インタビュー

Shaikh Sofian(odol) plays ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay / 4人のプロ・ベーシストが語るスティングレイの魅力 Part.4

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Shaikh Sofian(odol)

“単純に弾いていて楽しいですね、スティングレイって” ー Shaikh Sofian

 静謐なピアノとシューゲイザー的なギターを融合したスタイルに、現代音楽やエレクトロニック、ダンスミュージックを取り入れた音楽性を展開する5人編成のロック・バンド、odol。ベーシストのシェイク ソフィアンは、そんなodolの音楽性とはうってかわって、実はレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーをきっかけにベースを始めたという大のスティングレイ・ファンだった。そんな彼にスティングレイ・スペシャルの魅力を語ってもらった。

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■一番驚いたのが、トレブルを上げると音の解像度が上がった感じがする

ーミュージックマンのベースを弾いたことは?

 高校時代にレッチリに憧れてベースを始めたので、スティングレイにすごく憧れがあって。買って自分の手にしたことはなかったんですけど、スタジオでレンタルしたりしていろんなスティングレイを試してきたんです。だけどフリーに影響を受けたベーシストが周りにたくさんいることに気がついて、逆にスティングレイを買ってしまったら独自性がなくなると思って、あえて離れたところに向かっていった感じです。

ー本当はすごくスティングレイが好きなのに・・

 そうなんです(笑)。やっぱりスティングレイはスティングレイ唯一無二の音がするじゃないですか。あのサウンドに惹かれるところが今でもあって。

05_MG_3326.jpgーこのスティングレイ・スペシャル(写真左)は、材やパーツを変更したり、軽量化もしているんですが・・。

 確かに昔は全体的に重量感のある印象がありましたけど、これは全然重さを感じないですね。特に思ったのが、ネックの感じが違うなって。ちょうどいいですね。多分弾き方が変わったこともあるけど、昔は握るにも押さえるにも弾くのにも力がいるイメージでしたね。今触ってみるとテンション感がすごくちょうどいい気がして。前と比べて音がすごく出しやすい。音的には4弦のロー感がちょうど演奏中や曲ごとで調整している帯域で、EQで細かく削ったり足したりしているところなんで、すごく音作りがしやすいですね。それに12フレットあたりからその上のポジションまで同じフォーム感で弾けますね。ここら辺(ネック・ジョイント部)の指の当たりは気にしがちなんですが、これはすごく自然に弾けます。和音で弾いてる時の手の形にちょうど収まってくれるんですよね。

ー音の印象は変わりましたか?

 低音部も含めて暴れている感じが全くしないって感じました。ローをブーストしても指の方でコントロールできるぐらいのパワーの振れ幅があって、ミッドを絞るとスーパーローがより際立つのかなって。一番驚いたのが、トレブルを上げると音の解像度が上がった感じがするんですよね。普通はトレブルを上げるとギラギラ成分が強調されると思うんですけど、弦の一本一本を弾いた音がうまい感じで質感を保ちながら混ざっている。中途半端にミッドが出ていたりするとゴチャゴチャすることが多いんですけど、これはトレブルを上げるだけで他の弦と合わせた時の鳴りがすごく立体的になる。

ー現在メインで使用しているベース2本はどちらもアクティヴですよね。

 両方とも2バンドEQですね。ミッドがない分、ある程度元からミッドが鳴るベースを選んで、そのミッドをエフェクターやアンプで調整している感じです。逆にミッドがないベースだと使いづらくて困ることが多いんですよね。ベース側のEQでミッドをブーストしてから後でエフェクターで削るのは心地よくないなっていう気持ちがあったんですよね。この点でいくと、このスティングレイのミッドは単体で使う時は全開にしてもいい感じで、都度の足し引きでキャラクターを調整できる。

ー奏法の違いに応じたレスポンスはいかがですか?

 昔はガンガンに激しく弾くのがスティングレイだと思っていたんですけど、今日触ってみて感じたのは、18ボルトだからかも知れないですけど、むしろ繊細な弾き方をした時も広いレンジ感で細かく音作りができる。スティングレイの歴史を前もって調べてきたんですけど、フリーがスティングレイを盛り上げたのは、ロックのシーンにおいてどんな弾き方でも一定の音量が出るベースとして新たに重宝された、みたいな説もあるんですね。パワフルなプレイから煌びやかな奏法まで、いろんなニュアンスで弾けるのがこのベースの最大の強みだと思いますね。

ーodolは鍵盤がいる編成で、全体的にクリアなバンド・サウンドが特徴ですが、その中でどんなベース・サウンドを目指していますか?

