製品レビュー

BOSS "技 WAZA CRAFT"シリーズを再検証 Part.2〜ボスBD-2W/VB-2W

BOSS BD-2W Blues Driver
BOSS VB-2W Vibrato

価格 各オープンプライス

 ボスは創業から40年、常にエフェクターの世界をリードしてきた紛れもないトップ・ブランドだ。特にコンパクト・ペダルにおいては、他の追随を許さず、これまでに数多くのヒット商品を生み出し、音楽シーンに多大な影響を及ぼしてきた。そのボスが長年に亘り積み重ねてきた高い技術力とノウハウを惜しみなく注ぎ込み、エンジニアリングの結晶として登場したのが“技 WAZA CRAFT”シリーズである。今回はPart.2としてBD-2WとVB-2Wのプレミアムレビューをお届けしよう。

《POINT》
◇BOSSのノウハウとクラフトマンシップを結集したWAZA CRAFTシリーズ
◇厳選されたパーツと回路設計の見直しによるファインチューン
◇それぞれスタンダード/カスタムの2モードが切り替え可能
◇カスタム・モードではオリジナルにさらに磨きをかけたサウンドを実現

 現行商品のグレードアップ版となると、「オリジナルのメーカーが自らモディファイ?」と思われるかも知れないが、決してそういう類ではない。一般的に量産品を設計する場合、どうしてもコストの制約があり、高価なパーツを使うことは叶わない。また開発に費やす時間も限られる。"技 WAZA CRAFT"シリーズは、このような"制約"から解放された状況下で、徹底的に"良いサウンド"にこだわり、じっくりと作り上げられた商品なのだ。

 しかもオリジナル商品を開発したのと同じ、つまりそれらを知り尽くしたエンジニア陣が、全てのノウハウと経験をつぎ込んでいるのだから、いわゆるモディファイ系とは一線を画す。厳選されたパーツからアナログ回路の入念な見直しまで、細部に亘りクラフトマンシップが注ぎ込まれている。開発エンジニアにとっては、それこそ量産品の開発時には実現不可能だったことの全てが叶ったと言えるだろう。 ボス本来の技術力の真価が発揮された、至極のサウンドがそこにはある。

 今回は"技 WAZA CRAFT"シリーズの再検証レビュー第二弾として、ブルースドライバーの「BD-2W」とビブラートの「VB-2W」を紹介しよう。

■名機BD-2が"技 WAZA CRAFT"シリーズで登場!

BD-2w.jpgBOSS BD-2W Blues Driver

 ボスのBD-2ブルース・ドライバーは発売から20年以上になるが、その完成度の高さから現在でも高い評価を受けておりファンも多い。それが他の"技 WAZA CRAFT"シリーズと同様に、オリジナルの開発エンジニア陣により細部に亘りファイン・チューニングとグレード・アップが図られたのがこのBD-2Wだ。あくまでもオリジナルのBD-2を基本としており、厳選されたパーツによる完全ディスクリート回路の採用などにより、徹底的に磨き上がられたものだ。筆者も含めて愛用者も多い定番の"ブルース・ドライバー"とは、"どこがどのように"違うのだろうか?

■ブルース・ドライバーの特徴

 ボスのオーバードライブ系エフェクターと言えば、元祖となる名機OD-1を始めとして黄色のボディカラーが特徴となっている。その中でBD-2ブルース・ドライバーはブルーの筐体を採用し、"ブルース"という音楽ジャンルに特化しているかのようなベタなネーミングだ。しかし実際に音を出してみると、黄色のシリーズとは明らかに路線が異なることがはっきりと判る。ミッドレンジを強調したオーバードライブ系とは違い、広い音域をカバーしたフルレンジの自然なサウンドで、特にギター側のボリューム・コントロールやピッキング・ニュアンスを忠実に再現するような特性を備えている。つまり現在ではマルチ・エフェクターを始め一般的になったモデリング・アンプのように、ギターアンプの自然な歪みを求めたことになるだろう。実際にこれ1台で歪みの全てをカバーするだけでなく、HR/HM系のギタリストの中にはブースター的に使うケースも見られる。一般的なオーバードライブやディストーション系のエフェクターとは一線を画すキャラクターだ。

