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なぜ、還暦間近になった今もロックを聴きつづけるのか?なぜ、ずっと変わることなく、ロックを視点の中心に置いて生きてきたのか?周囲の人から問われることがある。妙な話だが、僕が、僕自身に問うこともある。
以前にもこのコラムで書いたとおり、答はきまっている。十代半ばのころ、ニール・ヤングの音楽と出会ったからだ。ジミ・ヘンドリックス、ボブ・ディラン、ザ・バンド、オールマンズ、ジャクソン・ブラウンなど尊敬に近い念すら抱いているアーティストは少なからずいる。しかし、僕を決定的にロックという深遠な世界に引きずり込んだのは、間違いなく、ニール・ヤングだ。彼からは、誰よりも強い刺激を受け、誰よりも深く影響され、揺り動かされ、衝き動かされてきた。もちろん、今も変わることなく、衝き動かされている。
そのニール・ヤングに捧げられた、あまりにもスペシャルな内容の音楽イベントを、1月29日、ロサンゼルスのコンヴェンション・センターで観ることができた。グラミー賞関連の慈善基金、MUSICARESのアニュアル・パーティーでのことだ。今回は、旅そのものからは若干ポイントが外れるが、この特別な体験をテーマに書かせていただきたい。
ロサンゼルス、ダウンタウン地区の南端に建つフィゲロア・ホテル。壁面を広告スペースとして提供しているようで、毎回、そのセンスのいいデザインを見るのが楽しみだ。グラミー賞授賞式が行なわれるステイプルズ・センターや、ニール・ヤング・トリビュートが行なわれたコンヴェンション・センターはこの向かい側にある。
ロサンゼルス、ダウンタウン地区の南端に建つフィゲロア・ホテル。壁面を広告スペースとして提供しているようで、毎回、そのセンスのいいデザインを見るのが楽しみだ。グラミー賞授賞式が行なわれるステイプルズ・センターや、ニール・ヤング・トリビュートが行なわれたコンヴェンション・センターはこの向かい側にある。
MUSICARESは、音楽教育の充実、演奏機会の提供、音楽業界関係者の福利厚生などを主目的とした組織で、直近の例でいえば、ハイチ大震災やカトリーナ台風などの被災者にも音楽のサイドから支援の手を差し伸べてきた。グラミー賞本番の二日前に開催される原則非公開のアニュアル・パーティーでは、毎年一人のアーティストをパーソン・オブ・ザ・イヤーとしてその音楽/社会的功績を称え、ディナーやスピーチなどのあと、縁のあるアーティストたちによるトリビュート・ライブが行なわれる。
ちなみに、これまでの主な受賞者はポール・サイモン、スティーヴィー・ワンダー、スティング、ボノ、ドン・ヘンリー、エルトン・ジョンといった人たち。この顔ぶれが、MUSICARESの目指すところを明確に示しているはずだ。
誠実に、貪欲に、なにごとにも妥協することなく自らの音楽を追究し、並行して、ファーム・エイドやブリッジ・スクールといったベネフィット活動を自ら牽引する形で継続してきたニール・ヤング。彼に捧げられたライヴには、その影響力の大きさを物語るかのように、幅広い分野から、本物のアーティストたちが終結した。音楽監督は、ワズ・ノット・ワズの中心人物として活躍したあと、現在はプロデューサーとして音楽仲間から厚い信頼を集めているドン・ウォズ。ハウス・バンドのドラマーは、ディランやジョン・メレンキャンプからミッシェル・ブランチまで数多くのアーティストの作品でしっかりとその土台を支えてきたケニー・アロノフ。司会は、ジャック・ブラック。これだけでももう、文句なしという感じだ。
MUSICARESのアニュアル・パーティーは、ドリンクを楽しみながらのチャリティ・オークションでスタートする。こういったポスターをはじめとするアート作品、サイン入り楽器など数多くのアイテムが出典されていた。
演奏された20曲のすべてを紹介するスペースはないが、とりわけ印象にのこったのは、ジョン・メレンキャンプの「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」、ジャクソン・ブラウンの「ドント・レット・イット・ブリング・ユー・ダウン」、スティーヴン・スティルス/シェリル・クロウの「ロング・メイ・ユー・ラン」、ノラ・ジョーンズの「テル・ミー・ホワイ」、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「ア・マン・ニーズ・ア・メイド」、ジョン・フォガティ/キース・アーバン/ブーカー・Tの「ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」、ジェイムス・テイラーの「ハート・オブ・ゴールド」、そして、エルトン・ジョン/レオン・ラッセル(!)の「ヘルプレス」といったところ。最後を締めくくったのは、クロスビー・スティルス&ナッシュ。曲は、ニールの人生のテーマ・ソングとも呼べる「ヒューマン・ハイウェイ」だった。
