Product Description
中山修氏の77年製スプルース&ハカランダモデルである。
中山氏については、バンブーギター等で、もうすでにマニアの方々にも広く知られた製作家であり、ネット上でも中山氏の指導を受けた製作家の方達からの詳細な情報、あるいは産経新聞や日本経済新聞等のインタビュー記事など閲覧できるので、もし中山修のお名前をご存知でない方がおられるのであれば、是非ともご参照いただきたい。
70年代の邦人製作家に、このような名工が存在していたのかと改めて驚かれると思う。
さて本器であるが、個人的な感想をいえばその音はラミレス1aに近いもので、中山氏がスペイン留学時代に黄金期のラミレス工房で9年間修業された影響が色濃く反映されたと思う
内部構造にしても、側板にシープレスを貼り合わせた二重構造、表面板の力木の配置もラミレス1aと同じである。
サウンドホールの上下に配置される2本のハーモニックバーの下側バーと斜めに交差して、少し歪んだ×印を構成するようなもう1本のハーモニックバーの配置。
扇型力木(タコ足)もラミレスと同じ6本で、このタコ足の下に配置される「逆ハの字型」の2本バー、等々でラミレスの力木の配置を忠実に踏襲した構造になっている。
ただ音の個性としては、厳然とした中山修の個性がベースとしてあり、同氏の個性とラミレスが持つ音のニュアンスが融合して他に例を見ない美音を生みだす。
その色彩感はあくまで豊かであり、弾き手のタッチに敏感に反応する一方で、甘さに流れない凛とした気品を持つ。
まさに名品の音とは、このような音をいうのだと思う。
さて本器の状態だが、裏板の右側下部にヘアラインクラックの補修跡(画像参照)、表面板の指板横に同じくヘアラインクラックの補修跡(画像参照)などあるが、いずれも内部からパッチ処理されたキッチリとした補修がなされており、補修跡の見た目もあまり目立たないレベルにまで修復されている。
また非常に珍しいケースだが、ヘッドの突板部分にだけ塗装の白濁がみられる。
クラックの補修跡、白濁、等々マイナス面を並べてきたが、それでも本器の全体像は美感的にいえば綺麗なものである。
弾き傷や打痕も少なく、指板・フレット・ネック裏にも使用感はほとんど感じられない。
12フレット上の弦高は、6弦3.4㎜、1弦2.5㎜、と低い弦高に調整されているが、1フレット弦高(ナット側)も同時に調整されていること、この弦高でも「サドルにおける弦の傾斜角度」も十分に確保されているので、音量の減少、音色の軟化、あるいはビビリ音など一切見られない。
またお好みで、6弦側4.0㎜、1弦3.0㎜、などの標準弦高を希望される方には更なる調整も無償にて実施させて頂きます。