■磨き上げられたBD-2

 本機には他のシリーズ同様に"S"と表記されたスタンダード・モードと、"C"というカスタム・モードが切り替えられる。まずはオリジナル機を忠実に再現したという"S"のモードと、ノーマルのBD-2を比較してみた。たしかに基本的なサウンドのキャラクターや、コントロール類の効き方などは全く同じと言えるが、ディスクリート回路の採用などによる歴然とした違いがある。まずコンプレッション感が増しており、アタックは適度に抑えられ、代わりにサスティンや音の粘りがしっかりとした感じになっている。上質なチューブ・アンプの歪みと言った感じで、たとえばトーンを絞った状態で9thなどのハイテンション・コードを弾いても音の濁りは少なく、音のツブ立ちが良くピッチ感がはっきりしている。

BOSS_VB_BD-106.jpg▲音の粒立ちや輪郭を活かしたセッティング。音の分離も良くコード・プレイにも最適。

 ブライトな音質に設定しても、歪みサウンドのツブの荒さは抑えられ、元気の良さはそのままに良い意味で洗練されたものとなっている。ゲイン・コントロールを上げた時や、絞った時、さらにギター側のボリュームを変えた際でもこの特徴は顕著だ。最終的にはユーザーの好みになるのかも知れないが、そこには"進化"があると言う印象だ。

■ブルース・ドライバーの理想型?

 カスタム・モードに切り替えると、当然ながらオリジナル機との違いはより一層顕著なものとなる。特にコンプレッション感が一段と強くなった感じで、倍音も充分にあるのだが、決して耳障りなものではない。歪みにより発生した倍音がすぐに減衰して"詰まった"感じになるのではなく、しっかりと粘ってくれる。真空管ギターアンプと同様の気持ちの良い歪みサウンドだ。

BOSS_VB_BD-105.jpg▲ゲインがゼロの設定でも音に十分にハリが加えられるので、ブースターにも最適である。

 特にゲインを低めに設定したり、ギター側のボリュームを絞って単音を弾いた時にもコンプレッション感とサスティンが極端に減ることはない。オリジナルBD-2の特徴でもある、ピッキング時の元気の良いアタック感は若干抑えられた感があるので、"サウンドがマイルド"と感じるユーザーも居るかも知れない。ブルース・ドライバーならではの良い意味でのワイルドな"荒さ"と、そこから生み出される特有の自然さを好むのであれば、単純にスイッチを"S"側に切り替えれば済むことだ。あくまでもユーザーの好みと言えるし、単純なスイッチの切り替えだけで、2つの異なるキャラクターを使い分けられるのだから、これは大きな価値があるはずだ。

BOSS_VB_BD-104.jpg▲ドライブの幅も広く、ゲインを上げれば非常にワイルドな歪みが得られる。

 ゲインを上げた際にもカスタム・モードならではの特徴がはっきりと表れる。単純にゲインが上がるだけでなく、一段と前に出る存在感のある心地良い歪みサウンドとなるのだ。ゲインを高めに設定し、ギター側のボリューム・コントロールを活かして使うのがお奨めかも知れない。
 オリジナル・モデル開発時の、量産品としてのコスト面や設計開発時間の制約を受けず、一切の妥協無く作られたと言う印象で、もしかしたらこれこそがボスのエンジニアが目指していた理想型のBD-2なのかも知れない。

▲BD-2W 試奏動画

■隠れファンも多い個性派エフェクター

VB-2w-1.jpgBOSS VB-2W Vibrato

 40年に亘るボスの歴史の中で、数多くのヒット商品を生み出しているのは勿論だが、SP-1スペクトラム、SG-1スローギアやDF-2ディストーション・フィードバッカーなど、レアでユニークな商品も色々ある。その中でも1982年にデビューしたVB-2ビブラートは、なんと"ビギナーはヴィブラート・テクニックを習得してからご購入ください"という、ジョークたっぷりのキャッチコピーで売り出されたのだから驚きだ。たしかにそれくらい綺麗なビブラートをかけてくれるエフェクターなのだ。
 しかし上級者にとっては、他に類を見ないユニークなエフェクトならではの使い方で、自分のプレイに活かすケースも多く、4年後の販売終了が惜しまれた。実際に発売当初1万数千円程度だったものが、現在の中古市場ではプレミアが付き、30,000円からなんと50,000円以上で取り引きされているほどだ。
 そのVB-2が"技 WAZA CRAFT"シリーズとして登場した。

■ビブラート・エフェクトとは?

