CRAFTER WB-400CE 価格=72,000円(税抜)
1972年に4人のスタッフで創業された同社は現在アメリカ、ヨーロッパを中心とした40カ国以上で販売され、年間6万本以上を生産するギター・ブランドとして展開している。また、コンピュータ制御された最新の木工機械に加えて、細部まで丁寧に作られた高い品質や、毎年様々なモデルを発表する意欲的なスタイルが魅力となっている。
■弾きやすいデザインのエレアコ・ギター
今回発売されたWB-400CEは、クラフターならではのデザインが取り入れられている。ローズウッド/マホガニーから作られたネックは、スリムなラウンドグリップで、エレクトリック・ギターから持ちかえても違和感なくプレイすることができるだろう。また、ナット裏側に施されたボリュート加工や、薄くマットに仕上げられた塗装などからも、同社の高い技術力が伝わってくる。特徴的なヘッドストックやインレイは、クラフターのオリジナル・デザインとして多くのモデルに取り入れられている。一般的なフラットトップと同じく14フレット位置でボディとジョイントされているものの、滑らかで深いカッタウェイが施されており、最終20フレット位置までがクリアされている。スケールは25.5インチのロング・スケールに設定されている。
▲手触りの良いマット仕上げのマホガニー・ネック。ヘッドの強度を高めるボリュート加工が施されている。
■木目を生かした塗装を施したアッシュ・トップ
トラディショナルなシェイプのボディは15.5インチ幅。サウンドボードには強い木目を持つアッシュ材が使われていて、ボディ・バック側との組み合わせを含め、エレクトリック・モデルであることを前提としてデザインされている。フィニッシュは、はっきりとしたアッシュの木目を生かしたレッドバーストに加えて、ブルー系のマリーン・バーストの2パターンとなる。
■ラウンドバック形状のボディ・バック
このギターの大きな特徴となるのが、ラウンドバック・スタイルへと加工されたボディ・バックにある。これは、薄く細く加工されたアルダーの板材を、織物のように組み合わせたものに特殊な接着剤を充填することで、カッタウェイ部分を含めた3次元の形状へと加工している。全体をラウンド形状へと加工することで、外向きに対して高い強度が実現されていることもあり、ボディは薄く軽量に仕上げられている。つまり、この形状は単に外観的なものだけではなく、ボディ・トップ側にある程度の質量持たせることで振動とサステインをコントロールし、軽量に作られたバック側は明るい反射音とプレイヤーに対して心地よい振動を与えてくれる。さらに、ラウンド形状へと加工されたボディ・バック全体に描かれた木目のような絵柄が、強いインパクトを与えている。
▲ラウンド形状のボディ・バック。ユニークな木目柄のペイントが施されている。
▲サウンドホールから見たボディ・バックの内側。板状のアルダー材を貼り合わせて成型されている。
■幅広いサウンドを生み出すピックアップ・システム
ブリッジ・サドルには、定評のあるL.R. バグス社のピエゾ・ピックアップが組み込まれ、ボディ・サイド部分にはコントロール・プレートを兼ねたLR-T FX チューナー・プリアンプが取りつけられている。ここには、デジタル・ギター・チューナー、ボリュームと4バンドのアクティヴ・トーン・イコライザーに加えて、基本となるピックアップ・トーンを切り替えるフェイズ・スイッチも組み込まれている。ピエゾ特有のキツさを感じさせない滑らかな口当たりを備えたL.R. バグスのアコースティックなトーンが、このギターに高い実用性をもたらしている。
▲幅広いサウンド・メイキングが可能なプリアンプ部。視認性の高いチューナーも内蔵されている。
サウンドボードにアッシュ材を使用したWB-400CEに加えて、シトカ・スプルースを使用したWB-700CE(価格=86,000円税抜)もラインナップされており、こちらにはトラディショナルなヴィンテージ・バーストとナチュラル・フィニッシュが用意されている。
▲ボディ・バック
※本記事は2015年10月時点の情報です。