ニュース

2020年のGIBSONはこうなる?! NAMMプレスリリースから

1月16日~19日にNAMMショーが開催された。昨年、経営陣の一新で体制が大きく変わったギブソン社。今回は個別の製品ではなくギブソンから届いたプレスリリースを基に「2020年のギブソンはこう動く」をテーマにまとめてみた。

GAKKIソムリエでは昨年10月にJCカーレイCEOに就任後2度目のインタビュー("今後の改革の礎を築いたギブソンの今" ギブソンCEO JAMES"JC"CURLEIGHインタビュー)を行った。実は今回のプレスリリースでは、昨年のインタビューで語っていたナッシュビルに続く、モンタナの改革、Gシリーズの登場などの掲載内容やその際に匂わせていたマフィー・ラボの設立。具体的な名前を出さなかったスラッシュ・コレクションなどが、製品として完成したり、シリーズとして発表されている。要するに、現経営陣による有言実行ぶりが証明されたと言って良い。今回のプレスリリースの発言は主にCMO(Chief Merchant Officer)のセザール・グイキアン氏が語っているものだが、このリリースに加え、その他の資料から"2020年ギブソンはこう動く"といったギブソンのトレンドをまとめてみた。

(製品は日本でも即時発売になるものもあれば、おおむね夏ごろに発売になるものもあります。また画像はプレスリリースに準拠しているので過去に発売された同種の製品の写真を含む場合もあります。)

  • なお、現在のギブソンのブランドは「GIBSON」と「GIBSON CUSTOM」の二つだけですが、今回の記事に限り、
  • 【 GIBSON (ナッシュビル) 】 / エレクトリック用の工場があるナッシュビルで作られている量産のソリッドとESシリーズ
  • 【 GIBSON(モンタナ) 】 / アコースティック用の工場があるモンタナで作られているアコースティック
  • 【 GIBSON CUSTOM 】 / ナッシュビルのカスタムショップで作られているソリッドとESシリーズ
  • として、便宜上、表記して書き進めます。


  GIBSON (ナッシュビル)  

[Trend of GIBSON (ナッシュビル)]

  • ・昨年は改革の中心だったので、2020年の話題は控えめ。
  • ・『オリジナル・コレクション』『モダン・コレクション』のそれぞれに追加モデルが登場。
  • ・ひとりのアーチストに複数のモデルが登場する『スラッシュ・コレクション』。これはナッシュビルのレスポールとモンタナのJ-45とブランドを跨いでリリースされる。

 ギブソン社は、昨年の企業の再生のスタートとして、コアとなるブランドのGIBSON (ナッシュビル)で『オリジナル・コレクション』と『モダン・コレクション』の登場というラインナップの大規模整備が行われた。今年は追加モデルが誕生。

■GIBSON (ナッシュビル)『オリジナル・コレクション』「70s Flying V」、「70s Explorer」

「70s Flying V」、「70s Explorer」70年代仕様のVとエクスプローラーだ。ともにローズウッド指板、スリム・テーパー・ネック、カバーのない'70s Tribute Burst Buckerピックアップ、オレンジ・ドロップ・キャパシタ、クラシック・ホワイトのカラーリングとシルバー・ノブ、クロムのハードウェア等の仕様だ。
70sRockers_ClassicWhite.jpg

▲GIBSON (ナッシュビル) Original Collection 70s-style Explorer and Flying V.

■『モダン・コレクション』「Les Paul Special Tribute」

「Les Paul Special Tribute」モダン・コレクションなので特定の年代の仕様ではなく、現代的な仕様を組み合わせた実戦的なLPスペシャル。今回は2つのP-90だけでなく、2ハムバッカー仕様が誕生。カラーも豊富に登場。
Les Paul Special Tributes_vintagecherrysatin.jpg

▲GIBSON (ナッシュビル)A Modern Collection, Les Paul Special Tribute.