 "ビブラート"というエフェクトは、ローランドのJC-120や、初代コーラスのボスCE-1にも装備されていた。実際、ビブラート効果を備えていないフェンダー・ローズなどのエレクトリック・ピアノにCE-1をつなぎ、手元でデプス・ツマミを回しながら、シンセサイザーのモジュレーション・ホイールのように使っているプレイヤーも居た。
 実はビブラート効果はコーラス・エフェクトの副産物とも言える。コーラス効果は原音に対してピッチの揺れている、つまり遅いビブラートがかかった音をミックスすることで"多重感"を生み出している。BBDという遅延素子のディレイ音に変調(モジュレーション)をかけることでピッチを揺らすという手法だ。
 コーラス効果から原音を抜いてしまえば残るのはピッチが揺れている音、つまりビブラートのかかったサウンドになるわけだ。そしてさらにビブラートらしく聞こえるように変調の速さやピッチの揺れ幅を合わせてやれば、ビブラート・エフェクトの誕生となる。
 JC-120やCE-1では常にダイレクト音がミックスされた状態で鳴るのだが、VB-2では原音を完全にオフにして、ビブラート効果のかかった音だけが出るようになっている。それがビブラート専用のエフェクターとして、他に類を見ない存在となっているのだ。

■基本性能と操作性がアップ!

 スタンダード・モードではエフェクトの効果だけでなく、各コントロール類の動作もオリジナルと同様だ。ただし基本的な回路設計の大幅な見直しにより、ローノイズ化され、よりクリアなエフェクトが得られるように感じる。ビブラートの深さ、つまりピッチの揺れ幅をコントロールするデプス・ツマミや、アンラッチ・モードでエフェクト・オンからビブラート効果を徐々に増やす、ディレイ・ビブラート的な効果を得るためのライズ・タイム・コントロールなどもオリジナルそのままに効いてくれる。

BOSS_VB_BD-102.jpg▲スタンダード/ラッチ・モードでのエフェクトの掛かりが緩やかなセッティング例。カスタム・モードへ切り替えると掛かりが深くなる。

 仕様上の大きな違いとしては、バイパス・モードにした際にもエフェクトがすぐにかかるようになり、事実上ラッチ・モードと同じように使用可能になったことだ。ラッチ・モードの場合、入力された信号はエフェクトをオフにしても常にBBDを使った回路を通過するため音質が劣化してしまう。この部分もグレードアップされた回路設計により、オリジナル機より大幅に改善されているのだが、エフェクト・オフ時の原音を大切にするならバイパス・モードで、スムーズなエフェクトのかかりを望むのであればラッチ・モードと言ったところだ。しかし実用上大きな差は無いように思える。もう一つ追加された機能として、別売の外部エクスプレッション・ペダルによるデプスのペダル・コントロールだ。これにより演奏中のビブラート・エフェクトのリアルタイム・コントロールの自由度が大幅にアップする。