 僕はシンセ・ベースも使っているので、低音だけに役割を持たせるならシンセ・ベースでもいいじゃんってことになるんです。それでもあえてエレキ・ベースを選択する場面っていうのは、低音の部分だけじゃなくトレブルやハイミッドのようなエレキ・ベース本体の鳴りが聴かせられるところを重視していて。さっきエレキ・ベースの音作りでミッドはある程度あった上で削ると言ったのは、ピアノやヴォーカルにぶつかることが非常に多いからなんですね。特に中低域から中高域にかけるところを細かく設定してぶつからずに濁らないように調整している感じですね。その中でエレキ・ベースとしての個性を出すところを曲ごとに見つけて、そこを持ち上げてバンドと上手い具合に混ざるように調整しています。

ー本当に曲ごとに細かく音作りを変えているんですね。

 うちのバンドの練習スタイルが、DAW上で本来PA卓に送られるまでの音を、ラインやマイクで同時に録音しながら演奏して、それをパートごとにプレイバックして音を聴き比べて"ここピアノとぶつかってるよね"みたいなことをしています。全体のアンサンブルを意識してそれに合うベースの音を流し込んでいる感じですね。ピアノやギターがロー感を出している時があるので、そういう時はベースはそこを避けてピアノがいない中高域を歌ってみたり、あとはそういう時こそ歪ませられる時ですね。(笑)

ーそういう手法だとこのスティングレイ・スペシャルのように3バンドEQがあると対応しやすいですか?

 そうかも知れないですね。ベース側で音を作って、エフェクターでプリセットを組んでそれを補正するセッティングというのも、今では自分の中で容易にできるようになってきたので、今こそスティングレイを手にしてみたらうまく扱える気がしますね。っていうか、単純に弾いていて楽しいですね、スティングレイってやっぱり(笑)。

ーそれはいろんな音が出せるからですか?

 そうですね。あとは指の当たり心地が素晴らしい。同じ1ハムでも位置が違うだけで全然音が違ってくるんですが、スティングレイはピックアップが後ろ過ぎず、最高にちょうどいい位置にあるんで。自分のジャズ・ベースもミドル位置にフィンガーレストを付けているんですが、それもちょうどいい位置が全く一緒なんですね。やっぱりスティングレイが自分のプレイに合ってる気がしてきたな(笑)。

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■5弦の方がロックな気がしてきました

06_MG_3330.jpgースティングレイ5 スペシャル(写真左)ではローB弦の鳴りを細かくチェックされてましたね?

 バンドで弾く機会が一番多いのが5弦なんで、一番意識しているのが、5弦と4弦の鳴り方の差ですね。5弦ベースを手に取った理由は、Eフラットの音が必要になったからなんですね。ピアノが曲を作っていることもあって、4弦以下の音が必要になる場面が非常に多いんです。そうなると一本のベースで弾いてるはずなのに、5弦を弾いた時にキャラクターが変わるようになな事態が一番避けたいことで。このスティングレイ5はその差を感じさせない。どの弦も同じぐらいのところにパワー・ゾーンがあるような感じがします。

ー他の5弦ベースだとその音の差が激しいんですか?

 個体ごとに、設定や弾き方で変わってくる印象です。特に自分が音作りでミスっているなって思う時は、4弦が細くなって5弦が太くなっちゃうことですね。そういう時は弾く位置を変えたりして調整してるんですけど、そうなると自分が一番動きたい指の動かし方とは違ってきて、音優先の指の進行になるんで、慣れるまでリズムに支障が出たりするんです。流れがが崩されないテンション感やロー感が出るベースが好きなんですけど、その点でいくとこれは音もテンションも差は感じないですし、1、2、3、4、5っていう一連の弦の流れが出来上がっている印象を受けます。

ースティングレイ5を以前弾いたことは?

 実は正直、ないんですよね。4弦のスティングレイはロックで、5弦はフュージョンっていうイメージがありました。スティングレイ5は自分のやってるジャンルとは少し違うって、ちょっと避けてしまっていたところなんです。弾き比べてみて思ったんですけど、やはり4弦と5弦でキャラクターが全然違いますね。5弦の方がジャズべとかパッシヴのベースに近いニュアンスの音な気がします。さっきフュージョンのイメージがあるって言いましたけど、実は5弦の方がロックな気がしてきました。エフェクターの載りとかも大分違ってくるかも。こっちは歪ませるとすごく気持ちいいんだろうな。ただローをブーストした時の4弦が気持ち良かった部分が5弦だとちょっと過剰になってしまう。そこの扱いが難しいのかなって思います。アンプ側で少し音作りしたらそれでもたくさんの発見があったので、このベースは作り込めば作り込むほど自分に合った音を出せるようになると感じました。

ーodolでスティングレイを使うとしたらどんな場面で登場しますか?

