インタビュー

KEN(SA) plays ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay / 4人のプロ・ベーシストが語るスティングレイの魅力 Part.3

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KEN(SA)

“クセがあっていいんですよ、ミュージックマンは” ー KEN

 2019年のドラマー交代を経ての最新作『CALL UP MY COMRADES』では、フレッシュで普遍的なロック・サウンドを表現したSA。そのベーシストであり、様々なアーティストのサポートやソングライター、プロデュースで活躍してきたKENが、スティングレイ・スペシャルの試奏に参加してくれた。90年代に活動していたDOG FIGHTの頃にはスティングレイがメイン・ベースだったこともあり、現場で使用してきた経験も交えて、スティングレイの魅力を語ってくれた。

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■EQが繋がっているっていうか、ハイがすごく分かりやすい

ースティングレイを使用したことは?

 持ってました。90年代に新品で買ったんですね。大元はYMOで細野晴臣さんがミュージックマンを使ってたんですよ。それが最初に見た時で。

05_MG_3326.jpgーこのスティングレイ・スペシャル(写真左)ですが、軽量化されているのが特徴なんですが・・。

 軽いですよね! あの時と全然違う(笑)。重かったです。それも理由があって、手放してしまったんです。DOG FIGHTの時に本当に絶好調な頃で3枚目ぐらいから使い始めて、ライヴもレコーディングも使ってました。その当時の後楽園ホールでやったライヴとかで使っている様子が残っていますね。重そうに見えなかったんですけど、異常に重かったです(笑)。その前が62年のプレシジョン・ベースを使っていて、その次にスティングレイで「なんていい音するんだろう!」って。全部がアクティヴになってたのかな? だから使いやすいし。ただ自分はトリッキーなプレイはできなかったですね。全部ピックでガシガシ弾いて。

ースティングレイを入手したきっかけは?

 新しい音が欲しかったのと、見た目が非常に好きだった。カッコいいなって思って。アクティヴ・ベースは、最初に買ったのは実はアイバニーズなんです。あれもブーストみたいなものが付いていて、それで慣れていたんですよ。プレベを使う時には、ピアーズっていうプリアンプで無理やり歪ませたりしたんですけど「なんか、来ないな」っていうのがあって。それで楽器屋さんでスティングレイを試奏したら"ビーン!"ってすごい音したんで(笑)。「ギターに勝てる!」っていう感じですね。実は不思議なもので、当時からスティングレイはパワーがすごいあるんですけど、オケの中に入ると意外とちゃんと埋もれてくれるっていうか、出したいところだけ出てくれるんですよ。ギタリストの出す周波数にもよると思うんですけど、うちのNAOKIg)はローミッドがガッとくる、さらにメサ・ブギーで出してたんで、プレベだと負けちゃうというかベースが消えちゃうんですよ。でもスティングレイはその下でちゃんとしたベースの音を出してくれてて。で、自分のモニタリング的にはギンギンくるわけですよ。非常にモニターもしやすいし、アンサンブルの中でも"ドォーン"って下を支えてくれたというか。78年ぐらい前に喜多村英梨ちゃんっていう声優の全国ツアーをやることがあって、その時はスティングレイで全部やりました。ああいう音楽でも割と求められる音が出しやすいし作りやすい、これだけEQが効くので非常に重宝しましたね。

ーそれはどんなスタイルの音楽でしたか?

 転調、転調の(笑)。ベーシストのIKUOさんがレコーディングした曲を弾くことが多くて、もちろんスラップはできないのでピックでごまかすんですけど(笑)。ただね、その時もそれっぽい音になるんですよね、特にライヴなんかはバチバチとちゃんといてくれる。レコーディングだとすごいクセは出ちゃう気がする。よっぽど調整しないと出過ぎちゃったり。「あっ、ミュージックマンでしょ!?」みたいな音になっちゃんですね(笑)。

ースティングレイのクセとは?

 なんかね、"ツン"っていうハイのところに必ず出てくる音があるんですよね。ローミッド、ベースがあるとしたら、その部分にうねるような低音が出てくるんですけど、そこからちょっと空いて、上に必ずアタックではない音がいるんですよね。いわゆるフルテンで弾いた時のイメージなんですけど、弦が新しいような音がするというか。だから丸い音もEQをカットすればできるけども、それがないと締まらないというか芯の音がそこで。前のスティングレイはその印象が強いです。

ースティングレイを手放した理由は重かったから?

