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ギターテクニック-Guitar Technique-

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大友博の音楽旅コラム LONESOME HIGHWAY

VOL.3 LA GETAWAY

23年前の夏のことだ。いくつかの偶然と幸運が重なって、まったく無経験だったにもかかわらず、当時かなり大きな影響力を持っていた洋楽ビデオ番組の制作スタッフに構成作家として加わることになった。それから番組終了までの約3年半、いろいろと貴重な経験を積むことができた。バイリンガルDJの先駆者的存在でもあった出演者の方からは、よく叱られもしたし、そして、たくさんのことを教わった。

海外取材というものをはじめて体験したのも、この時期のことだ。アメリカ初体験は73年の夏、二十歳の時だったが、その後は金銭的にも時間的にも余裕がなく、海外旅行とはまったく縁がなかった。番組スタッフへの参加は、そういう状況を変えてくれることともなったのだった。そして、その状況の変化は結果的に僕の仕事の領域を広げることとなり、番組とは別の仕事でもアメリカを訪れるようになっていく。個人的には、いわゆる「80年代の音楽」にはまったく思い入れがないのだが、あの時代が僕の音楽人生にとっての大きなターニング・ポイントであったことは否定できない。
90年代に入ってからは、少人数のグループやひとりで渡米することが多くなり、それからはずっと、可能な限り自分でハンドルを握ってアメリカの大地を身体で知ることを心がけてきた。以来、まったく仕事と関係ないひとり旅を含めて、おそらく50回前後アメリカを訪れてきたが、たいていの場合、その旅の入り口やベースメントとして親しんできたのがロサンゼルスだ。

ここでは、一般的な新聞表記などにあわせてロサンゼルスと書くこととしよう。しかし、片仮名でなんとか正しい発音に近づけようとするなら、ロスエインジェリースと書くのがいいのではないだろうか。綴りをよくみれば、納得していただけるかと思う。いつのころからか、大新聞や主要放送局も「ロス」と呼ぶようになってしまったが、あれだけはやめましょう。略すなら、LA。ニール・ヤングは「アウト・オン・ザ・ウィークエンド」で「荷物をまとめたらピックアップを買って、LAに向かおう」と歌っている。そう、あの感じだ。あるいは、ザ・ドアーズの『LAウーマン』、ジョエル・スコット・ヒルと彼の仲間たちが残した『LAゲッタウェイ』。舌を上顎にきちんとつけてLAといっただけで、僕の頭のなかには、アメリカの入り口としてのあの街が浮かび上がってくる。
ともかく、繰り返しになるが、あの街を「ロス」と呼ぶことはやめたほうがいい。「アイム・ゴーイング・トゥ・ロス」なんてアメリカの人にいったら破滅志願者かなにかと勘違いされますよ。

天気や気分に合わせて走るLA

どのキャリアを使っても、ロサンゼルス国際空港にはけっこう朝早い時間に着陸する。たとえば大韓航空を利用した場合、イミグレーションや荷物のピックアップがすんなりいけば、9時前にはレンタカー会社のシャトルバスに乗り込めるはずだ。

レンタカーのエリアからは、フリーウェイを使わず、ラシエネガ・ブールヴァードで街の中心部に向かう。途中で小さな油田地帯を通り抜けることになるのだが、あの不思議な光景を僕は、LAからの歓迎の挨拶だと勝手に解釈している。実際、ラシエネガがその緩やかな丘陵地帯を抜けると、フロントガラスの向こうに、サンタモニカからダウンタウンまで、ロサンゼルスと総称されている大都会が広がっている様を目にすることができる。

サンタモニカの海岸からは長くて幅の広いボードウォークが伸びている。その上には遊園地やレストラン、土産物屋などがあり、あまりにも観光地っぽくて好きではないのだが、ここから見る海岸線はいい。いろいろな歌が頭に浮かんでくる。

夕暮れ時のサンタモニカ。目にするたび、なぜか、穏やかな気分にさせてくれる光景だ。海岸沿いの道をずっと走っていけば、サンタバーバラやモンタレーをへて、サンフランシスコにたどり着く。

夕暮れ時のサンタモニカ。目にするたび、なぜか、穏やかな気分にさせてくれる光景だ。海岸沿いの道をずっと走っていけば、サンタバーバラやモンタレーをへて、サンフランシスコにたどり着く。

サンタモニカの海岸からは長くて幅の広いボードウォークが伸びている。その上には遊園地やレストラン、土産物屋などがあり、あまりにも観光地っぽくて好きではないのだが、ここから見る海岸線はいい。いろいろな歌が頭に浮かんでくる。

初日は、基本的になにも予定を入れない。それが旅の鉄則だ。LA国際空港をあとにしたら、とりあえずラシエネガに乗ったままサンセット・ブールヴァードと突き当たるあたりまで走り、天気や気分にあわせてそれから夕暮れ時までの行動を決めることが多い。
気持ちよく晴れていたら、サンセットかウィルシャーで左折してサンタモニカに向かい、サード・プロムナードあたりで早めのランチ。

機内でよく眠れた場合は、少し足を伸ばしてマリブや、さらにその先のズマまで行ってしまうこともある。2月とか3月の、まだ少し肌寒い時期に、マリブやズマの海岸でぼんやりと時間を過ごすのもいい。

