製品レビュー

一本ごとに仕様が異なる"一期一会"のT.S FACTORY "151A"

T.S FACTORY 151A-SA (Prototype #0)

価格 380,000円 (税抜)

 1995年に都内でリペア工房を開設したT.Sファクトリーが20周年を迎え、新たなオリジナル・ギターの製作を開始した。オリジナル・ギターはこれまでにも製作されていたが、本数が少なく、本人としても満足のいく仕上がりではなかったようだ。今回紹介するモデル“151A-SA”のプロトタイプは伝統的なセミアコースティックを基にしつつも、リペアの経験を踏まえて独自のアイデアを盛り込んでデザインされている。

TS_proto-2▲T.S FACTORY 151A-SA (Prototype #0)

TS_proto-1▲T.S FACTORY 151A-SA (Prototype #00)

■独自デザインのセンターブロックと穴加工

 151A-SAは、セミアコースティック・ギターの代表モデルに比べて、ボディのアウトラインがわずかに小ぶりになっている。注目すべきは内部構造で、センターブロックのブリッジ下付近にホロー加工とブロック側面に穴加工が施されている。この仕様が一層のアコースティックな鳴りを生み出すとともに軽量化にも一役買っている。またトップとバックはフルアコースティック・ギターに使われるパラレル・ブレイシングが採用されている。

 #0のボディはトップ材にハードメイプル / スプルースの5プライ、サイドがマホガニー / スプルースの3プライ、バックは5プライ。センターブロック材にはホロー加工されたマホガニー、ブレイシングもマホガニーが使われている。プロトタイプ#00は、トップとバックがインディアンローズウッド/スプルースの5プライ、サイドがインディアン・ローズウッドの3プライ、センターブロックはホロー加工されたスプルース、ブレイシングもスプルースとなっている。

 フィニッシュは、サイドとバックに5回の下地塗装を施し、極薄のウレタンのサテン仕上げ。杢目がかすかに見える。また、トップは音の広がりを出すため、木地着色した後、クリアラッカーを薄く10回吹き、#0はグロス仕上げ、#00はサテン仕上げとなっている。

TS_rose-4▲製作中のカット。オリジナリティが溢れるセンターブロック。特に、大型のホロー加工とサイド部分に穴加工が施されている点に注目。

TS_proto-17▲#0のfホール部分。トップはハードメイプルとスプルースの5プライ。

TS_proto-20#0のサイドとバックはマホガニーとスプルースの3プライ。またバックもトップ同様の5プライだ。 トップのアーチはやや起伏が大きく、グラマラスなのも特徴だ。#0のトップは、クリアラッカーを10回吹いたグロス仕上げが美しい。

TS_proto-7#00のfホール部分。トップとバックがインディアンローズウッド/スプルースの5プライ。サイドは3プライ。

TS_proto-12バックもややグラマラスな起伏がある。そして、塗装はごく薄のウレタン・サテン仕上げ。

■リペアの経験から生まれた狭めで厚めのネック

 ネックはホンジュラス・マホガニーの1ピース、インディアン・ローズウッド指板、22フレット仕様。ポジションマークは#0がディッシュ、#00がドットだ。

 特にこだわったポイントはグリップだ。ナット部の幅を狭めの約41mmに設定し、ネックの厚みは1フレット部で約22mm、12フレット部で約24mmとやや厚めに設定している。また、フィンガーボードはコンパウンド・ラジアス加工されており、ローポジションが約280R、ハイポジションが約350Rに設定されている。これはT.Sファクトリーが無数のリペアの経験から生み出した数字だという。

TS_proto-25ナット幅は狭めの約41mm。ネックの厚みは1フレットで約22mm、12フレットで約24mmという厚めの設定。長年の経験から生み出されたグリップだ。

■#00にはハンドワイアリングのオリジナル・ピックアップを搭載

 ピックアップは#0がギブソン57クラシック。#00はT.Sファクトリーでハンドワイアリングしたオリジナルで、マグネットはフロントがアルニコ2、リアにはアルニコ5を使用。

 どちらのモデルも一般のセミアコースティック・ギターよりも、ややアコースティック感があり、ロック系からジャズ系まで幅広く対応するオールラウンドなサウンド。際立っているのはネック幅に比べて肉厚なネック・グリップで、特にローポジションのフィット感は日本人を想定しただけあって、手に馴染みやすい。

TS_proto-13T.S.ファクトリーでは、ギターに合わせ、ピックアップをチョイス、またはハンドワイアリングしている。写真の#0の場合は、ギブソンの57クラシックを採用した。

TS_proto-4#00は自社でハンドワイアリングしたオリジナル・ピックアップを搭載。マグネットはフロントにアルニコ2、リアにアルニコ5を使用している。

 2つのモデルは「一期一会」をテーマとしており、モデル名の"151A"は"一期一会"を品番に置き換えたネーミングだ。今後もモデルに相応しい材の入手などに応じて生産される予定で、その際ボディ材はローズウッド/マホガニー/ブビンガ/コア/メイプルなどから、その都度材を選択する。ブレイシング、センターブロックなどの木材変更、ピックアップやパーツ類も、サウンドや操作性を考慮して、仕様が変更される。他にもソリッド・ギターのオリジナル・モデルも開発中で、このブランドの今後の動向にも注目したい。

※本記事は2015年12月時点の情報です。

製品情報

T.S FACTORY 151A-SA (Prototype #0)

価格 380,000 円(税抜)

#0のボディはトップ材にハードメイプル / スプルースの5プライ、サイドがマホガニー / スプルースの3プライ、バックは5プライ。センターブロック材にはホロー加工がされたマホガニー、ブレイシングもマホガニーが使われている。


問い合わせ : T.S factory
東京都台東区根岸2-9-10 1F
http://members2.jcom.home.ne.jp/tsfactory/index.html


製品情報

T.S FACTORY 151A-SA (Prototype #00)

価格 380,000 円(税抜)

プロトタイプ#00は、トップとバックがインディアンローズウッド/スプルースの5プライ、サイドがインディアン・ローズウッドの3プライ、センターブロックはホロー加工されたスプルース、ブレイシングもスプルースとなっている。


問い合わせ : T.S factory
東京都台東区根岸2-9-10 1F
http://members2.jcom.home.ne.jp/tsfactory/index.html

製品情報

問い合わせ : T.S factory 東京都台東区根岸2-9-10 1F http://members2.jcom.home.ne.jp/tsfactory/index.html

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