■『スラッシュ・コレクション』がUSAとアコースティックというブランドを跨いで登場

 昨年10月にGAKKIソムリエのインタビューでCEOのJCカーレイ氏が「ひとりのミュージシャンにひとつのモデルとは限らない」と語っていたが、それはこの『スラッシュ・コレクション』として具体化した。これはGIBSON (ナッシュビル)で作られる4種類の「SLASH COLLECTION Les Paul Standard」とGIBSON(モンタナ)で作られる2種類の「SLASH COLLECTION J-45 Standard」で構成されており、それぞれの細部がリニューアルされているようだ。

SLASH COLLECTION Les Paul Standard」は、全てAAAクラスのメイプル・トップ、ソリッド・マホガニー・ボディをベースに、スラッシュ自ら監修したCシェイプ・ネック・プロファイル、シグネチャー"スラッシュ・バッカ―"ピックアップを搭載。色味を調和したハード・ウェア、丁寧にハンド・ワイアーされたオレンジ・ドロップ・キャパシタを含む基盤などを特徴にしている。加えて、ヴィンテージ・スタイルのブラウン・ハード・ケース付き。他にヘッド・ストック裏にプリントされたスラッシュのオリジナル"スカリー"ロゴ、直筆サインがプリントされたトラスロッド・カバー(サインなしの通常ロッドカバーも別途同梱)、スラッシュのアーニーボール製の弦、スラッシュのジム・ダンロップ製「Tortex」ピックが4枚付きなど特典も豊富だ。November Burst、Appetite Burst、Vermillion Burst、そしてAnaconda Burstの4カラーでリリースされる予定とのこと。
SlashCollection.jpg

▲GIBSON (ナッシュビル) Slash Collection Les Paul Standard in Anaconda Burst, November Burst, Appetite Burst and Vermillion Burst.




【  GIBSON CUSTOM  】

[Trend of GIBSON CUSTOM]

  • ・1年を細かく3つの時期に分けた「60th Anniversary 1960 Les Paul Standard」
  • ・ヒストリックなモデルにニューカラーが多く登場。60年代の製品の名前が豊富に加わる
  • ・ナッシュビルのカスタムショップでESのモデルが本格的に生産開始。新たに採寸などのプロファイリングと新たにパーツをレプリカしたモデルになる。


■時期別に3つに細分化され登場する「60th Anniversary 1960 Les Paul Standard」

バースト期とよばれるレスポールは58年から60年。一般に60年のものは細目のグリップと赤の退色が少ない色合いと言われるが、詳細にみると単なる個体差というだけでなくグリップの細さや退色の加減が時期により異なる傾向がある。では「60th Anniversary 1960 Les Paul Standard」を製造年である1960年を3つの期間に分け、それぞれV1、V2、V3として発売する。


初期バージョン1(V1)は1959年製のレスポールと同じスペックを採用
中期バージョン2(V2)は、より細めのネック、ノブの変更、カラーをより明るいものを採用
後期バージョン3(V3)は、それよりもさらに細いネックを採用

したものとなる。

60th Anniversary 1960 Les Paul - Custom Shop_201.jpg
▲GIBSON Custom Shop Collection 60th Anniversary 1960 Les Paul Standard.



■カスタムでのカスタムカラーについて

最新のヒストリック・リイシューの中から、カスタム・カラーを採用したモデルも披露される。それらには、

  • 「1963 & 1964 Firebird V
  • 1964 SG Standard
  • 1965 Non-Reverse Firebird V
  • 1967 Mahogany Flying V
  • (以上全てMaestro Vibrola付き)。
  • 他に
  • 1963 SG Special with Lightning Bar
  • Modern Les Paul Special Double Cut
  • も登場する。
  • カスタムカラーには、"Pelham Blue"、"Candy Blue"、"Frost Blue"、"Olive Drab"、"Classic/Polaris White"、"Inverness Green"、"Heather Poly"、"Silver/Gold Mist Poly"、"Kerry Green"、"Cardinal Red"、"Ember Red"、"Sparkling Burgundy"、"Purple Metallic"、"Black, Pink"などが含まれる。

■カスタム製ESシリーズのプロファイリングをリニューアル

GIBSON CUSTOMでは、オリジナルのヴィンテージギターのパーツや形状、大きさを新たに正確にスキャンし再現したヒストリック・リイシューの『ESコレクション』も発表する。



■GIBSON CUSTOM製のアーチスト・モデル「Tony Iommi "Monkey" SG」

ブラックサバスをはじめとして数々の名曲や名パフォーマンスをしてきたトニー・アイオミの愛器である1964年製SGスペシャルが「Tony Iommi "Monkey" SG」としてリリースされる。
これはギブソン・カスタムの綿密なディテイルへのこだわりによって、50本を生産。25本は右利き用、残り25本はオリジナルと同様の左利き用だ。Monkeyを隅々まで精巧に再現しており、それらはナット部のゼロフレット、ストップ・テイルピースのブッシングなど。特に出色なのは故ジョン・バーチ氏の弟子によってハンド・メイドされたピックアップを搭載。トニー・アイオミ本人の直筆のサインとナンバーリングが施される。さらに棺桶型ケースに入ったトニーのシルバー・クロス・ネックレスのレプリカ、トニーのレザー・ギター・ストラップのレプリカ、1960年代ハードケースも付属する。
本品は日本でも3月には入荷する模様で価格は2,270,000円 (税抜)となっている。