 もう、それしかないですね。バランス的にもボディが異常に重かったですね。だからああいう音が出たのかもしれないですね。

ースティングレイ・スペシャルのサウンドはいかがですか?

 いいですね、乾いてますね。前のはEQがもうちょっと離れていて独立している感じがしたんですけど、これはね、割とEQが繋がっているっていうか、ハイがすごく分かりやすい。で、ミドルを入れるとそんなに変化がないんですよ。ハイのレンジを持ち上げてくれるというか、繋がってる感じがします。こっちが使いやすいです。前よりナチュラルですね。あぁ、この音ですね(笑)。

ーネックの感じはいかがですか?

 すごい握りやすい。ちょうどいいですね。前のは握りがもうちょっとね、カマボコっぽくてごつい感じがしました。今どきのベースって一人でスラップで派手に弾くようにできてるみたいな、そう思っちゃうぐらい良すぎちゃうんですよね、音が。でもね、その点クセがあっていいんですよ、ミュージックマンは。クセがあるっていうのは、非常に特性が変わっていて抜けてくるんですよね。

ー立って弾いた時のバランスは?

 いいですね、立って弾いた方がいいかな。どこの弦を弾いてもいいです。前のはお腹のところがもうちょっとフィットしなかったんですよね。なんせ軽いのがいいですね。今弾いているリッケンバッカーよりも全然軽い。

ーメインで使っているリッケンバッカーにはMMタイプのハムバッカーを搭載していますよね?

 あれはやっぱり自分が持っていた名残です。あれPONさん(LAUGHIN' NOSE)からオリジナルでいただいた時に音が小さかったんで、佐久間正英さんの工房にお願いして、普通の音にしたい、でもクセが欲しい、ポールピースがでかいやつがいいって言って(笑)。その時点からパワー=ミュージックマンみたいなイメージがずっとあって。ただプリアンプを入れるのは形状的に無理だったんで、パッシヴのままでお願いしたんです。意外と普通の音だったけど、やっぱり似てますね、こっち系ですね。

ースティングレイとピック弾きとの相性は?

 いいと思います。特にこのスティングレイの、このEQの感じで出てる音は非常にいいですね。ローミッドの音色がカッコいい。8ビートのメロコア的なものとかピック弾きには合うと思います。指で弾くとこの特性が出なくて逆にもったいないんじゃないかな。EQは全部フラットにしてるんですけど、全然問題ないですね。

ー以前はどんなセッティングにしていましたか?

 会場に応じてちょっとローだけ足すかどうか。アンペグとサンズアンプ(GT-2)でちょっと歪ませて、気になるハイをちょっと散らして。ベースに付いてるEQってあんまりいじりたくないんですよね。欲しいところが消えてっちゃう時があって、だいたいそういう時ってブーストだと思うんですよね、皆さんが本体のEQでやるのって。でもあれはアンプの良さも出ないって思ってます。

ーEQの使い方は初心者には難しいですか?

 うん、全体の中でどういう音なのかを確定している場合はEQで攻めるのはアリだと思うんですけど...難しいですね。そもそも割とドンシャリ寄りだと思うんですよ。ミドルを上げるとローがキュッとなくなってる感じだけど、こっちの方が出てくるんですよ。バンドの形態にもよりますけど、ローを上げるとね、一瞬カッコいいんですけど、あんまり意味がないローだったりする場合がある。考え方ですね、僕の場合は。"ロックはミドル"って教わったんで、先輩に。これだけ出力あるんで、あまりEQをブーストする必要はないのかなって。

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■5弦ってこんなに弾きやすかったでしたっけ?

ー歪ませたサウンドはいかがですか?

 アンプ側で歪ませるとカッコいいですね。それでもやっぱりいますね、ミュージックマンの音が。キャラクターは変わらないですね。そこがすごいんですよ、ミュージックマンって昔から。何かエフェクターを使っても結局ミュージックマンの音がするっていうか。

ー他のベースだとそこまでキャラが出てきませんか?

