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前回のコラムでちらっと触れた映画『イージー・ライダー』がアメリカで公開されたのは1969年夏。あのウッドストック・フェスティバルの、ほんの少し前のことだった。僕自身は翌年、高校二年生の時、これもまた以前のコラムでちらっと触れた市川市本八幡の映画館で、この名作をはじめて観ている。永井荷風が生涯最後の数年間を過ごした街の映画館だ。もちろん、『イージー・ライダー』はそれからも何度か映画館で観た。そして、観るたびに強い刺激を受けたものだ。
アメリカン・ニュー・シネマという潮流を代表する作品であり、69年という時代の大きな転換点を象徴するアイコンでもあったその『イージー・ライダー』を監督し、ピーター・フォンダとともに主役も務めたデニス・ホッパーが、5月29日、74歳で亡くなった。翌日、いくつかのニュースやワイドショーでいわゆる「街の声」というものを紹介していたのだが、「バイクがカッコよかった」とか「あれを観てハーレーに憧れた」といった反応が多かったことに、少々、驚いた。いや、まあ、そんなものなのかもしれない。
長い旅に出る前、ピーター・フォンダが放り投げるようにして腕時計を捨てるシーンが忘れられない。ある意味では、あのシーンこそが僕にとっての『イージー・ライダー』だった。気障なことを書くようだが、真面目な話、僕は普段まったく腕時計を使わない。当然のことながら、高級腕時計などというものには興味もない。そういう、ほかの人にとってはどうでもいいようなこだわりが、僕をずっと、ロックという文化に向かわせてきたのかもしれない。とにもかくにも、またひとり、戦後を代表する名優が逝ってしまった。
May he rest in peace.
向島界隈で出会った猫。目つきがいい。
一年間にわたって「旅と音楽」、あるいは「ロックとアメリカの大地」をテーマに、気ままに、好き勝手なことを書かせていただいてきたこのコラムもこれが最終回。というわけで(なにが「というわけ」なのかわからないが)、今回はこれといったテーマは設定せず、思いつくまま、近況や雑感のようなものを書いていきたい。なお、ビジュアルに関しては、荷風の『日和下駄』を意識して東京の街歩きをつづけていた時期に撮った、和める写真を紹介しよう。街歩きも、僕にとっては立派な旅なのだ。
歌に名高い「矢切の渡し」。
左側が柴又だ。
歌に名高い「矢切の渡し」。
左側が柴又だ。
ローリング・ストーンズのアルバムのなかで「なにがいちばん好きか?」と聞かれたら、迷わず、『エグザイル・オン・メイン・ストリート』と答える。もちろん『ベガーズ・バンケット』や『レット・イット・ブリード』も優れた作品だが、やはり『エグザイル』がいい。発表は1972年の春。ちょうど、僕が大学に入ったころのことだった。
その『エグザイル・オン・メイン・ストリート』のデラックス・エディションを米盤で入手した。発売当時はLP2枚組だったが、これは、最新リマスターの18曲を収めたCDが1枚、未発表テイク10曲を収めたCDが1枚、ドキュメンタリーやライヴなど貴重な映像を収めたDVDが1枚、最新音源をあらためてアナログ化したLPが2枚、さらには豪華で資料価値も高いブックレットに特製ポスター・カードという構成だ。
青山墓地にて。墓参りの帰りだろうか。
ちなみにこのアルバムを、ストーンズのメンバーは、71年から72年にかけて、南フランスで録音している。当時の彼らは深刻な税金問題を抱えていたため、イギリスを離れざるを得なかったのだ。タイトルの「エグザイル」には、そういった状況を反映して、逃亡者や流刑者という意味が込められているのだが、今回の再発売にあたっても日本でのタイトルは『メイン・ストリートのならず者』のままだった。ストーンズに関しては「悪魔を憐れむ歌」という有名な誤訳邦題がある。こういうものは再発を機会に修正していったらどうかと思うのだが、なんだか、残念でならない。
赤坂・豊川稲荷の猫。
場所柄か、とても礼儀正しい。
青山墓地にて。墓参りの帰りだろうか。
赤坂・豊川稲荷の猫。場所柄か、とても礼儀正しい。
リリース関連でいうと、3月に実現した、ジミ・ヘンドリックスの一連の作品の再発売も高く評価できるものだった。60年代当時のジミの創作活動を支えたエディ・クレイマーらの全面協力を得て、歴史的名曲の数々をあらためて最高の音質で届けてくれたもので、「ギタリスト=ヘンドリックス」という次元を超えた部分での、総合的な芸術家としての突き抜けた存在感を再認識した。
谷中の商店街にて。
谷中の商店街にて。
3月から4月にかけて、ジャクソン・ブラウン&シェリル・クロウ、ボブ・ディラン、キャロル・キング&ジェイムス・テイラーが相次いで来日している。足を運ばれた方も多いだろう。いずれも僕が若いころから、強い刺激や影響を受けながらその作品を聴きつづけてきたアーティストたちである。アメリカを旅する際のBGMは、彼らの曲で占められていることが多かった。そんな人たちが次から次へと来てしまったのだから、お金もたっぷりと使わされたけれど、それだけの喜びも与えられ、今年のピークがもう過ぎ去ってしまったような気分だ。
とりわけ感動させられたのは、CK/JTのバックを務めたセクション(ダニー・クーチ、リー・スクラー、ラス・カンケル)の、まさに円熟という言葉がふさわしいプレイ。「バックを務める」などという表現が馬鹿げたものに思えてくるほど、すべてがひとつに溶けあったオーガニックなライヴだった。ドラムスが歌えることを教えてくれた「ファイアー・アンド・レイン」でのカンケルのプレイも忘れられない。
というわけで(なにが「というわけ」なのかわからないが)、
一年間、ありがとうございました。なにかを得ていただけたら、幸いです。
トルバドールは、サンタモニカ・ブールヴァードとドヒニー・ストリートの交差点に建つ老舗クラブ。07年秋、その50周年記念イベントへの出演を依頼されたジェイムス・テイラーはキャロル・キングとザ・セクションの面々に声をかけ、奇跡のリユニオンを実現させた。これは、今年のツアーのきっかけともなったそのライヴを記録した作品で、同内容(MC部分が充実)のDVDとの2枚セットとなっている。(大友)
『フォー・エヴリマン』、『レイト・フォー・ザ・スカイ』、『孤独のランナー』、『ザ・プリテンダー』などジャクソンの初期の名曲に貢献したマルチ弦楽器奏者、デイヴィッド・リンドレーとの、こちらも、奇跡のリユニオン・ライヴ。06年にスペイン各地で録音されたもので、ジャクソンが近年交流を重ねてきたスペイン人アーティストも参加している。選曲は文句なし。(大友)
本文で紹介した『EXILE ON MAIN STREET』の、いわゆるデラックス・ヴァージョン。ドキュメンタリーや貴重なライヴ映像で構成されたDVDは単体でも購入できるようだが、これを観れば、「ならず者」という邦題が誤っていることが理解できるはずだ。豪華なブックレットも素晴らしい。(大友)
ボブ・ディランの日本公演。クラプ・サイズの会場で、数日間にわたって行なわれるという、こちらもまた奇跡的な内容のものだったが、その会場で話題を集めたグッズのひとつだ。デビュー作から最新作までのジャケット写真につつまれた約1.5センチ角のチョコが50個という内容。長いキャリアを持つディランだからこそ実現できたものといえるだろう。(大友)
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