商品説明
ルイジ・モッツァーニは、イタリア生まれ、ギターとオーボエの演奏家、作曲家、教授、そしてギター製作家と多岐にわたって活躍された人物である。
生年は不明だが、没年は1943年になる。
日本のみならず世界のクラシックギター愛好家がトレモロを練習する際に必ず練習する有名曲「フェステ・ラリアーネ(ラリアーネ祭り)」の作曲者でもある。
本器は没年から判断しても、もちろんモッツァーニ自身の製作ではない。
本器の製作は、イタリアのクレモナにあった「FARFISA社」
現代ギター誌が発刊されて間もない1968年~69年の間に、このモッツァーニ・ギターの広告が同紙に掲載されていた。
販売価格は6万円~8万円程度で、当時の河野賢ギターの最低価格が4万円~5万円程度であったことから、それなりに高価なギターであった。
輸入元は現在も続く、海外直輸入楽器の専門商社の名門「野中貿易株式会社」になる。
現在は「NONAKA」として管楽器や打楽器が専門だが、当時はスペイン製やドイツ製ギター、マンドリン、…等々も取扱いされていた。
本器の構造は、通常のモダン・クラシックギターとはかなり違う点もある。
内部の力木は7本のファン・ブレーシングで通常タイプと大差はないが、一番の相違点は0(ゼロ)フレットを有している事になる。
古いアコギを愛好する方であればご存知かも知れないが、初期のYAMAKIギターでは採用されていた方式で、他メーカーの上位機種にも散見されていたように記憶している。
この0(ゼロ)フレットを採用したのは、当時のアコギ初心者の最難関である「Fコード」をより押さえやすくする事が主眼であったように思う。
ただこの方式はナット溝の深さと0フレットの山(高さ)の調整が難しく量産には向かない方式でもあったので、時代がアコギの量産期に入るとまったく採用されなくなった。
この0フレット方式は、クラシックギターに採用した場合、ローポジションのセーハがかなり楽になるのは勿論だが、開放弦の音と押弦時の音との「音質・音色・音量の落差や違い」が少なく、開放弦と押弦時の音が均質化する事にある。
あくまで私見になるが、自分はギターで弾かれるバッハは好きではない、その理由は、クラシックギターでバッハのような「対位法」の音楽を演奏する場合、ギターでは楽譜に書かれた「音価を守る(音を指示通りに伸ばす・指示通りに消す…等)」ことが完全には出来ない。
どんな名人・名手でもギターの機能的な欠点には勝てない。
そしてもう一つは、楽譜を見ながら演奏を聴くと、押さえた音と開放弦の音との差が大きく、やはり気になってしまう。
音質・音色の均質が求められる「対位法」の音楽では特に際立ってしまうのである。
本器の状態としては、表面板に比較的に浅いウェザーチェックが出ているが、小傷&打痕は少なく、フレット&指板にもあまり使用感はない。
本器の製作年は現代ギター誌の広告があった68年~69年なのか、その時代よりも新しいのか、正直なところわからない。ただ良い状態であることは違いはない。
12フレット上の弦高は当時の標準弦高と思われるが、6弦4.0㎜、1弦3.5㎜、セパレート型のサドル残は3.5㎜~2.8㎜。
サドル残があるので、更なる弦高調整は可能になる。