MUSICARESのアニュアル・パーティーは、ドリンクを楽しみながらのチャリティ・オークションでスタートする。こういったポスターをはじめとするアート作品、サイン入り楽器など数多くのアイテムが出典されていた。
原曲のイメージを尊重しながら、それぞれのアーティストが自分の持ち味やスタイルを最大限に生かす形で歌い継いでいく「ニール・ヤング名曲集」。本人はディナー・テーブルに落ち着いたまま、楽しそうな表情でステージを眺めているだけで、それだけがちょっと不満だったのだが、この豪華なライヴを心から満喫して、僕はあらためて、なぜ僕が今もニール・ヤングを追い求めているのかを理解できたような気がする。
なお、このスペシャル・イベントのチケットは、僕が入手した最低ランクのものでも1000ドル。なかなかの値段だが、収益の大半は、オークションなどの売上とあわせて、MUSICARESの活動に寄付される。とんでもない顔ぶれのアーティストたちも、もちろん実費参加ということなのだろう。
31日にグラミー賞授賞式本番を観てから(ジェフ・ベックが故レス・ポールに捧げて「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」を演奏するという、嬉しいプレゼントもあった)、例によって、気の向くまま、海辺の道を走った。今回はあまり遠出をせず、まずサンタモニカに出てちょっと買物をし、インターナショナル空港西側の太平洋に面した気持ちのいい道を走ってから、その南に位置するマンハッタン、レドンド、トーレンスなどのビーチでゆったりとした時間を過ごした。雨こそ降らなかったものの、けっこう雲が多く、「抜けるような青い空、茜色の夕焼け」ということにはならなかったが、それもまた、ニール・ヤングに浸ったあとの気分にはあっていたような気がする。
ローズミードというエリアに暮らす友人の愛犬。タロー君。近くに、とびきりうまくて、しかも、日本人のほとんど来ないお寿司屋さんがある。今年も、もちろんお邪魔した。
トーレンスの岬から見た、夕景。ニール・ヤングの隠れた名曲のひとつ「シー・ザ・スカイ・アバウト・トゥ・レイン」が心に浮かんできた。
暗い海を右手に見ながら、ゆったりと車を走らせる。意識しなくても、29日のイベントのことをあれこれと思い出してしまう。そんな時、ふとスイッチを入れたカー・ラジオから(今回はずっとFM103にチューナーを固定していた)ニール・ヤングの「ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」が流れてきた。本当の話だ。これだから、旅はやめられない。
クラシック・カーのフィンテールを砂浜に埋めたジャケット・デザイン(おそらくマリブ・ビーチだろう)も印象的な74年の作品。ウーリッツァーのエレクトリック・ピアノが気持ちよく鳴り響く「シー・ザ・スカイ・アバウト・トゥ・レイン」は今回の旅で目にした夕景によくあっていた。(大友)
ニールがここ数年熱心に取り組んでいるアーカイヴ・シリーズの第12弾。アルバム『ハーヴェト・ムーン』発表時、92年のツアーで残されたアコースティック・ソロ・ライヴをそのまま作品化したもので、ニールの歌の世界をじっくりと味わうことができる。(大友)
MGsのリーダーとしてメンフィス・ソウルの黄金期を支え、多くの名曲を残してきたブッカー・Tが09年に発表した作品。ジョージア州出身のジャム・バンド、ドライヴ・バイ・トラッカーズとニール・ヤングが参加していて、豪快なギター・サウンドとブッカーのハモンドが最高の形でブレンドされている。今年のグラミーではポップ部門インストゥルメンタル作品賞を獲得した。(大友)
MUSICARES 06のパーソン・オブ・ザ・イヤーはジェイムス・テイラー。この年のパーティーでも豪華な顔ぶれのトリビュート・ライヴが行われているのだが、数少ない例外として、これは作品化が実現している。参加したのはスティング、スプリングスティーン、シェリル、ジャクソンなど。キャロル・キングも登場し、「きみの友だち」をジェイムスと二人で歌っている。(大友)
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