製品レビュー

北アイルランドの風薫るアコースティック・ギター「LOWDEN GUITARS」

LOWDEN GUITARS
F-23 / F-25C / F-32C
O-22
S-32

 40年以上にわたるギター製作の経験を持つルシアー、ジョージ・ローデンが率いる、北アイルランドを代表するアコースティック・ギターの名ブランド、ローデン・ギターズ。1974年から製作されてきたローデンのラインナップの根幹となるオリジナル・シリーズのうち、代表的な3サイズを紹介しよう。

《POINT》
◆40年以上もの歴史を誇る北アイルランドを代表するアコースティック・ギター・ブランド
◆独自設計のブレイシングやオリジナルシェイプのボディが生み出す深みのある幽玄な響きが特徴
◆DADGADをはじめとするロー・チューニングとの相性も抜群
◆ドレッドノートと同様のボディ・サイズのFサイズ
◆スーパー・ジャンボ並みの大きなボディのOサイズ
◆最もコンパクトなボディのSサイズ

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 40年以上にわたるギター製作の経験を持つルシアー、ジョージ・ローデンが率いるローデン・ギターズは、北アイルランドを代表するアコースティック・ギターの名ブランドである。ローデンのギターは、独自設計のブレイシングを持つ大型で丸みの強いボディが生み出す、深みのある幽玄な響きに特徴がある。そのせいか、アイリッシュ・ミュージックでよく使われるDADGADをはじめとする、レギュラーよりも低いチューニングとの相性も抜群だ。愛用者にはピエール・ベンスーザンやリチャード・トンプソン、ドン・ロス、アレックス・デ・グラッシ、日本の小川倫生など幅広い。
 世界中の有名ギター・メーカーの多くが、アメリカのヴィンテージ・ギターの流れを汲むモデルをラインナップの中心またはその一部として製作しているのに対して、特定のルシアーを師に持たないローデンは、一貫してオリジナル・デザインのギターを作り続けてきた。今回紹介するオリジナル・シリーズは、1976年から製作されてきたローデンのラインナップの根幹となるもので、この他にも、材の組み合わせのバリエーションが多い35シリーズや、さらに多くの高級材が選べる50シリーズ、ナイロン弦のジャズ・コレクション、バリトン・ギター、ベンスーザンをはじめとするアーティストのシグネチャー、その他のスペシャル・モデルなど、幅広いモデルがラインナップされている。

<Fサイズ>:オリジナル・シリーズの型番は、"アルファベット(ハイフン)2桁数字"の形式で表される。アルファベットはボディのサイズで4種類あり、Fはちょうど中間だが、ボディの最大幅は約40cmで、ドレッドノートとほぼ同じである。数字はボディ材とトップ材の組み合わせを示し、こちらは全部で4モデルあるが、Fサイズは全てで選択できる。

F-23.jpg ■F-23 価格=486,000円(税込)

 F-23はシダー・トップにウォルナット・ボディの組み合わせである。ウォルナットは高級家具用などとしても広く知られた材だが、アコースティック・ギターでは使用例が少ない。レンジの広いローズウッドや素朴で甘いトーンのマホガニー、パンチのあるメイプルに比べて、これといった個性に乏しいからのかもしれないが、F-23ではレスポンスが良くて明るいシダー・トップのトーンに適度なサステインと艶っぽさを加え、全体として輪郭を保ちながらもまろやかなトーンを生み出している。

F-25C.jpg ■F-25C 価格=550,800円(税込)

 F-25Cはシダー・トップにローズウッド・ボディの組み合わせで、Cはオプションのカッタウェイ付きであることを示す。中~中低音域に張りのあるスプルースに比べると、シダー材はフラットな特性があり、高音域と低音域の両方に伸びのあるローズウッドの特性が素直に出ている印象で、23よりもパワー感があるサウンドが楽しめる。

F-32C.jpg ■F-32C 価格=561,600円(税込)

