ゲオルグ・ボーリン Georg Bolin 11弦 Altoギター Visan 1992年 545mm 松 中南米ローズウッド
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック
:横裏板 セラック
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.2mm / 6弦 4.0 mm
[製作家情報]
ゲオルグ・ボーリン Georg Bolinは、スウェーデンのゴットランド島に生まれ、同地に工房を構えた同国を代表するギター、ピアノ製作家です。
農家に生まれながら農業には馴染めず、兄弟とのアンサンブルでバンジョーを担当するなど、幼い頃から音楽に傾倒していました。一方、木工にも優れた才能を発揮し、ストックホルムの指物大工専門学校で本格的に学んだ後、同校の教師となり、やがて校長を務めるまでになります。
ギター製作を始めたきっかけは、生徒の一人からギター製作について相談されたことでした。自身でも独学で最初の一本を製作しますが、当時のスウェーデンではギター製作に関する情報が乏しく、その後も試行錯誤を重ねたようです。転機となったのは、伝説的ギタリスト、アンドレス・セゴビアのストックホルム公演でした。ボーリンはセゴビアと面会し、自身の情熱が伝わったのか、セゴビアは自分のギターを一日貸し出し、研究するよう勧めたといいます。なお、セゴビアがボーリン製のギターを演奏に使用したかどうかは明らかではありません。
その後、教師を辞して製作に専念。木工に関する幅広い知識と経験を生かし、ギターだけでなく弦楽器やピアノも手掛けました。彼のピアノはアレクシス・ワイセンベルクやウラディーミル・アシュケナージらの名手にも使用されています。
1960年代には、スウェーデンのギタリスト、ペール・ウロフ・ヨンソンの発案により、後に代表作となる11弦ギターの開発に着手します。そのコンセプトは、ルネサンス期のリュート音楽をクラシックギターへ自然に移行し、演奏できるようにすることでした。ボーリンはアルトギターを11弦化する発想を出発点としながら、単なるリュートの模倣にとどまらない独自の楽器を生み出します。木材と構造への深い理解、卓越した設計・造作技術、そして何より音に対する鋭敏な感性が結実した、世界でも類を見ないギターでした。
ルネサンスやバロックの音楽にふさわしい響きを持ちながら、それまで誰も耳にしたことのない音響は、当初メディアから「愚行」と批判されることもありました。しかし、ヨンソン自身の演奏によって次第に評価され、名手イョラン・セルシェルの登場が、その価値を広く認めさせることになります。
彼の楽器に共通するのは、木を音に従わせるというより、音のほうを木に従わせるかのような独特の設計思想です。木そのものが発する響きを生かした音色には、ある種の不完全性も内包されていますが、それが欠点ではなく、音楽との親和性や生き生きとした表現につながっているところに、ボーリンの楽器ならではの魅力があります。
[楽器情報]
ゲオルグ・ボーリン製作、1992年製11弦ギター「Visan」Usedです。ボーリンの代表モデルであり、後世の11弦ギターの設計や仕様にも大きな影響を与えた名品です。1993年に没することになる巨匠の最晩年の作品で、ラベルには楽器名「Visan」(「あの歌」の意)とともに「for Ichiro Suzuki」と記され、ギタリスト鈴木一郎氏のために製作されたことが示されています。
ボーリンの感性とルネサンス/バロック音楽の世界が、これ以上ないほど自然に結びついたかのような一本です。研ぎ澄まされた凛とした響きは親しみやすさと未知の感覚を併せ持ち、強烈な存在感を放ちます。クラシックギターの芯の強さに、ルネサンス音楽を思わせる澄んだ滋味が加わった独特の音色は、古雅と新しさがせめぎ合うような不思議な魅力を備えています。多弦構造による立体的な響きは、ポリフォニックな音楽で各声部の遠近感を明瞭に描き分けることを可能にし、バッハをはじめとするバロック音楽では、6弦ギターとは異なる説得力を生み出します。
造作の精緻さという点では、現代のクラシックギターの基準に照らして最高度に達しているとはいえない部分もあります。しかし、手と木との対話から生まれたような素朴なデザインや、木材の存在感が生々しく伝わる外観には、ボーリンならではの美しさがあります。
表面板の力木構造も非常に特徴的です。サウンドホールの上側に2本、下側に1本のハーモニックバーを配置し、下側のバー中央付近から高音側下部へ斜めに延びるトレブルバーを設置。さらにボトム付近にもバーを備え、その間に計8本の扇状力木を配しています。一般的なクラシックギターでは扇状力木の中心がネック付け根付近に置かれますが、本器では高音側のウェスト部を中心として低音側下部へ扇が広がるような、非対称の配置が採用されています。最も低音側の一本は、ほかの7本とは異なる角度と長さで設けられています。
11本の弦の張力に対応するため、ブリッジ下には約4mm厚の補強板を設置。サウンドホール両脇にも約1mm厚の補強板を備えています。また、ロゼッタを表面板に埋め込む一般的な方式とは異なり、ロゼッタ自体がサウンドホールの縁を形成する構造で、ボディ内部からもその一部を確認できます。アルトギターの設計を踏襲したカッタウェイ仕様により高音域の演奏性を確保し、ボディジョイントは10フレット位置に設定されています。レゾナンスはA♯~Bの間です。