SGSPCLH64TIACH1_front.jpgSGSPC64TIACH1_front.jpg

▲GIBSON CUSTOM Tony Iommi "Monkey" SG

SGSPCLH64TIACH1_front-2.jpg


本モデルについてトニー・アイオミは下記のように語っている。

Tony_Approved.jpg
「先日、(ギターに)熱心で情熱的なギブソンCMOのセザールとCEOのJCにナッシュビルに招待されたんだ。現地のファクトリーを訪問した際に、そこで働くワーカーの皆さんともお会いすることもできました。そこでは皆さんが情熱をもってギター製作に打ち込んでいる姿を見ることができました。今やギブソン・ギターは以前より数億倍良くなっているよ。以前のギブソンには見られなかった事だが、新たなチームが一丸となって取り組む姿を見ていると、彼らの成長はもう止められないね。それは我々ギタリストにとって非常に歓迎すべきこと。」

他に、「Trini Lopez Standard」の発売も予定されている。

■Murphy Lab(マーフィー・ラボ)の設立

10月にJCカーレイ氏が来日した際のインタビューで「トム・マーフィーとも色々やっているよ」とだけ、何かを匂わせていたが、それはトム・マーフィーの名前を冠した「Murphy Lab」(マーフィー・ラボ)を昨年末に設立したことのようだ。

このマーフィー・ラボとは「トム・マーフィーの専門性、オーセンティックなスタイル、歴史的なギターの製作技術などの各種の技術を将来に受け継ぐためのもの」とアナウンスされ、「このプログラムでは、ギブソン・カスタム・ショップのヒストリックなギター体験を、より多くの熱心なギターファンにお届けできる様な新たな方法を探求していきます。」とのこと。要するにトム・マーフィーのヒストリックなギターの製作方法をカスタムショップ内で受け継いでいくという仕組みなのだろう。なお、トム・マーフィー自身は、このマーフィー・ラボの「マスター・アーティザン」に就任している。




【  GIBSON (モンタナ)  】

カスタムショップの設立など、最も大きな改革が行われるのがアコースティック専用の工場、GIBSON(モンタナ)だ。

[Trend of GIBSON(モンタナ)]

  • ・アコースティック・ギターのためのカスタムショップが設立される。
  • ・レギュラーのアコースティックは『オリジナル・コレクション』『モダン・コレクション』に大別される。
  • ・カスタムショップ製は『ヒストリック・コレクション』『モダン・コレクション』に大別される。
  • ・ナッシュビル製のエレクトリックと連動した『スラッシュ・コレクション』のJ-45が発売される。

■モンタナのGIBSON(モンタナ)にも"アコースティック・カスタムショップ"を設立。モデルのラインナップを整備。

エレクトリックでは定番となっているハイグレード品の生産を司るカスタムショップが、モンタナで製作されているアコースティックでもスタートする。

これについてギブソンのCMO(Chief Merchant Officer)のセザール・グイキアン氏は

「ギブソンは2020年に、エレクトリック・ギターのラインアップのリニューアルに続き、アコースティック・ギターのラインアップのリニューアルを予定しています。具体的には、レギュラーラインのアコースティックのカテゴリーを『オリジナル・コレクション』と『モダン・コレクション』の2つのコレクションに分け、さらに「アコースティック・カスタム・ショップ」を新設、その中でも『ヒストリック・コレクション』と『モダン・コレクション』の2ラインで展開します。」

とアナウンスした。

まず、従来のアコースティックは(今のところ仮にレギュラーと呼ばれているようだが)

  • オリジナル・コレクション
  • モダン・コレクション
  • に振り分けられ、CMOのセザール氏によると「未来を見据えた『モダン・コレクション』には、(よりギタリストの実践に役に立つ)モダンな機能があるモデル。」という性格づけがされる。