 F-32Cはスプルース・トップにローズウッド・ボディの組み合わせで、こちらもカッタウェイ付きである。材の組み合わせのせいか、ローデンならではの幽玄さとアメリカ製ギターの押しの強さが同居している印象で、今回試奏したFサイズの中では最もオールラウンドな性格を持った1本だと言えるだろう。どのモデルもナット幅は約45mmと広めだが、両端の弦とネックの縁との距離に余裕があり、しかもグリップとのバランスも絶妙なので、フィンガースタイルの洗練されたコードワークでも安定した押弦が可能である。


<Oサイズ>:ローデン・ギターで最初にラインナップされたのが、オリジナル・シリーズの中でも最大サイズのボディを持つOサイズである。

O-22.jpg ■O-22 価格=475,200円(税込)

 O-22はシダー・トップにマホガニー・ボディの組み合わせとなっている。この材の組み合わせだと、軽やかで明るいサウンドになるのが普通だが、スーパージャンボ並みのサイズを持つこのOモデルでは、ゆったりとした奥行きとレスポンスの良さを併せ持つサウンドになっている。大型のボディだと鈍くなりがちなレスポンスを、軽量なマホガニーのボディと立ち上がりの速いシダーのトップが協力し合って補う格好だ。ローズウッドやウォルナットのボディに比べると重厚感はやや薄れるが、生指で弾いてもアタックのニュアンスが明瞭に出るので、容量の大きなボディの余裕ある空気感と相まって、ひとつひとつの音をかみしめるような演奏が楽しめる。ある意味、ローデンのギター・サウンドの原点となる"通な"モデルだと言えるだろう。


<Sサイズ>:Sは今回紹介する中では最もコンパクトなサイズである。

S-32.jpg ■S-32 価格=496,800円(税込)

 S-32はシトカスプルース・トップとローズウッド・ボディを持つモデルである。F-32Cと同様、ローデンのラインナップの中で最もアメリカンなサウンドを持っている。ボディ厚が違うので単純な比較はできないが、スケールが650mmのF-32CがOM風なら、630mmの本器は000風といったところだろうか。逆に言えば、アメリカンなギターに慣れている人には、32モデルが最も馴染みやすいかもしれない。とはいえ、低音の奥行き感はローデンならではのもので、DADGADなどのロー・チューニングにするとさらにその性格がはっきりしてくる。上手く使いこなせば、応用範囲がかなり広そうなギターだ。

 また、これは今回試奏した全ての楽器に言えることだが、チューニングがとても滑らかで、ナットの溝が丁寧に仕上げられていることを物語っている。細部にわたる入念な仕事ぶりには、ローデンの良心がにじみ出ている。

Lowden_1280-115.jpg ▲装飾は極めてシンプルだが、ボディのウッド・バインディングなどさりげなく高級感を演出している。

Lowden_1280-114.jpg ▲十分な強度を実現する5ピース構造のネック。ネック・グリップは手触りの良い薄めの塗装が施されている。

Lowden_1280-113.jpg ▲マシンヘッドはゴールドにブラック・ボタンを組み合わせたゴトー製を搭載。高い精度のチューニングを実現。

Lowden_1280-111.jpg ▲滑らかなチューニングを実現するため、丁寧に溝が切られた牛骨製ナット。細かいパーツの入念な仕上げもローデンならでは。

Lowden_1280-109.jpg ▲漆黒な色合いの上質なエボニー・フィンガーボード。ポジションマークは指板サイドに配置し、シンプルな外観を追求している。

Lowden_1280-107.jpg ▲南アフリカ原産の硬質なボーコテを使用したブリッジ。弦はピンを使わず、ブリッジに通して固定するスタイルを採用。サドルは牛骨製。

製品情報

LOWDEN GUITARS

アコースティックプラネット
Tel.03-5577-9666
https://www.guitarplanet.co.jp/

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