▲AMPEG SCR-DI 価格=36,500円(税抜)
■伝統のアンペグ・サウンドを再現
アンペグは1960年代からアンプを作り続けるメーカーだ。中でも大型で高出力のベースアンプはロック系のベーシストのステージ用アンプとしてロック・コンサートを支えてきた。現在では、小型のコンボからアンペグの真骨頂と言えるSVT-Proのような高出力アンプヘッドまで非常に多くの機種がラインナップされている。日本でもライブハウスやリハスタの常設機材として定番のベースアンプとしても人気の機材であり、自身の機材として愛用するベーシストは多い。ただし、ベースの場合、PAミキサーやパソコンのインターフェイスにラインで直接入力することも多い。つまり、せっかくベーシスト本人がアンペグのアンプを使ったアンペグ・サウンドが好みでも、PAから客席に届く音やレコーディングされる音はラインのサウンドということもある。
今回のSCR-DIはアンペグが自ら開発した正真正銘のアンペグ・サウンドを生み出すプリアンプ/DIである。エフェクター・ボードやギグバッグのポケットにも入るコンパクトな筐体にアンペグのサウンド・エッセンスを詰め込んでいるため、SDR-DIさえあればどこでもアンペグ・サウンドを生み出せる注目の製品だ。
■サウンド・メイクの鍵を握る豊富なトーン・コントロール
パネル右上には5つのトーン・コントロール・ノブが並んでいる。これは右からボリューム、ベース、ミッド、トレブル、AUXレベルの5つのノブだ。
トーン・コントロールは3バンドで
ブーストまたはカットすることができる。
これらはサウンド・メイキング上、おいしい周波数帯を使いやすいレベルでブースト/カットできるポジションだ。
これに加えて、アンペグのアンプの特徴とも言えるウルトラ・ローとウルトラ・ハイの2つのボタンを装備している。ウルトラ・ローをオンにするとプリセットで40Hzを1dBブースト、500Hzを10dBカットする。また、ウルトラ・ハイをオンにすると8kHzを5dBブーストすることができる。
これらの豊富なコントロールはSVT-Proをはじめとするアンペグのアンプに採用されているので、それらのアンプを使っているベーシストには嬉しいコントロール機能だ。
■パンチのあるオーバードライブScrambler
SCR-DIの特徴のひとつはパネルの左上のBass Scramblerだ。これはSVTシリーズのような音圧感を再現するオーバードライブ機能だ。
単体のエフェクターとしてのオーバードライブと同様にドライブとブレンドの2つのノブを装備しており、最大に歪ませればプリアンプをはるかに越える歪みを生むが、音圧感を求め軽くドライブさせるような使い方をすることもできる。
このスクランブラーは単独で使えるため、「スルー音」、「プリアンプ音」、「プリアンプ+スクランブラー」、「スルー音+スクランブラー」という4つのサウンドを使い分けることもできる。
■AUX IN装備によりトレーニングツールとしても使用可能
インプット/アウトプットはベース用のインプット、スルー・アウト、XLRライン・アウトと1/4バランス・アウトなどプリアンプ/DIとして求められるイン/アウトの他、AUXインプットとヘッドホン・アウトも装備している。つまり、ライブやレコーディングだけでなく、AUXインにデジタル・プレイヤーなどからの音源を入れ、ヘッドホンでトレーニングするといった用途もSCR-DIだけで対応できる。
幅193mm×奥行き110mm、重さ約1.2kgというサイズのため、エフェクター・ボードやギグバッグのポケットにも入れることができる。あのアンペグ・サウンドをこのサイズ、重さで持ち運べるというのは画期的なことである。ライブやレコーディングでアンペグ・アンプを使ってきたベーシストはもとより、アンペグに憧れていたベーシストがアンペグ・サウンドを手軽に手中にできるプリアンプ/DIといえるだろう。
※本記事は2015年5月時点の情報です。