マリブとズマの中間に位置するパラダイス・コーヴ。「楽園という名の入り江」とでもいったイメージだろうか。静かな海岸線に面して、上質なシーフード料理を提供してくれるカフェがある。

マリブとズマの中間に位置するパラダイス・コーヴ。「楽園という名の入り江」とでもいったイメージだろうか。静かな海岸線に面して、上質なシーフード料理を提供してくれるカフェがある。

もう一度ラシエネガに話を戻すと、あまり天気がよくなかったら、サンセットを右折してハリウッドの方に向かう。しばらく走っていると、左手にあのギター・センターの巨大な建物がみえてくるはずだ。周りには、小規模な、専門店指向のギター・ショップもいくつかある。LAの御茶の水といったところだろうか。
そのあたりで車を停め、ギター・センターの隣の小さなカフェで軽い食事をとることも多い。名前は、サンセット・グリル。80年代の半ば、ドン・ヘンリーはこの店のテーブルからサンセットを行き交う人や車を眺めているうちにある曲の構想を思いついた。そう、「サンセット・グリル」だ。外観も店内の雰囲気も当時とはすっかり変わってしまったが、今でもそれなりに、しばしのあいだ、ドンの気分に浸ることができる。

サンセット・グリルの前で親しくなった、暢気な風情の犬。

サンセット・ブールヴァードの7425番。ギター・センターは、LAに行くとかならず寄ってしまう場所のひとつ。ドン・ヘンリーに名曲のアイディアを与えたカフェ、サンセット・グリルはそのすぐ隣にある。

サンセット・ブールヴァードの7425番。ギター・センターは、LAに行くとかならず寄ってしまう場所のひとつ。ドン・ヘンリーに名曲のアイディアを与えたカフェ、サンセット・グリルはそのすぐ隣にある。

サンセット・グリルの前で親しくなった、暢気な風情の犬。

そんなふうにしてゆるゆると時間を過ごしながらLAの空気に心と身体を馴染ませていき、太陽が沈みはじめたころ、ホテルにチェックインする。LAでの定宿はハイランド・ガーデンズ・ホテル。ハリウッドの繁華街まで歩いていける距離にあるのだが、周囲はじつに静か。しかも料金はきわめて良心的、という貴重なホテルだ。これといったサービスもないモーテル・タイプの宿で、その気楽さも含めて気にいっている。
じつはこのホテル、以前はランドマークという名前だった。場所柄、映画俳優やミュージシャンが泊まることも多かったようで、今から40年ほど前、ジャニス・ジョプリンもよく利用していたという。70年の10月、彼女が生涯最後の夜を過ごしたのも、ここ。103号室だった。隣の部屋に何日か滞在したことがあるのだが、霊感が少ないのか、残念ながら、それらしき影と遭遇することはまったくなかった。

ジャニスが愛したホテル。長い年月が流れ、名前も変わってしまったが、建物全体の雰囲気は当時とほとんど変わっていないという。

ジャニスが愛したホテル。長い年月が流れ、名前も変わってしまったが、建物全体の雰囲気は当時とほとんど変わっていないという。

コラムで紹介した音楽

ニール・ヤング
ハーヴェスト

「孤独の旅路」が収められたニール・ヤングの代表作。ナッシュビル系のセッションマン、ケニー・バットレイの叩く重たいベース・ドラムスに導かれて「アウト・オン・ザ・ウィークエンド」がはじまり、70年代初頭のロック・シーンを代表する名盤が幕を開ける。(大友)

ニール・ヤング
「地下室」

スペイン人の侵略者をテーマにした大作「コルテス・ザ・キラー」をはじめ、どの曲からもクレイジー・ホースのメンバーとの強い絆を感じ取ることができるアルバム。CS&Nが参加した「スルー・マイ・セイルズ」もいい。タイトルは、もちろん、カリフォルニア州ズマ・ビーチからとったものだ。(大友)

エリック・クラプトン
ノー・リーズン・トゥ・クライ

エリック・クラプトンは、「ザ・バンドは私の人生を変えた」とまで語り、彼らの高い音楽性を讃えている。76年発表のこのアルバムは、当時、ザ・バンドがマリブに所有していたシャングリラ・スタジオで録音されたもの。バンドのメンバー、ボブ・ディラン、ロン・ウッドらがゲスト参加している。(大友)

ジャニス・ジョプリン
パール

ジャニス・ジョプリンのニックネームをそのままタイトルにした『パール』が71年2月にリリースされた時、彼女はもうこの世にいなかった。その4ヶ月前ということになる10月4日、ジャニスはハリウッドのホテルで急逝していたからだ。ヴォーカル・パートが未収録だった曲も収められている。(大友)

ドン・ヘンリー
ビルディング・ザ・パーフェクト

イーグルス解散後、ソロ活動を開始したドン・ヘンリーの通算2作目。独特の文明批評的な視点が感じられる「サンセット・グリル」や印象的なビデオ・クリップも話題を集めた「ボーイズ・オブ・サマー」などのヒット曲が収められている。(大友)

La L.A. Getaway
Joel Scott Hill

フライング・ブリトー・ブラザーズ人脈のクリス・エスリッジとジョエル・スコット・ヒル、タートルズやCSN&Yで活躍したジョン・バーベイタが71年に発表したセッション・アルバム。いわゆる隠れた名盤のひとつだ。(大友)

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