 スティングレイのサウンドを意識して音作りをすることがあるのですが、特にピック弾きする場面ですね。オーバードライブ系のエグめの歪みを掛けてピックでハジく時の硬質感は、スティングレイはやっぱり唯一無二なんですよ。指弾きでアタック感を出すよりは、ピックでスティングレイの音像をを活かしたい。

ースティングレイの音像というと?

 僕のイメージだとレンジはすごい広くて、その中でも特にミッドの部分の力強さがあるのかな。ローミッドも含むんですけど。例えば指で弾く時はすごく下の部分というよりは中域の鳴りが印象強いというか。アタックのギラギラ感以上に聴き馴染みやすい中高域というか。低域も高域も鳴っているけど、特に印象が持たれるのが中域っていうのがスティングレイのイメージですね。うちのバンドだと曲毎で特徴付けたいベースの音が違うので、幅広い音像のイメージを持っているスティングレイだったら多くの場面で存在感を作れるんじゃないかなって思います。

ースティングレイには2Hのモデルもありますね。

 以前、J-Hピックアップのモデルを譲ってもらえるチャンスがあったんですけど、悩みに悩んで、やっぱりスティングレイは1ハムからがいいって断ってしまいました。1ハムを使いこなしてから亜種に手を出すべきなのかなって。スティングレイのサウンドを理解しているからこそ、新たなピックアップの組み合えわせのイメージももてると。これはあくまで自分が囚われてしまっているスティングレイ街道なんで(笑)、別にそうである必要はないと思います。実際に2ハムも多機能でめっちゃ気になるんですよね。

ーミュージックマンのベースが本当に好きなんですね。

 いやぁ、憧れですよ。高校生の自分に「スティングレイの試奏をやることになるよ」って言ったらめちゃくちゃ驚くだろうな(笑)。高校の授業が終わった後、横浜駅のイシバシ楽器に行って「今日はこのスティングレイを試奏してみようかな?」って、レイとかS.U.B.とかいろんなスティングレイを触ってみて、正統派のスティングレイの良さをそこで知ったんですよ。知ったがゆえに離れてしまったんですよね。だから「ただいま」って感じですよね(笑)。

ーご自身もキャリアを積んできて、スティングレイに対するイメージも変わりましたか?

 それは絶対にあります。"パワフルな音の出るベース"というイメージしか持てていなかったのはありますね。でも今考えるとスティングレイはもっと本来の鳴りを意識させてくれる。18Vでレンジが広まったことも相まってかもしれないですけど、幅広く繊細に弾き分けられるポテンシャルの鬼なんだなって新たに発見できました。

ーネック材がローステッド・メイプルですが、そういう材の違いに興味はありますか?

 指板材でベースの音の印象はかなり変わると思っていて、実はかなり意識しているところなんです。メイプル指板がスティングレイをイメージづけた重要なファクターだったのかなって弾いてみると思ったりしますね。

ー5弦モデルはストラップで抱えた時のバランスはいかがですか?

 ヘッドが落ちる感じが全くないですね。バランスめっちゃいいですね。しかも立った時の方が高いところを弾きやすい、これ(ヒールレス加工)の影響をすごく感じますね。

ー4弦の方は立って弾いた感じはいかがですか?

 バランスがいいなぁ。すっごい手が軽くなった感じです。やっぱり5弦と音のキャラクターが違いますね。これが指板の違いの差なのか、確かめたくてしょうがないですね。スティングレイって本当に楽しいですね、やっぱり(笑)。

ー初心者の方にはトーンの使い方は難しそうですか?

 むしろこれぐらいガッツリ変わるんだったら、どれがどう変わってどの帯域が何に影響するか、めちゃくちゃ勉強になると思いますね。

●odolの最新情報はコチラまで→https://odol.jp

Interview & Photo by TOSHIHIRO KAKUTA

※本記事は月刊Player 2020年10月号からの転載です。

製品情報

ERNIE BALL MUSIC MAN StingRay

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