オール単板ボディ、ピックアップ搭載のエレアコ仕様ながら、リーズナブルなプライスを実現したのがマーティンのロード・シリーズである。この度、より高いグレードで仕上げられたニュー・モデル、GPCRSGがラインナップに加わった。
モデル名冒頭の"GP"とは、マーティンのボディ・シェイプの一つである"グランド・パフォーマンス"の略称。現代的なライブ・パフォーマンスに対応する「パフォーミング・アーティスト・シリーズ」で採用されたボディ・シェイプで、ドレッドノートの15-5/8インチ(約396.8mm)よりやや大きい15 3/4インチ(約400mm)のボディ幅、さらにカッタウェイを施しているのが特徴である。バランスの良いサウンドとハイポジションでの弾きやすさを両立したボディ・シェイプとなっている。
▲ハイポジションでも弾きやすいカッタウェイを施したボディ。ドレッドノートと同じボディ厚を採用。
ロード・シリーズからはすでに「GPCRSGT」というGPシェイプのモデルがあるが、今回のニュー・モデルは、ボディ材やフィニッシュなどの違いでグレードアップされている。
まずボディ材は、トップにシトカスプルース、サイド/バックにはムテンエを使用。ムテンエはアフリカ産のマメ科の樹木で、オバンコールに似た硬質さと縞状の木目が特徴で、高級家具やビリヤードのキューなどに使用される木材である。
▲ボディ・サイド/バックにはアフリカ産の木材、ムテンエを採用。オバンコールに似た特性と木目が特徴の高級材である。
また従来のGPCRSGTのフィニッシュが、トップのみグロス、サイド/バックがサテンなのに対して、このモデルはボディを全てグロス仕上げとなっている。これら木材とフィニッシュの違いにより、GPCRSGTと比べて、よりグレードの高い仕上げとなっているのが特徴である。
▲FSC(森林管理協議会)認定の人工木材であるリッチライトを採用したブリッジ。環境保護に積極的に取り組むマーティンらしいチョイスである。
この他、ネック・グリップは、ハイポジションでも弾きやすいパフォーミング・アーティスト・シェイプ、ピックアップシステムにはフィッシュマン・ソニトーンを採用している。
▲ネックグリップの厚みをほぼ均一にすることで、どのポジションでも同様な弾き心地を実現するパフォーミング・アーティスト・シェイプを採用。
▲サウンドホール内側に設置されたボリュームとトーンのコントロール。
▲コンパクトにまとめられたバッテリーボックス。木材の加工を最小限にとどめる努力がなされている。
特に高音の響きが心地良い、煌びやかなボディ鳴りが特徴。大きめのボディ・サイズならではの深みのある響きや豊かなサステインも魅力であり、コード・ストロークからソロ・プレイまで幅広く対応するギターに仕上がっている。