IBANEZ RGIF7 価格=170,000円(税抜)
■7弦=27インチ/1弦=25.5インチで設定されたスケール
ラウド・ロックでは、既に低音域が拡張された7/8弦仕様のギター人気が定着しているが、アイバニーズはこうしたモデルのパイオニア的なブランドとして知られている。7/8弦ギターに合わせて低くチューニングされたギターの場合、常に低音弦のテンションが不足がちとなる。それを改善するためにギターのスケールを長くすると、今度は通常ギターとしてプレイし難くなるといった問題が起こりやすい。アイバニーズが今回提案したのは、1弦側が通常の25.5インチ(648ミリ)・スケール、そして低域の7弦側を27インチ(686ミリ)・スケールに設定した個性的なマルチ・スケールである。低音弦側が扇状に広がったマルチ・スケールは12フレット位置がネックに直角にセットされており、それ以外のポジションでは常にどちらかへとフレットがスラントして打ち込まれている。しかし、通常のギターをストラップを使って構えた場合も、ボディに対してヘッド側が斜め上になるように位置していることが多い。それを踏まえてこのギターを試してみると、多少の違和感はあるものの、思いのほか弾きやすいことに驚かされる。高音弦側は通常のギターに近い弾き心地、そして低音弦側は十分にバランスの取れたテンションを得ることができる。
■強固な5ピース・ネック&アタックに富んだアッシュ・ボディ
ローズウッド製のフィンガーボードは何もマークの無いプレーンな仕上げ、メイプル材の間にブビンガを挟み込んで作られた5ピース・ネックは、48ミリのナット幅、そしてアイバニーズならではの薄いラウンド・グリップに仕上げられている。ネック・エンド部分には、弦を張ったままの調整が可能なトラスロッド・ナットがセットされている。また、ヘッドストック・フェイスにはボディと同じブラックに着色されたアッシュ製プレートが取りつけられていて、ネック全体に薄いマット・フィニッシュが施されている。RGシェイプのボディはアッシュ製で、ブラック・ステインドと名づけられた木目の浮き出たごく薄いフィニッシュがメタル・ギターならではのダークなイメージと独自の仕様を取り入れたモデルならではの高級感を感じさせている。
マルチ・スケールの特殊なブリッジ位置に対応するために採用されたのが、同社のベースでも使われてきた各弦独立したモノ・レール・ブリッジ。裏側からボディを貫通するように弦を張ることで低音弦側に十分なテンションを与えると共に、ブリッジ本体をしっかりとボディに押さえつけている。
■ワイドレンジなEMGアクティブ・ピックアップを搭載
特殊な弦間隔の7弦、そして幅広いトーン・レンジに対応したEMGの808Xというピックアップが、フレットやブリッジ位置に合わせてスラントさせた状態で組み込まれている。EMGオリジナルのプリアンプが内蔵されたこのピックアップは、本来8弦用に開発されたソープバー・サイズのハムバッカー。スラント・マウントという特殊な弦との位置関係にも音量バランスが崩れないように、バー・マグネット仕様のポールピースが対応している。
同時に8弦仕様のマルチ・スケールが採用されたRGIF8も発売。こちらは25.5インチ(648ミリ)・スケールから27.2(692ミリ)へと広がっている。出荷時のチューニングは7弦がレギュラーの7/Bから1/E、8弦モデルは半音ダウン・チューニングに近い8/Fから1/D#にセットされている。
※本記事は2015年6月時点の情報です。
デモンストレーター/渡辺キョータ ギタリストコンテスト(GIT MASTERS)でグランプリを受賞し、キャリアをスタートさせる。 Twitter @w_keshigomu Facebook https://www.facebook.com/KyotaW 音色ポスト http://www.neiropost.com |