 割とそこは濁されちゃうと言うか、そのエフェクターの音になっちゃったりとか。モノによりますけど、フェンダー系ってそういう風になるイメージがあります。だからスティングレイはトリッキーですよね、ベース自体が。歪ませるとそのまま芯が残っていてくれるんでいいですね。

ーSAの最新作はあまり歪ませていなくて、ベースは抜けがいいですよね。 

 そこの良さは確かに追求しなきゃいけなかったんですね。前は割と好きな音色を作ってそのまま出るようにレコーディングでもしていたんですけど、いまはそうじゃないですね。アンサンブルを考えるようになったというか。そういう意味では年を喰ったんですかね。この歳になってビートルズを異常に聴くようになって。アレ聴いちゃったらもうダメですね。別次元すぎちゃって。エグいですし、スピーカーで録ってたとかいろんなことやってますよね。ポールみたいにジャズべにフラットワウンド弦で歪ませるっていうのはSAの前々作ぐらいのアルバムでやってますね。非常に良かったです。妙にポール感がでる。あれは面白かったですね。だからスティングレイもフラットワウンド弦で弾いてみたいですね。

ーフラットワウンド弦も合いそうですか?

 合いそうですね。田村直美さんとのElco kingではフラットワウンド弦を張ったアコベを弾いてますし、割とそういう方が好きなんですよね。

ーEQをフラットにした素のトーンは?

 重い感じではないと思いますね。ローミッドがちゃんと出てくるんで、そこの変化はどうなるんだろうっていう期待はしたいですね。

ーSAではどんな場面で使いたいですか?

 レコーディングはちょっと難しいかも知れないですね。音が急に変わる気がします。今までの感じのイナたいところではなく、もうちょい晴れ晴れとすると言うか、割と若い方に行く感じがしますね、SAの曲をこれでやると。でもライヴは使えますね。まずこの軽さ。持った感じも全然違和感ないし、弾きやすいですね。これを使うんだったらここぞですね。来年4月ぐらいにクラブクアトロでライヴをやるんですよ。いわゆる東京のツアーラストで、急にこれ持って出てきたらカッコ良くないですか。「えっ、ミュージックマン!?」みたいな(笑)。ライヴだったら音の特性がうちのヴォーカルとすごく合うと思うんですよね。対抗できると言うか。

ー歪ませてピックで思いっきり弾いてもそれほど音が暴れないですね。

 うん、全然普通ですね。G&Lなども含めてこの辺のベースの本家だと思うんですよ。このEQ感というか、サーキットなのか分からないですけど、この系統じゃもっと強いクセがあったからピックは難しいかなって弾きながら思ってはいたんですけど、いいですね。

06_MG_3330.jpgー5弦(写真左/StingRay5 Special)の方はいかがですか?

 5弦はバックバンドの時にしょうがなく弾いてたんですけど...これは異常に軽い! これ軽いし弾きやすいですね。俺、5弦の方がお気に入りかも(笑)。5弦って基本的に弾きづらいんですよ。でも4弦を弾いてる感覚で弾けるんですよ。

ーローB弦のテンションや鳴りはいかがですか?

 いいですね。自分が持っている5弦ベースは弱く弾かないとこの安定したピッチ感が出ないんですよ。これはネックが割と持ちやすいですね、5弦にしては。弦間が狭いのもピック弾きには非常に弾きやすい。こっちですね(笑)。音もこっちの方がナチュラルですね。だから5弦としてですけど、さらに普通のベースの音になってきてるのかなって。

ー5弦の方はローズウッド指板なので、その違いはあるのかも知れないです。

 そっか、ありますね。俺、ベースはローズウッドばっかりなんで。結構、気に入ってます。5弦ってこんなに弾きやすかったでしたっけっていうぐらい。疲れないです。形状もいいんでしょうね、すごく考えられてるんだろうな。

ー弾いている姿を見ても5弦を弾いている感じがしないですね。

 しないですね、それがいいんです! 5弦だけど上の位置に構えて弾かなきゃいけないところがないので。

ー低い位置で構えても様になりますよね。

 ですよね。スケールも長く感じるのかな、だから余計にバランスがいいんですよ。見た目は大事だから(笑)。ライヴで驚かすならこれですね(笑)。5弦で次に買うとしたらミュージックマンですね。弾きやすくて軽いし、4弦を持ってるのと変わらないですもん。5弦のテンション感が全然いいですね。割とミドルの音が好きなんで、そう考えると5弦ももうちょい出てもいいのかなって思いますね。普通に4弦と同じような感覚で弾けますね。非常に弾きやすいです、これ。ベースらしい音で、軽くて5弦も付いていてって最高ですよね。

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nemoken.com http://nemoken.com

Interview & Photo by TOSHIHIRO KAKUTA

※本記事は月刊Player 2020年10月号からの転載です。

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