製品レビュー

クロサワ楽器店×三木楽器×ギブソンによるオリジナルオーダーモデル GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45

GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45

価格 378,000円 (税抜)

 「ギブソンを代表するフラットトップ・ギター」と言えば、“J-45”をイメージする人は多いだろう。長い歴史と最も多くのギタリストが愛用したという意味では、正にブランドの定番モデル。それを物語るように、ギブソン社ではこれまでに30を優に越えるJ-45のリイシューやカスタム・モデル、限定モデルなどのバリエーションがリリースされている。そして先日、ギブソン・フリークに注目されるであろう新たなヴィンテージ・リイシュー“GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45”が日本市場に向けて限定100本発売され、話題となっている。


GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45

GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45 価格=378,000円(税抜)

■吉田拓郎も愛したあのJ-45

 クロサワ楽器店と三木楽器、そしてギブソン・アコースティックとのコラボレーションによって誕生したこの1967 J-45は、これまでのリイシュー・モデルには見られないいくつかの仕様が再現されている。60年代後半に生産されたJ-45にはいくつかの特徴的な仕様が見られるが、ギブソンではこれらの仕様を細部まで再現したリイシュー・モデルを発売していない。60年代後半から70年代前半は世界的なフォーク・ブームで、ボブ・ディランやジョーン・バエズなどのアーティストが次々と登場し、ギターを手にメッセージ・ソングを歌い上げた。日本でもそれに続いて、マイク真木、森山良子、ザ・フォーク・クルセダーズ、五つの赤い風船、吉田拓郎などが相継いでデビューし、日本のフォーク・シーンが誕生した。この時代のJ-45は、団塊の世代から還暦を迎えた世代のユーザーに特に人気がある。しかし、ヴィンテージ・ギターは高騰し、ディテールを追求したリイシュー・モデルは発売されていないため、一部のユーザーから強く望まれていたモデルである。特に吉田拓郎が愛用したJ-45は67年製であると言われ、往年のフォーク系ギタリストにはドンピシャのリイシューと言える。

■67年製のJ-45

 ギブソンからJ-45が発売されたのは1942年のことで、当時としては珍しい16インチの大型ラウンドショルダー・ボディを採用("J"は"ジャンボ"の意味)。当初の仕様は、バナーロゴ、ナット部42ミリのネック幅、ヘッド角17度、レクタンギュラー(長方形)・ブリッジ、ティアドロップ・ピックガード、ダークブラウン・サンバースト、といった仕様で登場した。その後いくどとなくモデルチェンジを繰り返し、年代ごとに様々な仕様のJ-45が生産された。

 では、67年製のJ-45とはどのような仕様なのだろう。49年から使用されたモダンロゴ。ヘッド角は65年途中から69年までの14度。65年途中から69年までのナット幅39ミリのナロー・ネック。61年頃から登場したチェリーサンバーストは62年からは標準カラーとなり、67年頃にブラウンサンバーストが復活。64年から69年までの厚いラージ・ピックガード。56年からオプションで採用され始め、69年まで標準仕様となる弦高アジャスト機能を持つアッパーベリー・ブリッジ(セラミックorローズウッド・サドル)といった仕様。これらの中で、ギブソンがこれまでのJ-45のリイシュー・モデルに採用していない仕様がある。それは、14度のヘッド角と39ミリ幅のナロー・ネック、そしてモールド(鋳型)で作成された独特の模様を持つ厚いラージ・ピックガードである。

14度のヘッド・アングル。通常の17度と比べて弦のテンションが下がり、独特の弾き心地とサウンドを生み出す。

▲14度のヘッド・アングルを再現。通常の17度と比べて弦のテンションが下がり、独特の弾き心地とサウンドを生み出す。

■情熱の復刻劇

 今回のモデルで注目すべきは、その仕様が一部を除いて大方再現されているところにある。特に39ミリのナロー・ネック、ヘッド角度14度の再現は、これまでギブソンが行ってこなかった仕様であり、それをこのモデルで実現した意味合いは大きい。しかし、これらの仕様が実現した裏には、日本チームの担当者による並々ならぬ努力があったことも事実。このモデルをオーダーした黒澤楽器店と三木楽器の各担当者は、何度もモンタナ工場に出向いて打ち合わせと確認を重ね、さらにスタッフ所有の1967年製J-45の実機から採取したヘッド角を含むネックに関するCADデータを持ち込むなど、様々なアプローチによってようやくギブソン・アコースティックが腰を上げたようだ。

ナット幅39mmのナロー・ネック。エレクトリック・ギター・ユーザーにも握りやすいサイズである。

▲ナット幅39mmのナロー・ネック。エレクトリック・ギター・ユーザーにも握りやすいサイズである。

■バランスの良いサウンド

 さて、気になるサウンドだが、ギブソン特有の歯切れの良さを残しながらも、実にバランスの良い涼しいサウンドに仕上がっている。実は、60年代後半に生産されたJ-45は、アジャスタブル・ブリッジ、分厚いピックガードなどの仕様もあり、低音域が少ないジャキジャキとしたロック指向のトーンになる傾向があるが、今回1967 J-45はギブソンであること以前に、フラットトップとしてバランスの取れた心地良いサウンドに仕上がり、サステインは長い。オリジナルがノンスキャロップドブレイシングであるのに対し、1967 J-45はスキャロップドブレイシングを採用する事により、振動伝達効率が上がり、コードストロークはもちろん、フィンガーピッキングにも充分に対応する高いポテンシャルを備えている。また、ナロー・ネックは好みがあるものの、コードストロークを多用する人や手の小さめの人には弾きやすい仕様と言える。

歯切れの良い鳴りを生み出すアジャスタブル・ブリッジ。

▲歯切れの良い鳴りを生み出すアジャスタブル・ブリッジ。

 実は、今回リイシューを製作するに当たりひとつ実現できなかった仕様がある。それはピックガード。この時期のピックガードは打ち抜きではなく成型加工によるプラスティック製で、他の時期と比較すると1.92ミリ厚という特別に厚い素材で作られている。独特な質感(模様)はその時代を象徴するアイコンである。しかしながら特殊な製作方法で作られていたため、今回はどうしても再現出来なかったが、当時のピックガードを基に改めて採寸し、厚みと現行品より細めの幅を持つシェイプを完全再現。

ピックガードは完全再現ではないが、オリジナルから採寸して新たに作り出されている。

▲ピックガードは完全再現ではないが、オリジナルから採寸して新たに作り出されている。

 楽器店はメーカーから供給された製品を販売しているだけではない。情熱を持ってギター作りに臨むことことで、日本の楽器店が世界のギブソンをも動かしたと考えると、この1967 J-45の果たした役割は大きい。

ギブソン・アコースティックによる認定書。日本のディーラーの熱意が実現した証明とも言える。

▲ギブソン・アコースティックによる認定書。日本のディーラーの熱意が実現した証明とも言える。

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※本記事は2015年6月時点の情報です。

製品情報

GIBSON ACOUSTIC 1967 J-45

価格 378,000 円(税抜)

問い合わせ:
クロサワ楽器店各店 http://www.kurosawagakki.com/
クロサワ楽器店特設ページ http://www.kurosawagakki.com/gibson_1967j45/
三木楽器各店 http://www.mikigakki.com/
三木楽器特設ページ http://www.mikigakki.com/special/special_list_photo.php?Rec_Id=2542

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