BOSS_VB_BD-103.jpg▲スタンダード/ラッチ・モードでのエフェクトの掛かりが深いセッティング例。

BOSS_VB_BD-101.jpg▲アルペジオなどの単音弾きでユニークな効果を生み出すセッティング例。

■進化したビブラート効果

 他の"技 WAZA CRAFT"シリーズと同様に、本機も"C"と表記されたカスタム・モードが選択できる。こちらのモードでは一気にビブラート・エフェクトが顕著に強力になる。エフェクト音をよく聞いてみると、ピッチの揺れ幅は変わっていないように感じるのだが、なぜか効果がはっきりする。
 メーカーの資料によると、これはエフェクトを強調するためにフィルターを用いているとのことだ。つまりエフェクト音の周波数特性を変化させていることになるが、どうやらフィルターの特性がピッチの変調に同期して変化しているように感じる。いずれにしても、よりはっきりとしたビブラート・エフェクトを望むのであれば、カスタム・モードを使えば良い。
 とにかくユニークなエフェクターだが、単音を弾いた時よりもコード弾き、それもアルペジオ奏法の際に使ったり、ロング・ノートのコードでライズ・タイムやペダル・コントロールで効果をかければ、トレモロ・アームとは違ったニュアンスで面白いだろう。特殊なエフェクトではあるが、サウンド・メイキングのバリエーションを増やすと言う意味でも、色々と活用できるはずだ。

▲VB-2W試奏動画

デモンストレーション / 笹本健介  7才からギターを弾き始め、高校の軽音楽部にて自身のバンド「Pesante」を結成。以来、神奈川を拠点に多方面で活動を展開し続けている。 今までにラゾーナ川崎プラザソルや川崎H&Bシアター、地元のライブハウス等での幾多の単独公演の実績を持つ。エレキギターを稲葉政裕に、クラシックギターを河野智美に師事。2014年4月"Pesante"でグラミー賞受賞ドラマーYonrico Scottの来日公演でオープニングアクトを務める。昭和音楽大学卒。 http://kensuke-guitar.jimdo.com/

※本記事は2016年11月時点の情報です。

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デモンストレーション / 笹本健介 7才からギターを弾き始め、高校の軽音楽部にて自身のバンド「Pesante」を結成。以来、神奈川を拠点に多方面で活動を展開し続けている。 今までにラゾーナ川崎プラザソルや川崎H&Bシアター、地元のライブハウス等での幾多の単独公演の実績を持つ。エレキギターを稲葉政裕氏に、クラシックギターを河野智美氏に師事。2014年4月”Pesante”でグラミー賞受賞ドラマーYonrico Scott氏の来日公演でオープニングアクトを務める。昭和音楽大学卒。 http://kensuke-guitar.jimdo.com/

製品情報

BOSS BD-2W

価格 オープンプライス

 ボスのBD-2ブルース・ドライバーは発売から20年以上になるが、その完成度の高さから現在でも高い評価を受けておりファンも多い。それが他の"技 WAZA CRAFT"シリーズと同様に、オリジナルの開発エンジニア陣により細部に亘りファイン・チューニングとグレード・アップが図られたのがこのBD-2Wだ。あくまでもオリジナルのBD-2を基本としており、厳選されたパーツによる完全ディスクリート回路の採用などにより、徹底的に磨き上がられたものだ。

問い合わせ:ローランド株式会社お客様相談センター
Tel.050-3101-2555
http://jp.boss.info


※記事に掲載されている価格/仕様などは2016年11月時点の情報です。

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 40年に亘るボスの歴史の中で、数多くのヒット商品を生み出しているのは勿論だが、SP-1スペクトラム、SG-1スローギアやDF-2ディストーション・フィードバッカーなど、レアでユニークな商品も色々ある。その中でも1982年にデビューしたVB-2ビブラートは、なんと"ビギナーはヴィブラート・テクニックを習得してからご購入ください"という、ジョークたっぷりのキャッチコピーで売り出されたのだから驚きだ。たしかにそれくらい綺麗なビブラートをかけてくれるエフェクターなのだ。しかし上級者にとっては、他に類を見ないユニークなエフェクトならではの使い方で、自分のプレイに活かすケースも多く、4年後の販売終了が惜しまれた。実際に発売当初1万数千円程度だったものが、現在の中古市場ではプレミアが付き、30,000円からなんと50,000円以上で取り引きされているほどだ。そのVB-2が"技 WAZA CRAFT"シリーズとして登場した。

問い合わせ:ローランド株式会社お客様相談センター
Tel.050-3101-2555
http://jp.boss.info


※記事に掲載されている価格/仕様などは2016年11月時点の情報です。

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