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『ブルー・リッヂ・レインジャーズ・ライズ・アゲイン』。今年の6月に64回目の誕生日を迎えたジョン・フォガティ(つまり、エリック・クラプトンやニール・ヤングと同年齢)から届けられた新作のタイトルだ。ずっとフォガティの音楽を聴きつづけてきた方は、このタイトルを目にして懐かしさを感じたに違いない。本国アメリカでの発売は8月だから、もう手に入れたという方も少なくないだろう。
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァヴァル解散後の1973年、フォガティは『ブルー・リッヂ・レインジャーズ』というアルバムを発表している。現在、関連カタログなどではこれがソロ1弾ということになっているが、しかしこの作品、もともとはブルー・リッヂ・レインジャーズというユニットのデビュー作として届けられたものだった。ジャケットにいるのは、朝焼けの丘に立つ、テンガロン・ハットをかぶった5人の男たち。フィドル、バンジョー、アコースティック・ギター、アップライト・ベースといった楽器を構えている。イメージは、もろにカントリー/ブルーグラスだ。
フォガティはそこで、多重録音を駆使してすべての楽器を手がけ、自身の原点ともいえる音楽を深く掘り下げながら、正体のわからない覆面バンドというフィクション性を楽しんでいた。CCR時代の彼は、大きな商業的成功を収めながらも、バンドとしての限界など、満たされない部分も感じていたという。そういった想いも込められたアルバムだったのだろう。
それから36年。『ブルー・リッヂ・レインジャーズ・ライズ・アゲイン』での彼は、多重録音はやめ、カントリー/ブルーグラス系の優秀なミュージシャンたちをバックに迎えて、セッションそのものを楽しんでいる。究極の私的名曲集といった趣だ。
ちょっと前置きが長くなってしまったが、そのフォガティのアルバムをなんとも気持ちよく彩っているマンドリンの音に惹かれて(ジェイソン・モワリーという若いミュージシャン)、フェンダーのエレクトリック・マンドリンを衝動買いしてしまった。ちなみに、その際、はじめてこのサイトを参考にさせていただいた。感謝。
今年の2月、ロサンゼルスのダウンタウンであるイベントを観てから、そのままサンフランシスコに向かった。これといった予定や目的もない、気ままな旅。なるべく海沿いの道を走り、ドライヴィングそのものを楽しむ。うまく都合がつけば、サンフランシスコで暮らす友人と再会して食事をしよう。そんなことを考えながら、すっかり闇におおわれてしまったロサンゼルスの街を抜けてサンタモニカに向かい、そこから進路を北西にとった。
101号線に出ると、雨が降りはじめた。風も強い。夕方のテレビで観た天気予報そのままの天気だった。椰子の木も大きく揺れている。対向車線を走るトレーラーが巨大な水しぶきをあげる。その水しぶきを通して見るヘッドライトやレストランのネオンが美しい。
左手に太平洋を感じながら、マリブやズマを抜け、サンタバーバラの街で、目にとまったモーテルに車を停めた。冷蔵庫もなにもない、昔ながらのモーテルらしいシンプルな部屋だったが、インターネットは無線でつながる。こんな時くらいとは思いつつ、シャワーを浴びるなり、ついついメールをチェックしてしまう。僕らはもう、そういう時代を生きているのだ。
翌朝もまだ雨が降っていた。サンタバーバラを出て、ふたたび海沿いの道を約30分。そこからしばらくは山道を走ることになる。パーキング・エリアに車を寄せ、ワイパーをオンにしたまま外の景色を眺めているうち、懐かしい曲が頭に浮かんできた。ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジの「マンドリン・レイン」だ。いくつか若いころの苦い思い出も甦り、なんとなく、ワイパーがメトロノームに見えてくる。
