います。逆にライヴ慣れしてる人とか、こういう曲を弾きたいというイメージがある人にはめっちゃいい。ライヴで使うのにいいし、慣れてくると楽しいし、作りもいいし、ネック周りの処理もちゃんとされてるから弾きやすい。

ースラップは弾きやすいですか?

 ベースによっては低い音が出て高い音が薄くなったりして、フルの音量差を指でコントロールしなきゃいけなかったりするんですけど、これはそういうことがあまりないのでいいと思いますね。ただ、スラップでいったら4弦の方が圧倒的にいいですね。個人的には5弦の方が音が柔らかくて、最近の歌モノとか今時の曲に合う気がする。4弦の方はちょっとオールドな曲とか、スラップをゴリゴリやりたい人にはいいんじゃないかなっていう印象です。

●星野李奈の最新情報はコチラまで
RINA HOSHINO OFFICIAL WEBSITE https://www.rina-hoshino.com
Twitter https://twitter.com/rina0711hoshino

Interview & Photo by TOSHIHIRO KAKUTA

※本記事は月刊Player 2020年10月号からの転載です。

製品情報

ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay

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定価1,620円(本体1,500円)A4判

2021年11月2日(火)発売

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