商品説明
ギター内部にはラベルもなく、製作者のサインや刻印もないが、ロゼッタの仕様、ヘッド裏のローズウッドの二重張り、裏板の3ピース仕様、等々の特徴から愛媛県今治市の杉原克典氏が製作したギターと判断している。
当店の見立てとしては、まず間違いないと思う。
製作年度についても、状態から判断してここ10年以内に製作されたものと推定される。
本器は現代的な造形センスで作られたもので、なかなか洒落たルックスのギターである。
ただその造形センスに比べ、工作精度はやや甘い。
いちばん目立つ部分では、ヘッドのスロット(細長い穴)の下側部分の処理が雑で、スロットの下側の切り込みが左右でそろっていない。
また塗装については極薄のラッカー塗装と思うが、ギリ合格点といったところで、ベテラン製作家のそれとは少し差があるように思う。
本器については、現代的な造形センスに工作技術が少し追いついていない、そういう印象を受けるが、肝心なサウンド面では個性的な美音を持つ。
音量もあり、フラメンコギターのような浅胴(胴うす)だが、ボディ全体が振動するような迫力のある鳴り方をする。
中古ギターとしては比較的新しい年代の製作で、状態から判断してもほとんど弾き込まれていないので、新品ギターに見られるような「鳴りの硬さ」は若干感じられるが、弾き込むにつれ鳴り方のレベルはもう一段上がっていくものと思う。
状態としては、バインディングの一部に塗装の擦れや小傷など散見されるが、割れ補修など重大なものはなく、まずは美品と言える良い状態にある。
弦高については、12フレット上で6弦側4.0㎜、1弦側3.0㎜の標準値だが、サドル残が3.0㎜~2.5㎜程度あるので更なる調整も可能になる。
最後に本器の仕様については、トップ/スプルース、サイド/ローズウッド、バック/ローズウッド+不明材、指板/エボニー、等々で勿論オール単板仕様。