――最初のウクレレは子供のお下がり
ウクレレとの出会いは、おもちゃとしてお子さんに買い与えたものの、すぐに飽きられてしまった可哀そうなソプラノウクレレ「Alamoana(アラモアナ) UK-100」。
『初めて持った時のその軽さに驚きました。それと、普通の弦楽器と違って構えた時に一番近い弦(第4弦)で高い音がする南国感漂うHi-Gの音色がとても新鮮でした。』
そう語るのは 大阪岸和田市にあるウクレレ専門店 "ウクレレショップ オハナ"店長の石田俊夫氏。
『こんな気軽で能天気な楽器があったのか!』とたちまちウクレレの魅力にハマってしまったそう。
ハワイアンソングにはあまり馴染みがなかった石田氏であったが、コロコロと独特の心地良さを与えてくれる音色にすっかり魅了され、ビデオテープを何度も巻き戻しながら、ジャカソロの定番曲「クレイジーG」をマスター。
その後、ソロ弾きスタイルのウクレレプレイヤー、Jake Shimabukuro氏の"While My Guitar Gently Weeps"に衝撃を受け、ビデオテープから落としたようなYoutubeの粗い動画の手元を食い入るように見て一心にコピーしたと話す。
――憧れのハワイウクレレと"ウクレレショップ オハナ"
『自分用として初めて買ったウクレレは「Famous FS-1」ソプラノサイズのマホガニー合板でした。
これで毎日練習に励みましたが、どうしても独学では越えられない壁に当たり、これを克服しようとウクレレ教室に通い始めたんです。

ウクレレ好きの方ばかりで、楽しく練習できましたが、しばらくして、他の方が持っているKamakaやGstring等のハワイ製のウクレレの何とも言えない深く温かい音色に「いつか自分もこんなウクレレを持ちたい」と思うようになりました。
そんな時、なんと私の住む岸和田にウクレレの専門店があることを知り、早速訪ねたお店が"ウクレレショップ オハナ"でした。
オーナーの馬野氏、スタッフの人達もとても気さくで、丁寧に商品の説明をしてくれました。専門店なのでハイブランドも多く、欲しいウクレレもあったのですが、自分のお財布の中身と相談しつつ、その日は一旦、帰宅。。(笑)
改めてお店のwebサイトでオアフ島のワイアナエでJerome Werner&Debraというご夫婦が作る「Valley Made」というブランドを見つけました。
ジェローム氏は「セニーザウクレレ」のトーマス氏と親戚関係にあり、そんな方の血を引くウクレレならば、きっと私の好みのウクレレではないかと思い、再びオハナでコンサートサイズのものを見せてもらいました。
「カマカのように頑丈で、一生もののウクレレですよ。」という馬野オーナーのひと言と、ハワイアンコアのコロリとした、耳と心に気持ちよい響きに惚れて購入を決意。念願のハワイ製ウクレレを手に入れることができました。
それからは、一緒に通っていた教室の生徒さんが、ストラップピンやピックアップ装着など、目新しいことをするたびに真似をして、どんどんカスタムアップしていきました。
特にピックアップを選ぶ際は、アンダーサドルタイプのものをイメージしてオハナに行ったところ、フロリダの名匠、Hale Leilani氏 製作の「Leilaniウクレレ」に装着されていたトップ板裏貼り付けマイクタイプのものがレアでお勧め、という馬野氏のひと押しもあって早速搭載。ボリュームや音質も変えることもでき、ウクレレの音がアンプから出てくる、それだけで本当にうれしかったのを覚えています。
その後もウクレレ教室のイベント、発表会、コミュニティーの演奏会などで大活躍してくれましたが、一度、不注意で椅子に立てかけて目を離したときに、ウクレレが椅子から転げ落ちて、ボディーTOPにひびが入ってしまいました。
相当なショックを受けましたが、オハナのリペアマンに修理をしてもらい、復活することができました。
あれからかなり年月が経って、塗装も指で擦ると、ポロポロとはがれてきていますが、当初の雰囲気が変わるのが嫌なのであえてそのまま使っています。』
――ミイラ取りがミイラに・・・
「店のお客さんが、いつの間にか店員さんになってしまった」という「ミイラ取り伝説」はよく聞く話ではあるが、もうお分かりの通り、石田店長もまさにその一人。
念願のハワイ製ウクレレを手に入れ、コミュニティや教室にも参加、ウクレレ浸けの生活(?)を送っていた頃、コミュニティーのメンバーと行ったハワイ旅行が石田氏の心を動かした。元来「人の役に立てる事」を喜びとする石田氏は、この旅行で見聞きし、得ることのできた知識や体験を基に、「ウクレレ好きな人達のウクレレライフを最高のものにしてあげるような仕事がしたい。」と考えたのだ。しかし年齢はすでに40歳。子供も小さく、軽率な判断は許されない。
が、ちょうどその頃、通い詰めていた「オハナ」がスタッフを募集。『今動くしかない!』そう思った石田氏は「30才位まで」の募集年齢を押し切って馬野氏に交渉!(笑)奥様の心配もよそに、それまで20年近く勤めていた建設会社をあっさり退職すると同時に「オハナ」のスタッフに転身した。
現在は店長として店舗運営全般をこなす他、ウクレレ教室の講師も務めるなど、「これからはウクレレで生きる!」とハワイ旅行で決めた通りの生活を楽しんでいる(笑)