サンフランシスコに向かう途中、朝食をとったピスモ・ビーチ。ほとんど人のいない、静かで美しい海岸だった。時間と金に余裕ができたら、こういう街で何日間か、なにもせず過ごすのもいいかもしれない。
マンドリンの音を頭のなかに響かせながら、山道を走った。ロッド・スチュワートの「マギー・メイ」や「マンドリン・ウィンド」、ザ・バンドの「ラグ・ママ・ラグ」、ローリング・ストーンズの「ラヴ・イン・ヴェイン」、フーターズの「ジョニー・B」。ハンドルを握りながら、マンドリンが生かされたロックの名曲を記憶のなかからたぐり出していった。けっこうあるものだ。イーグルスの『ロング・ロード・アウト・オブ・エデン』でも、じつに効果的にマンドリンが使われていた。今回の「衝動買い」の発端は、ひょっとすると、あのドライヴにあったのかもしれない。
ふたたび海沿いの道に出るとすぐ、雨があがった。真っ青なカリフォルニアの空を、真っ白い大きな雲がものすごいスピードで流れていく。ここからサンフランシスコまでは気持ちよく走っていけそうだ。
ピスモ・ビーチという美しい海辺の街のレストランで遅めの朝食をとる。ベジタブル・オムレツとイングリッシュ・マフィン。絞りたてのオレンジ・ジュースとコーヒー。アメリカできちんと朝食をとる時の定番メニューだ。ここで食べたオムレツも、期待を裏切ることのない旨さだった。
窓を開け放ち、太平洋からの風を感じながらそのまま北に向かっていくと、モンタレーのあたりで車を止められた。昨晩の大雨で小規模な土砂崩れが起き、復旧までに1時間ほどかかるという。「この素晴らしい景色でも眺めながら、ゆっくり待っててくれないかな」。工事の関係者にそういわれた。いいセンスだ。日本の工事現場で、こういう洒落の効いたエクスキューズを耳にすることはまずないだろう。急ぐ旅でもなく、もちろん、ゆっくりと待つことにした。
サンフランシスコに到着したのは、ちょうど日が暮れたころ。懐かしい友人と会うこともでき、ソノマ産の上質なシャルドネで再会を祝った。2本目はカベルネ・ソーヴィニヨン。グラスを合わせた時の気持ちのいい響きに、僕はまた、マンドリンの音を聞き取っていた。
本文で紹介したジョン・フォガティのニュー・アルバム。ブルース・スプリングスティーンと、ドン・ヘンリー&ティモシー・B・シュミットのイーグルス組がゲスト参加している。個人的には後者との「ガーデン・パーティ」(リック・ネルソンのカヴァー)がお薦め。(大友)
フィラデルフィア出身のバンドで、中心メンバー二人がシンディ・ローパーのデビュー作に協力していたことでも話題を集めた彼らの3作目。アコーディオンやピアニカ(フーター)などを効果的に使ったアーシーなサウンドで特異な地位を築き上げた。(大友)
ストーンズ最高傑作のひとつ。ロバート・ジョンソンの名曲「ラヴ・イン・ヴェイン」をカントリー風にカヴァーしているが、そこでソロ・デビュー前のライ・クーダーがマンドリンを弾いている。ほかにもいろいろと貢献したといわれているが、クレジットはされず、キースとのあいだに確執を生んだ。(大友)
印象的なピアノに導かれて歌われるタイトル曲など、聴き応えたっぷりの曲がいくつも収められたブルース・ホーンズビーのデビュー作。本文中の「マンドリン・レイン」では元アルファ・バンドのデイヴィッド・マンスフィールドがマンドリンを弾いている。(大友)
71年暮れに録音されたライヴ・アルバムで、名盤『ザ・バンド』収録の「ラグ・ママ・ラグ」も取り上げられている。ジャケット内側に5人の写真が別々に紹介されているのだが、501とダンガリーのシャツ、ブーツという出で立ちでマンドリンを弾くリヴォン・ヘルムの姿に強く惹かれた。(大友)
ロッド、3枚目のソロ作品。カントリーやフォークへの造詣の深さを感じさせる味わい深い名盤で、聴くたびに、どこで道を見誤ったのか?と、強く思ってしまう。「マギー・メイ」などでマンドリンを弾いていたのは、リンディスファーンのレイ・ジャクソン。(大友)
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