なお、セルシェルが使用する1974年製の同モデルでは、扇状力木が本器とほぼ左右反転した配置になっています。こうした違いは、ボーリンが非対称構造についてどのように考えていたかを探るうえでも興味深いものです。セゴビアのギターを研究した経験が設計に影響を与えた可能性も想像されますが、確かなことは分かっていません。
製作から30年以上を経た楽器としては傷が少なく、外観は比較的良好です。多弦ギターに見られる表面板などの歪みも、通常のギターと同程度にとどまっています。ただし、特殊な構造によるものか、サウンドホール縁の表面板には部分的な凹凸や歪みが見られます。裏板のボトム部には木目に沿った割れの修理が一か所ありますが、適切に処置されており、継続使用に問題はありません。ネックはごくわずかな順反りですが標準的な範囲内で、フレットも適正値を維持しています。
塗装はオリジナルのセラック仕上げ。乾いた独特の手触りにも、ボーリンらしい素朴な味わいがあります。糸巻はカナダの高級ブランド、ロジャース製のボーリン専用カスタム仕様で、つまみには中南米産ローズウッドを採用。楽器全体の雰囲気に調和する細部までのこだわりが感じられます。
調弦は11弦から順に、B♭、C、D、E♭、F、G、C、F、B♭、D、G。弦は通常の6弦ギター用を使用し、7~11弦には6弦用の弦を張ります。弦長は1~7弦が545mm(0フレットからサドルまで)、11弦が730mm。12フレット上の弦高は1弦3.8mm、6弦4.2mm、11弦6.0m、サドル余剰は3.0mmとなっています。
| 商品名 | Georg Bolin [ゲオルグ・ボーリン] 11弦 Altoギター ‘Visan’ |
|---|---|
| 商品ID | 1641620 |
| 楽器カテゴリ | ギター/ベース/弦楽器 > クラシックギター/フラメンコギター > クラシックギター |
| ブランド | Georg Bolin [ゲオルグ・ボーリン] |
| 型番・モデル | 11弦 Altoギター ‘Visan’ |
| 楽器区分 | ビンテージ |
| 年式 | 1992年 |
| 程度 | 3+[EX] : 年代相応で標準的な状態 |
| トップ材 | スプルース(松) |
| サイド&バック材 | 中南米ローズウッド |
| カラー系統 | ナチュラル/木目系 |
| 生産国 | スウェーデン |
| 弦長 | 545mm |
| ケース | ハードケース |
| 付属品 | クロス |
| 公開日 | 2026/10/16 |
| 更新日 | 2026/10/16 |
| 住所 | 〒110-0004 東京都台東区下谷3-3-5 アズール上野2F![]() |
|---|---|
| アクセス | 営団地下鉄日比谷線 入谷駅下車。 3番出口(上野方面行きの場合)又は4番出口(三ノ輪方面行きの場合)より徒歩5分。 JR山手線 鶯谷駅下車(南口)より徒歩10分。 近くにコインパーキングあり。 |
| TEL / FAX | TEL:03-3876-7207 / FAX:03-3876-7206 |
| 営業時間 / 定休日 | 営業時間 11:00~19:00 / 定休日 毎週水曜日 |
| ホームページ | http://www.guitarra.jp/ |
| 取扱商品タイプ | 新品, 中古, ビンテージ |
| 取扱商品カテゴリ | アコースティックギター/エレアコ, クラシックギター/フラメンコギター, ギター・ベース・弦楽器用アクセサリ/ケア用品, その他の楽器, CD/DVD/書籍/楽譜/教則本 |
| 対応サービス・設備 |
|
| Jギター決済 |
| 店名 | ギターショップ アウラ |
|---|---|
| 所在地 | 東京都台東区下谷3-3-5 アズール上野2F |
| メールアドレス | info@guitarshop.jp |
| 営業時間 | 営業時間 11:00~19:00 |
| 販売事業者 | |
|---|---|
| 代表者又は責任者 | |
| 所在地 | - 0 |
| 電話番号 | -- |
| 販売価格 | |
| 販売代金以外に必要な手数料等 | |
| 支払方法及び支払時期 | |
| 引渡時期 | |
| 申込み有効期限申込み有効期限 | |
| 保証 | |
| 返品・交換・キャンセル | |
| 販売数量制限その他の特別な条件 |
| 名称 | 株式会社アウラ |
|---|---|
| 許可を受けている公安委員会 | 東京都公安委員会 |
| 許可番号 | 第306619505019号 |

委託販売、買取、下取りのお申し込みは随時受け付けております。
現役の手工製作家によるメンテナンスチェックを実施し、楽器の状態を確認させて頂き正確な査定を致します。
大切な楽器を、「安心」と共に次のユーザーへと引き継ぐことを心掛けています。

確かな技術で、楽器の故障状況を的確に把握し、また、隠れた故障、潜在的な故障を見逃すことなく、適切な修理方法をご提案致します。
深刻な故障でもあきらめる前にまずはご相談下さい。
割れ、はがれ、傷等の破損や故障の補修。音質改善のためのナットとサドルの調整。
弾き心地改良のためのネック反り補正や、弦高、弦幅等を奏者に合わせるフィッティング調整。
更に再塗装、塗り重ね、フレットや糸巻きの調整や交換等の経年劣化に対しての補修、修理まで専門家の知識と技で、あらゆる問題点に関してのご相談、見積もり、リペアまで責任を持って承ります。担当制で木曜・土曜・日曜に各製作家がギターショップアウラに常駐しております。
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