NAMM2020ではレギュラーのそれぞれが発表されているので見てみよう。


■GIBSON (モンタナ) 『オリジナル・コレクション』から「60s J-45 Original ADJ Saddle」

シェリル・クロウのためにシェリル所有のカントリー・ウェスタン・モデルを元に製作された本モデルは、ヴィンテージのカントリー・ウェスタンの甘美な響きに、1930年代のアドヴァンスト・ブレーシング・パターンによるパンチあるトーンが加味された点が特徴的です。サーマリー・エイジド・シトカ・スプルース・トップ、ブレーシングのニカワ接着によって、幅広いダイナミックレンジを伴う豊かな演奏表現を可能にする。

60s J-45 Original ADJ Saddle_WineRed.jpg

▲GIBSON (モンタナ) Original Collection, 60s J-45 Original ADJ Saddle.

■GIBSON (モンタナ) 『モダン・コレクション』から「G-45 Studio and Standard」

Gシリーズは、クオリティの高いメイド・イン・USAのギターでありながら、若いプレイヤーにも求めやすい価格帯が実現したモデル。ギブソンGシリーズには「G-45 Studio」と「G-45 Standard」などで構成され、それぞれ単板シトカ・スプルース・トップ、ウォルナットのバック&サイドという仕様だ。

Gibson G-Series (7 of 69) (1) (1).jpg
▲GIBSON (モンタナ) G-45 Studio and Standard.

■GIBSON(モンタナ)に「アコースティック・カスタムショップ」が設立される

セザール氏は「この度新設される「アコースティック・カスタム・ショップ」では、これまでのギブソンのアイコニックなアコースティック・ギターを改めて見直し『ヒストリック・コレクション』として、さらに高いレベルのヒストリックなギターを製作してきます。」として語り、「1942 Banner J-45」、「1942 Banner Southern Jumbo」、「1934 Jumbo」、「1936 Advanced Jumbo」、「1939 J-55」、「1952 J-185」、「1957 SJ 200」、「1960 Hummingbird」、「Pre-war SJ 200 Rosewood」の名前を挙げていた。

1934 Jumbo-VintageSunburst.jpg

▲GIBSON (モンタナ) ACOUSTIC CUSTOM SHOP Historic Collection 1934 Jumbo

1960 Hummingbird Fixed Bridge_HeritageCherrySunburst.jpg

▲GIBSON (モンタナ) ACOUSTIC CUSTOM SHOP Historic Collection 1960 Hummingbird



またセザール氏によれば「「アコースティック・カスタムショップ」の『モダン・コレクション』は、クラシックなデザインとモダンなフィーチャーを融合します。モダンなフィーチャーとは、快適な弾き心地やモダンなサウンドを追求したボディ構造、弾き易いスリム・テーパー・ネック、より滑らかなフラットな指板のアール等です。」と語り、「J-45 Deluxe Rosewood」、「Songwriter Chroma with Quilted Maple」、「Hummingbird with Custom Koa」等の名前が挙げられている。
J-45 Deluxe_RosewoodBurst J-45 Standard_VintageSunburst.jpg▲GIBSON(モンタナ) ACOUSTIC CUSTOMSHOP Modern Collection J-45 Deluxe Rosewood

■GIBSON(モンタナ)での『スラッシュ・コレクション』

USAでのエレクトリック4種に加え、アコースティックからもスラッシュ・コレクションとして「Slash collection J-45 Standard」がリリースされた。これは、ラウンドCシェイプのネック・プロファイル、よりフラットでモダンな16"アールの指板、LR Baggsの VTCピックアップを搭載。スラッシュ・コレクションとしてレスポールと同様にヘッド・ストック裏のスラッシュのオリジナル"スカリー"ロゴ、直筆サインがプリントされたトラスロッド・カバー(サインなしの通常ロッドカバーも別途同梱)、スラッシュのジム・ダンロップ製「Tortex」ピックが4枚付き。カラーはNovember Burst、Vermillion Burst.の2カラーでリリースされる。

SlashJ45s.jpg
▲GIBSON (モンタナ) Slash collectionJ-45 Standard

TEXT / Masanori Morihiro(Player / GAKKIソムリエ)

Player

2020年4月号

定価1,620円(本体1,500円)A4判

2020年3月2日(月)発売

お求めは全国の楽器店、書店、またはWebで!

OZZY OSBOURNE

我が青春のオジー・オズボーン “メタルの帝王に捧ぐ”

J-guitar

厳選されたギターが集まる!国内最大級のギター専門情報サイト!